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04 急募*

書き直し済

 翌日、寝不足な目を擦りながら自分の借りている部屋から1階のロビーに行く。

 何やらいつも以上に騒がしい。とりあえず食堂に向かう。広くはないが、ここの宿を借りていると朝と夜はここのご飯を食べることができる。味はまあまあだけど、今の私にはそんなことは関係ない。


「ここいい?」

「ん? あぁ、どうぞ」

 たしか、隣の部屋に住んでいる人で私と同じようにして冒険者。何度か、一緒に行動したこともある。

「どうしたの? 元気なさそうだけど」

「うんん、大丈夫」


 私は、硬めのパンに齧りついた。


「それで、アレルはどうする?」

「どうするって?」

「あの話よ、知らないの?」


 もちろん知らない。

 昨日、王様がなにか言っていたのかなと記憶を手繰り寄せてみるがそれらしきことは言っていなかった気がする。


「勇者様の付き人選出の話よ」

「勇者様……」

「そうそう!」


 今は、正直その言葉は聞きたくなかった。


「昨日行ってないんだったら、玄関のところに張り紙がしてあるから見てみれば」

「う、うん」


 もしかしたら、昨日勇者様が話していたことかもしれない。

 気分が優れなくても、行かないといけない。一日休んだくらいでお金に困るような状況ではないけど、病気でもないのに休んではいられない。部屋に戻って装備を整えて、ミルといつも待ち合わせている役所に向かう。

 ついでに、役所の入り口にあるという張り紙を見に行く。



 そこに書いてあったのは――


~~~~~~~~~~~~~~

【急募 勇者様の付き人】

条件

・女性

・家事全般ができる人

・戦闘経験のある人

~~~~~~~~~~~~~~


――そう大きく書かれていた。


 他にも、諸注意的なものが書いてあったり期日が書いてある。

 選考会は5日後にあるらしく、それに参加するらしい。その試験に関しては一切書かれていない。定員は1人。


 そして何よりも大きいことが、付き人となれば生活の保証と一定額の給与も出るらしい。ただ、勇者様と行動を共にして、旅先でのお世話をする。とも書かれてあった。


 今朝から女の冒険者が騒がしかったことに合点がいく。

 確かに美味しい話ではある。それに、これは勇者様とお近づきになれるということでもある。女性ということはそういう意味なのかも。大体の人はそれを狙っているに違いないし、もし何も無くても作法であったりを学ぶ機会になる。冒険者以外の選択肢が増える。


 どうしよ、これに参加するか……


 張り紙を読んだ限りでは参加するのにお金はいらないみたい。

 ある程度の家事はできると思っているし条件には合っているはず。


 ただ、この条件に合う人なんて沢山いるはず。あってないようなもの。

 つまり「当たって砕けろ!」ってことか……その試験に参加するなら。


 とりあえず、保留ということで。




 その後、いつも通りミルと狩りをして今は見晴らしのいい場所を探してうろついている。


「そういえばアレルはどうする?」

「勇者様のお付きの話?」

「そうそう!」

「どうしようか悩んでるんだよね……」

「えー、そうなのぉ~ 私は参加するよ! もちろん!」


 ちょっと意外かも。


「でも、参加する人多そうなんだよねぇ~」

「やっぱりそうなんだ」

「う~ん、知り合いも全員参加するって言ってるしね~~ 参加するのはタダだし!!」


 どうやら、みんな考えることは一緒みたい。


 そんなことを話しているとちょうどいい場所を見つけてそこで昼ごはんを食べることにした。

 午後は、帰り道沿いに生えている植物を採取して町に戻ってきた。



 ミルとこうして狩りに行って、少し気持ちの整理ができたかな。



 ――試験、参加してみようかな!


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