05 面接試験*
書き直し済
そして、時間は流れ試験の日がやってきた。
目の前には大きな門がそびえ立っている。
試験の会場は街の中心にある屋敷?
役所の張り紙には、早朝中央塔の鐘が鳴る頃に屋敷内に入っているよう書かれてあった。
門の前に行くと私達は敷地内の広い庭に案内された。辺りを見回すと私のような冒険者が多い気がする。年齢は私より若い子から私の母親くらいの人までいる。人数は100人ほどだろうか。
やがて時間が経過して人数も数十人増え、中央塔の鐘の音が響いてきた。
鐘の音が止まってしばらくしてお屋敷側に置かれている台にとある人物が出てきた。
その人物は言うまでも無く勇者様、全員の視線がそこに集中する。
「それでは、これから選考会を始めようと思います」
そう言うと彼は辺りを見渡しt――視線が合った、気がした。
「まずは、ここまでお越し下さりありがとうございます。
本日の選考会は、今から日没まで行う予定です。ですので、用事があったり無理だという方は今、帰られても結構です」
勇者様の言葉を聞いて帰ったのは、たった数人。
「それでは、今日はよろしくおねがいします。
これから平原に向かって試験を行います。そこで指示があると思いますのでそれに従ってください」
そう言い終えると、台から降りていった。
その後、国王騎士の人たちが私達を平原へと誘導し始めたので、私はその流れに従って平原へと向かった。
「これから、あなた達には指定の素材を採ってきてもらいます。これがその素材の詳細です。
この砂時計の砂が4回全て落ちたときを期限とする。
それでは、はじめ!」
そんな掛け声と共に始まった。
お目当ての素材は、草食動物の肉と毛皮。どちらも、ここらの平原付近では希少というわけではない。日常的に食べられているし、衣服の素材としても使われる。何度狩ったか数えるのが大変な程、冒険者としてはよく狩られている動物である。
そういった理由もあってこの試験で失敗する人はいなかった。
もちろん、私も問題なく終わった。ただ、何かがあるかもしれないという疑問から、慎重に動いていたけど杞憂に終わった。
それから、この素材を使った試験、料理であったり裁縫などの日常生活で必要になる技術の試験が行われた。が、どれも難しいという訳でもなく、最終的に残ったのは最初の8割程だった。
「それでは、最後に面接による試験を行います。
順番で最後の方になる方は少々お待たせしてしまうかもしれません、ご了承ください」
そして面接試験が始まった。一度に一人ずつお屋敷内の部屋に招かれた。
『次の方を連れてまいりました』
いよいよ私の順番が来た。
高級そうな扉を開けると三人の人物が正面に座っていた。かなり高齢な男性と若い女性に挟まれるように勇者様。その三人に対峙するようにして一つだけ椅子が置かれている事から、そこに座るのだろう。
どうして、こんなことを考えているのか。それは、面接自体が初めてということである。説明には簡単な質問と書いてあったが何を聞かれるのか不思議でしょうがない。
ここまでもそれほど難しいようなものばかりではなかった。とすると、この面接で何かがあるのかな。
男性が、手で合図を示したので私は一言断ってから着席した。仮にも好きな、想い人が目の前にいるのである。緊張するなという方が無理な話である。
「それでは、名前をお願いしますかな」
「はい、アレルです姓はありません」
「結構です。これから、簡単な質疑応答を行いますので、なるべく“嘘偽り無く”答えてください」
それからは、殆どが男性からの質問だった。
「他にはありますかな?」
男性は、そう言って隣に座っていた勇者様に尋ねた。
「元気そうで何より。安心したよ」
勇者様がそう言った。突然、そんな言葉と共に柔らかい笑みを向けられて、私は若干放心状態になっていた。
「どういうことですかな?」
「ん、気にしないで」
「では、これで面接試験は終了です。帰宅していただいて結構です。合否に関しては、後日泊まっていらっしゃる宿に宛てた手紙をお送りさせていただきます。おつかれさまでした」
こうして、私の面接試験は終わった。
誤字脱字があるかもしれません。