なつみの高校時代と人間性
【第十章】 悔しさ
なつみが高校に上がる直前、野球部のマネージャーになることを決意していたことは既に第8章で書いた。
俺は高校生の頃、もちろん大阪で生活していたから、なつみの高校生活などほとんど知らないが、野球部のマネージャーになったのは事実だった。なぜ事実だと言い切れるかというと、なつみが野球部の一員として、部員の集合写真に映っているものを見たからである。この写真はなつみのLINEのホーム画面だったか、Instagramだったか、あるいはTwitterだったかは全く覚えていないが、確かに見た記憶がある。
これは完全なる偏見だが、男子しかいない運動部のマネージャーになりたがる女子は大抵男遊びが好きなんだと思う。
なつみも高校生になって遊びたいんだろうと当時思ったが、他の男と仲良くつるんでいる姿を想像すると悔しかった。
何度も言うが、俺はなつみのSNSを勝手に探して見ていた。その為、なつみの高校名も知っていた。
その過程で、先に出てきた九州住みのマッチョ男の存在も知った。
時期は定かではないが、なつみが高1の頃に半年間くらい付き合っていた男である。
どこで出会ったかは知らないが、東京と九州という、俺たちよりも遠い距離に離れている人と遠距離恋愛をしていたことについて、俺には二つの感情があった。
まず一つ目は、悔しいということである。
なつみから見て、俺よりも遠い所に住んでいる人と実際に会ってデートまでしていたのである。それも、俺よりも関係は短いと思う。(俺はなつみが小6の頃から連絡を取り合っていたから)
俺には「マネージャーになると忙しくて高校三年間のうちの一日さえ会う余裕は無い」という滅茶苦茶な嘘をついていたことも相まって、その男のTwitterを確認することが俺の日課になっていた。
二つ目は、ポジティブな感情である。野球部のマネージャーになり、活力あふれる男どもに日々囲まれているにも関わらず、遠い人と真剣に付き合うことができるというなつみの一途さが感じられたのである。その遠い人が俺ではなかったが。。。
なつみとその九州男は結構ラブラブだった。俺の持っている情報は、その男のTwitterからの物しかないが、彼らは日々ビデオ通話を楽しんでいた。(男がLINEのスクショを上げていた)
俺は10年間でなつみとビデオ通話をしたことが一度も無い。なつみからしようと言われたことは無かったが、まあ、しなくて良かったし誘われても断っていただろう。その理由はここまで読んでいただいた皆さんなら解るかもしれない。
冷たい自分を演出するためだと考えた人は残念です。
ただでさえ自分の顔に自信が無かったのに、写真じゃなくてビデオとなると誤魔化しようがないからという単純な理由だ。
なつみの方も、LINEのホーム画面に「世界一格好良い人」みたいな文字を入れてその男の部活の試合中の写真を設定していた点、彼氏の存在を身内に隠していないしどっぷりハマっていた印象だ。
結局その人とは一年も続かず別れたようだった。男のTwitterからなつみの写真が全て消されていたことで気づいた。それも、男はある時を境にTwitterを殆ど更新しなくなった反面、TwitterIDには未練がましくなつみの名前を入れたままだったことから、なつみが一方的に振ったとみて間違いないと思っている。
余談だが、俺はiPhoneを初めて持った9年前からAppleIDのパスワードにはなつみの誕生日を入れているし、それだけではなく今使っている殆どのパスワードも同様だし、それはこの先の長い人生でも変わることは無いだろう。
【第十一章】 なつみという人間