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獣王も嫁にはタジタジ

「どうかされましたか?」


私の後にお風呂に入ってサッパリしたコクは

引き締まった筋肉を隠しもせず話しかけた


流石に下は履いているが、免疫の全くない私からしたら考え事も吹き飛びそうな毒でしかない


「どうしたも、その姿がどうしたのだよ。とにかく何か着てよ!」


赤面で怒るも心はさっきのお風呂場で聞いた話を思い出していた



「王様は『黒の獣王』という別名を持つほどのお方……よ」

サラフィーが不慣れにも敬語を外してくれた


「あの黒い毛色はもちろん、その功績からもきているのよ」

キューラは惚れ惚れしたように両手を合わせ

天を仰いで呆けている


洗い流された濡れ髪が自分のものとは思えない艶髪になっている


湯船から上がると、すかさず足元にタオルを引き

至れり尽くせりで身体中丁寧に拭かれながら話の続きを聞く


「私たちの世界は7つの国から成り立ってて、それぞれに獣王が治めているの。ここ(ザルキネラ)を納めるのが我が獣王ロウ……もうコク様ね」

サラフィーは一度拭いた髪を新しいタオルで器用に包んいく


7つの国というのもここが『ザルキネラ』という国なのも始めて知ったが、コクの功績が最も気になる


「いくつかの国同士は王同士が仲良いということもあって、交流が盛んに行われているけど、もちろん良くない国もあって、うちと仲が悪いのが

北方に位置するナルセスで、2年前戦が起た時は、本当に負けるかと思ったわ」


サラフィーが話す横で、キューラが着せてくれた新しい寝巻きはリネン素材で、薄紅色のこれまたノースリーブのワンピース


「その時この国は先王、つまりコク様のお父上が治めててたんだけど、負けそうになった時に援軍として送られたのがコク様の指揮する役100人から成る軍が、1,200の敵軍を夜の闇に紛れて一晩で倒したのよ」


「その功績によって、王位を継承して黒の王と呼ばれるようになったの」

キューラが後を引き継いでまた呆けた顔になる


夜の闇に紛れてって、卑怯なのでは?なんて考えたら

「相手も夜行性だから卑怯じゃないわよ」

虚をつかれた、顔に出てたかな?



そんな感じの話を聞いて、やはりコクが国では人気があるのだろうと目を向けると

ベットの淵に座ってこちらを見ている


既にぬくぬくの布団に包まれて座っている私に何かを待っているようにその場から動かない


大きなベットは、ひとりで寝るには大きく

ここが彼の部屋だと解っているので、おそらく寝るのは一緒だろうが、無性に緊張感が漂うのは

免疫ない私のせいだけではないだろう


「あの一緒に寝ても構いませんか?」


さっきのお風呂場での私の怒りがよっぽど答えたのか、偉いはずの獣王さんは自分のベットに入るのも気が引けている


「も、もちろんよ、ここはあなたのベットでしょ、でもまだ心の準備はできてないから、変なことはしないでね!!」


変なこととは何かと理解に苦しむコクに

「そういえば、もう獣の姿にはならないの?」

なんてボヤきながら耳があった場所を見る


「あぁ、これが欲しいのですか?」

突然突き出した頭に、さっきまでは無かったが

見覚えのある物がついている


「耳出せるの?」

「よろしければこちらも」

後方からは耳よりもふもふの尻尾が姿を現した


「尻尾ー、ケモ耳ぃー」

もちろんこれはご機嫌取りに過ぎないのだろう

しかし、その策に私はまんまとハマり

これでもかと触りまくり、撫で回し

彼の膝枕で尻尾を抱き枕代わりにいつのまにか睡魔に襲われる


遠くなる意識の中

「なるべく我慢はしますが、長く待てませんよ

我が花嫁……桜」

と、教えた覚えもない自分の名前がかすかに聞こえ、頬に柔らかな感触を感じながら

夢の中へと吸い込まれた

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