第3話 ノーパン女子と俺
確かに死にたくなる案件です。
下着を穿いてない⋯⋯だと⋯⋯。
いや、たぶんぶつかった時に頭を打って視覚中巣をやられたのだろう。普通に考えてフェザー学園に通う女子が、下着を穿いてないなどあるだろうか? いやない。
俺は目を擦ってみてもう一度目の前の状況を確認してみる。
するとやはり女の子の下着は見当たらなかった。
これが⋯⋯女の子の⋯⋯。
本当はじっくり見ていたいが、ノーパン女子がどんな人か気になって顔を上げる。
えっ? この人って⋯⋯さっきひったくり犯を捕まえた娘じゃないか!
清純そうな顔をして⋯⋯人は見かけによらないとはまさにこのことだな。
だがこの状況どうしよう。あっ、目があった⁉️
「じゃあ俺は昼御飯を食べに行くのでこれで」
俺は何事もなかったように立ち上がり、この場を立ち去ることを選択する。
「ちょ、ちょっと待ってください! それに今はまだ朝ですから昼食を食べに行くのはおかしいです!」
何も見なかったことしようとしたが、律儀につっこみを入れて俺はを呼び止めてきた。
「そ、それより⋯⋯み、み、み⋯⋯」
「み?」
「見ました⁉️」
女の子は顔を真っ赤にしながら、下着を穿いていないことを見たか問い正してくる。
「スカートの下に何もないことなど見てないぞ」
「やっぱり見たんだぁぁ⋯⋯もうやだお家帰る!」
この娘すごい真面目で正義感が強い娘だと思っていたけど、いきなり幼児化し始めたぞ。
「そうよ! これは夢⋯⋯夢じゃないとおかしい。きっと悪夢⋯⋯目を覚ませばベットの上に決まってる⋯⋯夢なら早く目覚めて」
残念ながらこれは夢じゃない⋯⋯現実だ!
「そうだ! 確か頭に強い衝撃を与えれば記憶を消せるって聞いたことがあります⋯⋯大きい石があれば⋯⋯あった!」
「あったじゃねえ!」
幼児化したと思ったら、今度はヤンデレみたいな狂気じみた目になって危ないことを言い始めたから、思わずつっこんじゃったよ。
「で、ですが男の子にスカートの中を見られたんですよ! もう生きていけません」
「いや、見てない⋯⋯見てないから」
「ほ、本当ですか⁉️」
「本当だ。けして冬は寒そうだなとか尿を漏らした時はスカートが汚れるなとか思ってないから」
「やっぱりみたんだぁぁぁ!」
げっ! つい余計なことを口走ってしまった!
俺の言葉を聞いて女の子は涙を流して座り込んでしまう。
「もう生きていけないよ!」
「だ、大丈夫! 世の中そういう趣味の人が他にもいるって! 君は1人じゃない! 必ず理解してくれる人が現れるよ」
「わあぁぁん!」
だが俺の説得も虚しく、女の子はさらに大きな声で泣き始めてしまう。
まいったな。どうするか。
しかし彼女の気持ちもわかる⋯⋯もし俺が学園で、ノーパンでいる所を見られたら死にたい気持ちになるぞ。
この娘をどうするか悩んでいると突如女の子の泣き声が聞こえなくなった。
「そうだ死のう⋯⋯こんな姿を見られたから明日には学園中に広まって痴女扱いされるか、この男の子に毎日屋上に呼び出されて、エッチなことをされちゃうんだ」
「いやいや。誰にも言わないし、屋上にもたぶん呼び出さないから」
「たぶんって言ったぁぁ!」
やばい。また余計なことを言ってしまった。けど何だかこの娘を見ているとイジリたくなってくるんだよなあ。
そしてまたもや病んだ目で俺の方を見てくる。
「そうだ⋯⋯私が死んでもこの方から下着を穿いてないことが世界に伝わってしまう⋯⋯死ぬなら二人で⋯⋯」
世界って⋯⋯しかも何やらさらに物騒なことを言い始めたぞ。
その証拠にロッドを構え、魔力を集中させている。
こ、殺される⋯⋯あの目は本気だ。このままだと女の子と心中することになってしまう。
「わ、わかった! 絶対に誰にも言わない! だからその物騒な物をしまってくれ!」
俺は必死に命乞いをすると女の子の動きが止まる。
「本当に?」
「ほんとほんと。神に誓って」
女の子の魔力が小さくなっていく。どうやら俺の命は助かったようだ。
「ご、ごめんなさい⋯⋯取り乱してしまって」
女の子は落ち着きを取り戻したようで、俺が最初に思った真面目で清純そうな状態が帰って来た。
けどこの娘はノーパンでいるような娘なので清純じゃない⋯⋯例えるなら大人のDVDに出演しているのに清純派女優として売り出している訳がわからない娘なんだ。
「今何か失礼なこと考えていませんでしたか?」
「いや。考えてないぞ」
す、するどい。どうやら余計なことを考えない方がよさそうだ。そうしないと今度こそ殺されるかもしれん。
「え~と⋯⋯君は?」
「わ、私はシルヴィア・セレスト」
少女は泣き止み、俺の問いに答えてくれた。
「俺は⋯⋯」
「知っています⋯⋯リクト・シェフィールドさんですよね」
俺のことを知っているということは新入生か。入学試験の時もダンドのせいで目立ってしまったし、首席合格の時に学園長に呼ばれているからたぶんその時に見ていたんだな。
「そ、それで先程のことは⋯⋯」
「さっきも言ったけど誰にも言わないよ」
「信じてもいいですか?」
「ああ」
「わかりました。リクトさんを信じます⋯⋯けれどもし誰かに話してしまったら⋯⋯ふふ」
「だ、大丈夫だ。信じてくれ」
一瞬シルヴィアさんがダークサイドに堕ちてしまったので、俺は慌てて返答をする。
キンコンカーンコーン
その時、学園のチャイムが鳴るとどこからかゾロゾロと人が現れてきた。どうやら入学式は終わってしまったようだ。
こうして俺は入学式に出ることができず、首席入学にもかかわらず、フェザー学園の初日を遅刻することとなった。
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