第5話 クラスメートと戦う俺
可愛い娘と付き合うと恨みをかうものです。
男子達が雄叫びを上げて俺に迫ってくる。
くっ! こいつらの目は本気だ! このままだと俺は殺されてしまう。
俺はまず一番近くにいる2人に【空気失魔法】を使って、意識を奪う。
「く、くそ! なんだ⋯⋯これ⋯⋯」
「くる⋯⋯し⋯⋯い⋯⋯」
後17人! だが数が多すぎるため【空気失魔法】が、間に合わない!
俺は接近してくる男達に対して、剣で迎撃することを選択する。
「ばかめが! そんな剣一つでこれだけの人数の攻撃が受けきれるものか!」
「これで終わりだ!」
「シルヴィアさんと別れろ!」
5人の男が剣、短剣、ロッド、双剣、槍で一斉に攻撃してくる。
駄目だ⋯⋯とてもじゃないがこの攻撃を剣で防ぐことはできない。
「それなら! 【守護の楯】」
俺は前方に、無色透明である空気の楯を作り出すと金属音が辺りに鳴り響き、5人の攻撃を完全に防ぎきる。
「な、なんだこれ! これ以上進まねえ」
「ばかな! 何か見えない壁に阻まれてるぞ」
「うそだろ⁉️ これを防ぐのかよ」
俺は攻撃を繰り出して隙だらけの5人の腹を目掛けて、剣を横一閃になぎ払うと、声を出すことも許さず、男達は地面に倒れる。
後12人!
「お、おい! 距離を取って囲め! 全方位から攻撃をすれば、いくらなんでも防ぐことはできないはずだ!」
男子生徒の命令を通り、10人が俺を中心に、放射状の場所へと移動する。
「だがいいのかな? 俺に時間を与えて」
俺は魔力を込めて残りの男2人に対して【空気失魔法】を使って気絶させる。
「ち⋯⋯ちく⋯⋯しょう⋯⋯」
「あ、後は⋯⋯頼んだ⋯⋯ぞ⋯⋯」
これで男子は全員倒した。
後は女子10人を倒せば終わりだ。
女の子達は瞬く間に男子が倒される様を見て、狼狽え始める。
しかしその中でも、先ほどから戦いに加わらず、じっとリクトの戦いを見つめる1つの目があった。
シルヴィアside
リクトさんが何かを口にすると男子が倒れていく。
入学試験の時も今も、そしてひったくりの犯人も同じように気絶していくことから何か魔法を唱えているに違いない。
けれど短い言葉で放てる魔法って⋯⋯。
「まさか無詠唱⋯⋯ですか⋯⋯」
強い魔法を唱えるためには詠唱が必要になる。けれど魔力値が高ければ、威力は落ちるけど魔法を発動させることができる。
リクトさんはそれだけ魔力値が高いってことなの⁉️
学園生でそんなことができる人がいるとは思わなかったけど、現実を直視しないと私も一瞬で倒されてしまう。
試験の時、模擬戦開始時、そして今⋯⋯共通しているのは魔法をかけられる人数が少ないこと。
もし大勢にかけられるのであれば5人が接近した時にもかければいい。
だけどそれをしなかった。ただリクトさんは遊んでいるだけで、わざと使わなかったのであれば私達に勝ち目はない。
それともう1つ⋯⋯動いている相手には倒れる魔法を使っていない気がする。
それなら戦う時は常に移動し、壁をすり抜け左右から攻撃するか、もしくは高火力の魔法であの壁を破壊するしかない。
クラスメートが半分やられる中、シルヴィアだけは冷静にリクトを倒すための算段を考えていた。
リクトside
「み、みんないくわよ」
「全てを切り裂く刃となれ! 【風切断魔法】!」
「む、無数の矢よ、炎となりて敵を燃やせ【炎の矢】」
「光の雨よ、かの者の頭上に降り注げ【光雨魔法】」
「漆黒の闇よ、わが手に集え【闇弾魔法】」
さすがに四方向から放たれた魔法を【守護の楯】で防ぐことは、今の状態では不可能だ。
俺は四方向の間を縫って、遠距離魔法を撃っていない子の方に向けてダッシュをかける。
「無駄よ! そのスピードでは私達の魔法からは逃れられないわ」
「そうだね⋯⋯だけどこれならどうかな」
俺は足に魔力を集中させる。
「【空気噴出】」
魔法を唱えるとまるで空を飛んだかのようにもうスピードで、包囲網を作っている女の子の元へと向かう。
「うそ⁉️ 何でそんな速さで動けるの⁉️」
俺は驚いている女の子達に向かって剣を振るうと、3人をあっさりと気絶させる。
これで後7人。
意外と簡単そうにやって見せているが、この【空気噴出】は制御が難しい。使い始めたころは体勢が維持できなくて何回もすっころんだものだ。
だからこそ今華麗に移動し、着地することができて嬉しい。
俺はさらに、今のスピードを見て、信じられない表情を浮かべている子達の所に【空気噴出】で接近し、剣を振るって3人を倒す。
後4人。
そして仲間をやられて動きを止めてしまった3人に向かって、【空気魔法】を使って気絶させた。
これで後1人だ。
そう最後に残ったのは俺と一緒に遅刻した、ノーパン娘のシルヴィアさんだった。
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