(5)書簡〈2〉皇帝ヴェネディクト
( 5 )書簡〈 2 〉皇帝ヴェネディクト
やあ、親愛なる弟と義妹よ。
先ほど、女王の誕生日の夜会が終わったところだ。結果はご存知のとおり。本当におめでとう。
この手紙は、我らの祝いの気持ちだ。
きょうだいで話し合い、まあ上から渡していくのが無難だという結果に落ち着いた。クリス姉上のは特別。他のきょうだいには内緒だぞ?
きょうだいから預かった手紙を行きの馬車の中でせっせと並べていたんだが、マックスは気づかなかったようだな。
お前がぼんやり窓の外を眺めている間に、お兄さまは愛を込めてリボンを結んでいたのだよ。
私は直接君たちと会えるので、きょうだいの紹介をする。これを見ながら三通目以降を読めば、分かりやすいだろう。
一通目、長女 第一大公女 クリスティーネ 帝都女子修道院長 39歳
二通目、長男 皇帝ヴェネディクト 38歳
三通目、次女 第二大公女 カロリーネ ベネルクス総督 37歳
四通目、三男 宰相大公 レオポルト 33歳
五通目、五女 ドレスデン公妃 クレメンティーネ 32歳
六通目、六女 カルタータ王妃 ヘルミオーネ 31歳
七通目、五男 ロンバルディア提督 フェルディナント 29歳
八通目以降は、開封してからのお楽しみだ。
しかし、職掌と年齢も添えると、なんだか色々と考えてしまうな。始まりは十六人きょうだいだったのに、今では半分が鬼籍に入っているのか。
生まれて間もなく天に召された弟妹も居たし、幼いうちに病を得て儚くなった者、嫁ぎ先でお産がうまくいかず死んだ者。
――国難に遭い命を落とした者もいる。彼らもまた、今日この日を喜んでいることと思う。
何かあれば、お前達にはきょうだいがいることを思い出してほしい。
それぞれの立場や、国の事情があるから、何もできないことの方が多いだろう。
私は帝国の利益を第一優先に考えて行動する。それがファンデールの益に繋がるとは限らない。
しかし、それぞれの場所で、お前達のことを常に気にかけている存在がいることを、忘れないで欲しい。
ヴェネディクト




