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累計20万部突破 完結済【書籍化・コミカライズ】心の声が聞こえる悪役令嬢は、今日も子犬殿下に翻弄される   作者: かのん
第三章

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番外編 食虫植物にはご用心!

番外編です(●´ω`●)

 緑の木々が生い茂る中庭の先で、私は秘密のお茶会の準備を進めていた。


 アシェル殿下がここ最近政務に忙しいので、息抜きになればと思い私は今日、ユグドラシル様と一緒にお茶会の準備を進めていた。


「エレノア! こっちの準備はだいぶいいわよ!」

『いい感じだわ!』


 ユグドラシル様はびゅんとこちらへと飛んでくると、楽しそうにくるくると回った。


「もうちょっとお花を増やす? 増やしましょうか!」

『やるなら盛大にね!』


 久しぶりに一緒にゆっくりと過ごしているからなのか、ユグドラシル様がいつもよりもテンションが上がっている。


 私は可愛らしいなと思いながら、ユグドラシル様と一緒に笑顔で準備を進めていた。


「こちらもお花増やしましょうか? アシェル殿下、可愛らしいの好きですから、きっと喜びます」


 そう伝えると、ユグドラシル様は笑顔でうなずいた。


「そうね。あの人結構好きよね。ならぱぁぁっと増やしましょう!」

『あははは! せっかくだから妖精界にしか咲かない花も飾ってしまいましょう!』


 ユグドラシル様はそういうと、他の妖精達も呼んで花を大量に増やしていく。


 私は、花だらけになっていく会場に笑い声をあげた


「ふふふ。ユグドラシル様ったら、やりすぎですわ」


「いいじゃない! 景気よく行きましょう!」

『その方が絶対に面白いわ!』


 会場には美しい花々が咲き誇り、私が笑っていると、ふと自分のいる場所が陰り、なんだろうかと顔をあげると、私よりも大きな花の蕾が、ぱっかりと口を開けた。


「え?」


 これは一体なんだろうか。花? 口? 私は思考が停止してしまい呆然としていると、後ろへと腕を引かれた。


「エレノア!」

『危ない!』


「っ!?」


 私はアシェル殿下の腕の中へと引き込まれ、先ほどまで私がいた場所を巨大な花が口を開けて食べようと、カプカプと花弁を揺らしていた。


 巨大な花に私は顔を引きつらせると、私のことを抱きしめているアシェル殿下が声をあげた。


「ユグドラシル様! エレノアが危ないところでした! この花はなんですか!?」

『あっぶなぁぁぁいよ! 僕が待ち合わせより遅く着てたら大切なエレノアがカプッてされてたよ!? あぶなすぎるでしょう!?』


 声を荒げたアシェル殿下に向かって、ユグドラシル様は苦笑を浮かべた。


「あらら。ごめんなさい。っていうか、来るの早いわよ。もっと花を増やそうと思っていたのに」

『あらあら、食虫植物が混ざっちゃってた。あぶないあぶなーい』


 アシェル殿下はため息をつくと、私の顔を覗き込んでいった。


「大丈夫でしたか?」

『エレノア。突然手を引いてごめんね。大丈夫?』


 私はうなずくと、アシェル殿下に尋ねた。


「早かったのですね。すみません、まだ準備終わっていなくて。せっかくだから驚かせようと思いましたのに」


 喜んでほしかったのになぁと思いそう言うと、アシェル殿下は微笑み、私の手を取ると言った。


「すごく嬉しいですし、驚きました。でも、危ないといけないので、私も一緒に準備をさせてください」

『エレノア。本当にありがとう! ふふふ。とっても嬉しいよ』


 私はアシェル殿下の声に微笑む。


「ありがとうございます」


 本当は喜ばせたかったのにと思いながらも、アシェル殿下と一緒に準備をするのは楽しかった。


 お茶会は花がたくさんある中で行われた。


 食虫植物については早々に撤去させてもらい、可愛らしい普通の花だけが残された。


「エレノア。ユグドラシル様と一緒に時には本当に気を付けてくださいね」

『危ない。本当に、危ない』


「は……はい」


 私はうなずきながら、たしかに危なかったなと思った。


 会場にはかなりの数の食虫植物が持ち込まれており、アシェル殿下が採取的にチェックをしなければ、私とアシェル殿下はいつパクンとやられていてもおかしくなかった。


「大丈夫よ。食虫植物っていっても、本当に人間を食べるわけじゃないんだから。しばらくの間、口の中でもにゅもにゅされるだけよ?」

『べたべたにはなるけど、楽しいのに』


 私は妖精と人間の感覚は、違うのだなと、内心思ったのであった。


 ユグドラシル様と一緒に何かをする時には、充分に気を付けようと心の中で誓ったのであった。


子犬殿下の3巻が8月10日より発売開始です!(*´▽`*)

また、コミカライズ一巻も8月15日発売でございます~!

どちらもよろしくお願いいたします!(●´ω`●)

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