表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
累計20万部突破 完結済【書籍化・コミカライズ】心の声が聞こえる悪役令嬢は、今日も子犬殿下に翻弄される   作者: かのん
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/176

十五話

 洞窟の中に生えている苔は輝いており、洞窟にある鉱石を照らしそれが光を反射して麗しい光景を作っていた。


 まるで絵本の中のようなその光景に皆が引き込まれる。


「綺麗ですね……アゼビアではこのようなものは見たことがありません」

『不思議。けれどよくよく見てみれば価値のある鉱石ばかりだわ。神々の土地でなければこの島を競って皆が自国にしようとしたでしょうね』


「美しい」

『けれど筋肉には勝てまい』


 ココレット様だけが押し黙っており、心の声もどうやら何かを迷っている様子の者ばかりであった。


 私は歩きながら、ココレット様の能力について考えた。


 神々が言う通り、予言をする能力なのだろう。けれど私のように異世界から転生した者が変えてしまった未来がココレット様を戸惑わせているような気がする。


 神々はどうしてココレット様に自信を持たせたいのだろうか。


 そんなことを考えていると、オリーティシア様が口を開いた。


「私は、自分の価値を信じております。ですからきっと予言の乙女に選ばれるのは私ですわ」

『ココレット様はとりあえず除外していいでしょう。ですが精霊と契約しているとなると最有力候補はエレノア様という意見になりそうですわ。ですが、ありえません。私こそが神々の使徒ですわ』


 暗い道を歩いていると、私と同じように考え込んでしまうものなのだなと思う。


 オリーティシア様の言葉に、私は尋ねた。


「予言の乙女に選ばれるとは、今現在予言する力が備わっている乙女なのではないでしょうか」


 私の言葉にオリーティシア様は足を止めると小さくため息をついてから言った。


「もし仮にそうなのであれば、指輪がどこにあるのかも、何故このようなことが起こっているのかも分かるはずです。それならば自分から名乗り出るはずでしょう」

『何をバカなことを言っているの? はぁ。彼女はやはり見た目だけね』


 たしかにオリーティシア様の言っていることには一理ある。


 ココレット様はきっと知っているはずなのだ。そう思ったのだけれど、ココレット様は私たちの会話に対してうつむくばかりである。


『全てが見えるわけじゃないから……自信が持てないがよ……』


 その言葉に、私はなるほどと思った。


 見える未来と見えない未来とがあり、そして私のような転生者がかかわった場合そんな見えていた未来も変わる可能性があるということだ。


 私は、ココレット様と二人で話が出来る機会があればとそう思った。


 そうすれば、自分が転生者であり、だからこそ変わった未来についても話が出来るはずだ。


 神々はココレット様に自信を持たせ、皆に予言を伝えよということを言っているのだ。


 自信がないままのココレット様はきっと知っていても話さないから、だからこそ皆が聴く場を設けたのだろう。


 そしてそれは、ただ指輪に選ばれるというだけではいけないのであろう。


 ココレット様は指輪に選ばれるだけでは、嘘だと自分を否定するかもしれない。だからこそ、指輪に選ばれる前に自分に自信を持ち、発言しようという気持ちを持ってもらうことが大事なような気がする。


 私はアシェル殿下にどこかで話をしてそれを伝えようと思うのだけれど、今の所は暗い本道が続いており、話せる雰囲気ではない。


『ほら、来たぞ』


『さぁ迷路だ!』


『黄金までたどり着いたら勝ちだぞ~』


「え?」


 私は辺りを見回した。明らかに今レプラコーンの声がしたけれどどこから聞こえてきたのかが分からない。


「エレノア? どうしたの?」

『何か聞こえた?』


 アシェル殿下が私に尋ねた時であった。その後ろの壁穴に穴がぽっかりと開くと、そこからレプラコーンが姿を覗かせた。


 そしてそちらに気を取られた時であった。


「きゃっ!」

『んだぁぁぁぁぁぁぁ』


「ココレット様!?」


 私の後ろにいたはずのココレット様が横穴にレプラコーンに突き飛ばされて転げ落ちて行ってしまう。


 ヴィクター様はココレット様に向かって腕を伸ばすもそれは空を切る。


 そしてその穴は小さく、ヴィクター様では到底通れない穴である。


「アシェル殿下! 私はココレット様を追います!」


 私の言葉に、アシェル殿下は慌てて首を横に振った。


「ダメだ! もし何かあったらどうするのです!」

『エレノア。ココレット嬢は必ず助ける。今君が行ってどうなるの』


 その言葉に私はしっかりと視線を合わせて答えた。


「大丈夫です。何かあればエル様と共に脱出いたします! お願いです! 行かせてください!」


「ダメだ」

『エレノア。言うことを聞いて』


 私がどうにかアシェル殿下を説得しようとした次の瞬間、私の背中はレプラコーンに蹴り飛ばされ、アシェル殿下やヴィクター様、オリーティシア様もそれぞれ横に開いた穴に突き飛ばされた。


「エレノア!」


 視界が反転してすぐに皆の姿は見えなくなった。体を出来るだけ丸めて落ちる衝撃に耐えるのだけれど、どうやら地面はかなり柔らかいようで、転がっている最中も目はまわるものの痛さは感じられなかった。


 そして勢いよく私が転げ落ちた先には、目を回して倒れているココレット様と、光り輝く泉が見えたのであった。


★お知らせ★

私の小説【悪役令嬢はもう全部が嫌になったので、記憶喪失のふりをすることにした】がコミカライズ化決定!3月24日より配信スタートです! それに伴い、加筆編としてコミカライズ用に加筆したものを更新始めました! そちらも読んでいただけたら嬉しいです(●´ω`●)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズはこちらから

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
小説版のサイトはこちらから

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ