表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/176

二話 殿下は可愛すぎませんか?

殿下の可愛さよ、つたわれぇ~

 同じ十六歳ではあるが、その外見は第一王子として相応しく、凛々しく、溌剌としている。


 貴族の令嬢達はもちろんその見た目にうっとりとしながら、頬を赤色に染めていく。


 会場内を挨拶を交わしながら歩いていくアシェル殿下の姿を、私も目で追っていく。


「素敵な方ね。きっとファーストダンス、誘われるでしょうから、楽しんでね?」

『まぁ、素敵な殿下。私が若かったら、虜にしてみせたのに』


「エレノア。しっかりな」

『まぁ、殿下も年頃だからな。お前の体は大層気に入るだろうなぁ』


 両親の言葉に、私は微笑を張り付けると。アシェル殿下がどんな声を心の中で囁こうとも、しっかりとしなければと思う。


 そして、アシェル殿下が私の前の前へと進んでくると、にっこりと優しげな微笑を浮かべて言った。


「エレノア・ローンチェスト嬢。よろしければ、最初のダンスを踊る栄誉を、私にいただけないでしょうか?」

『わぁぁぁ。噛まずにいえたぁぁ。良かった。わぁ。ドキドキしたなぁ』


 一瞬、噴き出しそうになるのを私はぐっと堪える。


 見た目はキラキラとした王子様である。


 微笑む姿は、どのご令嬢も頬を赤く染める。


「よろこんで」


 どうにか私がそう言って手を取る。


「では、行きましょう」

『わぁぁぁ。緊張するなぁ。それにしても、エレノア嬢は可愛いなぁ。うん。わぁぁぁ。緊張する。手、ほっそ。これは折れるよ?折れちゃうよ?えーー。女の子ってもうちょっと太った方がいいと思う』


 私は奥歯をぐっと噛む。


 手が震えそうになるのを堪えて、ダンスホールへとアシェル殿下と進んで行くと、向かい合わせになり、そして手を添え、そしてアシェル殿下の手が腰へと触れる。


「よろしくお願いしますね」

『腰ほそぉぉぉぉぉ。どうしよう。折れちゃう。折れちゃうよ』


 折れません。内心、奥歯をぐっと噛んで堪えながら私は音楽に集中する。


 はっきり言えば、ダンスは完璧である。


 アシェル殿下は何一つ問題なくダンスのステップを踏み、しっかりと私をリードしてくれる。


 見た目には微笑を携え、完璧なる王子様である。しかし、その心は嵐のように、雄叫びを上げていた。


『わぁぁぁ。ダンス上手いなぁ。僕、大丈夫かな? しっかりリード出来てる? わぁぁ。下手くそとか思われてたらどうしようかなぁ。えぇぇ? 大丈夫? え? 僕、大丈夫?』


 私は奥歯がいつか折れるのではないかと言うくらいに、ぐっと力を入れる。


 可愛い。


 うん。可愛い!


 アシェル王子殿下、本当に可愛い!


 私はこの世界に生まれて初めて、男性を心から可愛いと思った。







読んでくださった皆様、ブクマ・評価つけてくださった皆様、本当にありがとうございます。

あの、もしよければ、まだぽちっとされていない方、お手数ですがぽちっとしていただけると本当にうれしいです。なにとぞ。なにとぞよろしくお願いいたします。(*'ω'*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズはこちらから

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
小説版のサイトはこちらから

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
― 新着の感想 ―
伝わりました!!!カワイイをありがとう(*´∀`*)
[良い点] 間違いなく可愛い!! 伝わってます!かわいい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ