もも笛
「もも 買ってきたの?」
はるくんは、台所のテーブルの上に、白くてほんのり赤いももをみつけました。
「おいしそう!」
はるくんが、ももをもとうとしたとき、おばあちゃんがあわてて言いました。
「あっ、割れちゃうから、気をつけて!」
「えーっ?」
はるくんは、びっくりして、手を引っ込めました。
おばあちゃんは、ももを、そっともちあげると言いました。
「これはね、もも笛っていう笛なんだよ」
「えっ、たべられないの?」
「そう、さわってごらん」
はるくんが、そっとさわると、ももは、かちんかちんです。
「ここに穴があるでしょ」
ももの後ろに、穴が6個あいていました。
「ふいてみようかねぇ」
おばあちゃんが、口にくわえて吹き始めました。
♪ もーもたろさん ももたろさん
やさしい音がします。
「もも たべてるみたい。おもしろいね」
「そうでしょう。おばあちゃん、気に入ってるんよ」
おばあちゃんは、とってもうれしそうに言いました。
おばあちゃんは、いろんな歌を吹いて楽しそうです。
「あー、でも本物のもも、たべたかったなぁ」
はるくんは、ちょっぴりざんねんそうです。