人類嫌いの勇者 ~ソドムの一番長い日~
悪の組織が襲来し街を襲った。
街を破壊し人々を手にかける悪の怪人たち。
街の警護官や騎士たちが立ち塞がるも、破壊を止められない。
腕に覚えのある冒険者たちが反撃するも、怪人に太刀打ちできない。
やがて戦力はなくなり、やられる一方となった。
建物は壊され大勢が殺され、我先に逃げ惑う民衆達。
そんな中、
ひとりの怪人が逃げ遅れた幼女に手をかけようとしたとき、
勇者があらわれた。
勇者の力は圧倒的だった。
剣と魔法で怪人たちを次々に倒していく勇者。
ついに勇者は悪の怪人どもを根絶やしにした。
襲撃の音が止み民衆は終わりに気付いた。
民衆は歓喜し勇者を褒めそやした。
勇者はあたりを見回すと広場の壇上に立ち、
集まった民衆に向かってこう言った。
「私は人類が嫌いだ。
人類は滅亡してもいいと思っている。
なんならこの手で滅ぼしてもいいと思っている。
ただ中には数少ないが愛すべき人がいる。
その人たちがいるから滅ぼすのを思いとどまっている。
だから悪を倒したのは人類のためではない。
悪の塊が悪を行使するを看過するのは、
俺の気分が悪かったからだ。
ただそれだけだ。
だから人類よ。
俺を褒め称える暇があるなら、
善を行え。
俺の気分を良くさせろ。
隣人を愛し、善良に生きろ。
純粋な子供達も、やがて醜悪な大人となる。
善良な人々が極わずかとなったとき、
俺は人類を滅ぼす。
ゆめゆめ忘れるな。」
それだけ言うと勇者は街を去っていった。
おわり