(8)書簡〈5〉ドレスデン公妃 クレメンティーネ
( 8 )書簡〈 5 〉ドレスデン公妃 クレメンティーネ
ごきげんよう! 愛する弟とその天使さん!
我がドレスデン公国にも、戴冠式の招待状がきました!
参加したくて夫におねだりししたら「臨月だからダメ」の一点張り! 帝都に行くよりルヴェルの方が近いのに!
夫婦喧嘩真っ只中に、フェルディナントがやってきました。……あの子相変わらず度胸があるわね。
きょうだいみんなで、サプライズイベント! 久しぶりでわくわくするわ!
懐妊してからずっと憂鬱だったけれど、筆記机についた今はときめいて仕方がありません。
何を書こうかしら……。陛下はマックスのことが知りたいわよね?
マックスは士官学校で常に首席か次席だったのよ。特に体術と剣が素晴らしい成績だったわ。学校以外でも色んなことに努力する、自慢の弟です。
そうそう。マックス、異民族風の弓術を陛下にぜひ見てもらいなさいね。私の夫ほどではないけれど、乙女心に刺さること間違いなしです。
マックスが首席を初めて取ったのは十二歳の時でした。その報せを聞いて、レオ兄さまが珍しくサプライズを企画したのよ。庭園の小さな部屋で作戦会議をして、きょうだい皆の手料理を振る舞うことになったわ。
材料を集めるところまではうまくいったけれど、わたくしとヘルミオーネ以外は調理に慣れてないもんだから、厨房でボヤを出しかけて大変だったのよ。
カトラリーの準備ができたところで、マックスがフェルディナントに連れられて食堂に入り、わたくしたちは拍手でお出迎え!
テーブルにずらりとならんだ手作り料理を見て、目をまんまるにしてたわね。
わたくしが作ったのは、クネーデルに干し杏をいれて砂糖を塗したもの。ヘルミオーネの南瓜のパイと良い勝負だったのよ。
お腹がすいてきたんじゃない? わたくしもよ。娘と一緒にクネーデルを作ってみようかしら。
レシピを同封するので、二人で作ってみてね。家族と一緒に「美味しい」って言い合う時間を大事にしてね。楽しく食べることを忘れないで。
そうそう、お腹の子は男の子な気がするの。よければクロヴィスと名付けても良いかしら? お返事を待っています!
クレメンティーネ




