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錬金術師さんと聖ペトロ祭

…………………


 ──錬金術師さんと聖ペトロ祭



 ついに待ちに待った聖ペトロ祭の日が訪れた!


 準備は万端。出店は集会場に運んだし、出店で出す南蛮漬けの準備も万端。


 午前中は店番して、午後からバーベキューパーティーを楽しむぞ!


 さて、今日はみんなお休みのはずだけれど、お客さんは来てくれるかな?


「リーゼちゃん。面白いものを出品してるね」


「ハンスさん! 美味しいですから食べていってください!」


「そこまで言うならひとつ貰おうかな」


 最初のお客さんは開拓局のハンスさんだった。開拓局はお祭りの主催者側でこうしてのんびりしていいものじゃないと思うのだけれど。


「おおっ! これは美味い! 新鮮な味わいだね!」


「気に入っていただけて嬉しいです。これは保存も利くので、これからヴァルトハウゼン村の名物として売り出しませんか?」


「それは悪くないね。ヴァルトハウゼン村には川魚が多いし、低級体力回復ポーションはリーゼ君たちが作れる。うん。これは大きなビジネスの予感がしてきたよ」


 ふふふ。ハンスさんはすっかり南蛮漬けの虜だぞ。


「リーゼ。これは何ですか?」


「あ、クリスタさん。これは南蛮漬けって料理ですよ。美味しいので試食してみてください。是非、是非」


「では、ひとついただきましょう」


 ボクが差し出すのにクリスタさんが匂いを嗅ぎながら口に入れる。


「ほう。これは美味しいですね。リーゼが考えたのですか?」


「いえ。ヒビキさんの提案です。具体的な調味料なんかはボクたちが調節しましたけれど。これって売れると思います?」


「私は料理人ではないので断言はできませんが、これが新しいメニューに加わることは間違いないでしょう」


 クリスタさんは100マルク払って南蛮漬けの箱を買っていった。


「やあ。リーゼ君。無事に出店がやれているね」


「ええ! これもヒビキさんのおかげですよ!」


 そして、ヒビキさんが様子を見に来た。


「味付けは人気だっただろうか?」


「とりあえず、ハンスさんとクリスタさんは気に入ってくれました。もしかすると、私たちの料理で町おこしができるかもしれないですよ」


「それはいいことだ。後は街道が完成するのを待つのみだな」


 そう、問題は街道だ。


 街道はまだ整備途中。街道建設の切り札であるレーズィさんのゴーレムはまだ完成してはいない。この村に街道が通じるようになるのはまだまだ時間がかかりそうである。


「じゃあ、ヒビキさんも警備のお仕事、頑張ってくださいね! お昼になったら、バーベキューパーティーに誘いますから!」


「ああ。楽しみにしているよ」


 バーベキューパーティー。楽しみだな。新生竜のお肉が7体分だなんて!


 それから出店にはオスヴァルトさんや“黒狼の遠吠え”のパーティーメンバーの人たちなどが訪れて大変繁盛した。繁盛と言っても利益は考えずにやっている出店なので、材料費の回収ができたくらいだ。


「さて、そそろボクもバーベキューパーティーに向かわなくちゃ!」


 そう思ってボクがバーベキューパーティーが開かれている村の中心部の広場を目指そうとした時だ。


「あれ? あれって……」


 見るからに屈強な騎士に護衛されたひとりの少女を見かけた。顔は暗く、どんよりとした様子で村の中心部にある広場を目指して進んでいた。


 せっかくのお祭りなのだから、あんなに暗い顔をしなくてもいいのに。


「それにしてもどこかで見た気がするな……」


 どこで見たかは思い出せないが、確かにボクはあの少女に会った記憶がある。


「皆さん! 開拓局よりスピーチがあります!」


 ハンスさんがそう告げるのに、黙々と舞台の作業をしていたカルラさんが引っ込んで、オスヴァルトさんが姿を見せた。


「皆さん。今年も無事聖ペトロ祭が開催されました。これも皆さんの努力の成果です。開拓局としては想定されていたノルマより村の発展が続いているのに、喜びの声を隠せません。このままこのヴァルトハウゼン村を発展させていきましょう!


 オスヴァルトさんのスピーチは短いが力強く、励まされるものだった。


 農家の人たちは日々汗を流して森を開墾し、冒険者の人たちが危険な魔獣を駆除し、ボクたち錬金術師がポーションを供給しているからこそ、今、ボクたちはお祭りに興じられているのだ。このお祭りはボクらの努力の結晶だ。


「では、次にファルケンハウゼン子爵閣下の名代で参加されたフィーネ・フォン・ファルケンハウゼンさんに挨拶を願いましょう」


 あっ! オスヴァルトさんの案内で姿を見せたのはさっきの女の子だ!


 そうだ。ファルケンハウゼン子爵閣下が以前村に視察に来た時に一緒に来てたよね。だから、記憶に残っていたわけだよ。


「皆さん……。このような開拓村は困難の連続ですが、それにめげずに努力なさっていることに感慨の念を覚えました……。これからも村が発展し、いずれは都市となることを祈っています……。それでは以上です……」


 ものすごく小声で聞き取りにくかったけれど、子爵閣下も村のことを考えていてくれているのな? わざわざこの街道もない村まで娘さんを送ってくれたぐらいだしね!


「では、毎年恒例のバーベキューパーティーを始めます!」


「わーっ!」


 オスヴァルトさんが声を上げるのに、歓声が上がる。もちろんボクだって歓声を上げているよっ! なんたって楽しみにしていたバーベキューパーティーだからね!


「ささっ! バーベキューパーティーを楽しむぞ! って、その前にヒビキさんを呼んでこなくちゃ! 早くしないとお肉がなくなっちゃうよ!」


 ボクはヒビキさんを呼びに走る。


 確か、祭りの会場周辺の警備をしていたはずだけど……。


「ですので、それはヒビキ君という冒険者が成し遂げたことなのですよ」


「信じられません……。ラインハルトの山のレッドドラゴンと言えば化け物の中の化け物ではないですか……。それをひとりで討ち取ったなどありえるはずがありません……。どこの冒険者パーティーの達成したことなのですか……?」


 ん? なにやらオスヴァルトさんとフィーネさんが揉めている?


「オスヴァルトさん。どうかしました?」


「いや。フィーネ嬢がラインハルトの山のレッドドラゴンを討伐したのは誰かと聞かれるので、答えていたところだよ」


「それはヒビキさんですよ! 危うくボクが食べられそうになっているところを助けてもらったんです!」


 子爵家のご令嬢まで興味を示すなんて、ヒビキさんってばもう有名人だな。


「……本当ですか……?」


「本当です! なんならヒビキさんを呼んできましょうか?」


「……はい……」


 フィーネさんがコクリと頷く。静かな人だ。


「待っていてくださいね!」


 さて、どのみちヒビキさんを探すつもりだったのだ。ことはついでだ。


 ヒビキさんはどこかなー?


「あっ! ミルコさん! ヒビキさん、見かけませんでした?」


「ああ。ヒビキさんならさっき用水路の付近で遊んでいた子供たちを家に帰しに行っていたよ。今、大人たちは祭りで広場に集まってて、目が届かないから危ないってね。あの人、かなり気の回る人だよね」


「ヒビキさんは優しいんですよ!」


 流石はヒビキさんだ! ボクなんてもうバーベキューパーティーのことしか頭になかったよ! 人のことまで気が回らない!


「じゃあ、用水路の方見てきますね!」


「そうだね。まだいるかもしれない」


 ヒビキさんはどこかなー?


「あっ! リオさん! ヒビキさん、見かけませんでした?」


「ヒビキさん? さっき森の方に行こうとしていた子供たちを止めていたな。君の師匠のエステルさんが森の中で何かやっているから見に行きたいって騒いでて。だけど、こんな時間に子供たちだけで森に入るのは危険だろう」


「今度は森に……。というか、エステル師匠も何してるんだろう……」


 ヒビキさんってば人の面倒を見てばかりで、せっかくのバーベキューパーティーを食い逃すところだよ! しっかり、お肉は食べるようにしないと!


「ありがとうございます! じゃあ、ボクはヒビキさんを探してきますね!」


「おう。気をつけてな」


 ヒビキさんー。ヒビキさんはどこだー。


「いたーっ!」


 どこにいるのかとうろうろしていたら、向こうからユリアさんと一緒にやってきた!


「ヒビキさん! 探したんですよ!」


「ん。すまない。周辺警備というのもいろいろと忙しくてね。これだけの数の群衆が集まるとなると、やはりそれなり以上の人員か手間が必要になるというものだ。こうも少ない人手で管理するとなるとどうにも」


 ヒビキさんは頑張りすぎだよ。


「ヒビキさん、ヒビキさん。ファルケンハウゼン子爵閣下のご令嬢がお呼びなので一緒に行きましょう! きっとヒビキさんの活躍を聞いたら、喜んでもらえますよ!」


「ファルケンハウゼン子爵? ふうむ。奇妙なタイミングでの接触となったな……」


 ボクが告げるのに、ヒビキさんが考え込むように頬をさする。


「ヒビキ。貴族などと関わってもろくなことはない。放っておけ」


「そういうものだろうか?」


「そういうものだ」


 あーっ! ユリアさんってばヒビキさんに変なこと教えてー!


「別にろくでもないことはないですよー! というか、すっぽかす方がろくでもないことになりますよー! ファルケンハウゼン子爵閣下は数少ないヴァルトハウゼン村にお金を出してくれる人なんですからー!」


 ヒビキさんがフィーネさんを無視する方が問題だよっ!


「ふむ。そのファルケンハウゼン子爵とそのご令嬢というのはこの地域の権力者なのだろう。では、非礼がないようにしなくてはな。俺も変なことで権力者から睨まれたくはない。可能な限り礼を尽くすとしよう」


「それでこそヒビキさんです!」


 ユリアさんは不満げだったが、ヒビキさんがちゃんとした人でよかったよ!


「それで、そのフィーネさんという方はどこに?」


「こっちです。案内しますよ!」


 ボクはヒビキさんを連れてフィーネさんの下に向かう。


「はい! フィーネさん、ヒビキさんを連れてきましたよ!」


 ボクがフィーネさんにそう告げてヒビキさんを紹介するのに、なんだかちょっともじもじしていたフィーネさんが固まった。何故に?


「…………」


「お嬢様はそちらの方は異国の方に見えるがどこの出身だと尋ねておられます」


 そして、何故かお付きの騎士の人を介して始まる会話。


「日本です、フィーネ嬢。とはいってもこの世界には存在しません。自分は迷い人と呼ばれるものだそうで、この世界に迷い込んだようです」


「!?」


 ヒビキさんが丁寧な口調でそう告げるのに、フィーネさんがまた固まる。


「…………」


「お嬢様はそれは本当かと尋ねておられます」


 そして、またお付きの騎士の人が。


「うむ。事実です。この世界の地図には日本という国は存在しません」


「…………」


 ヒビキさんが答えるのに、フィーネさんがもじもじする。


「…………」


「お嬢様はラインハルトの山のレッドドラゴンを討伐したのはあなただと聞いているが、それも事実かと尋ねておられます」


 そして、またお付きの騎士の人が。


「あれは偶然です。確かにあれを殺ったのは自分ですが」


 またまたヒビキさんってば謙遜しちゃって。ヒビキさんなら確実にやれてたね!


「…………」


「お嬢様はにわかに信じがたい。自分の騎士と戦ってみて、実力を見せて欲しいと──ってお嬢様ー!?」


 そして、お付きの騎士の人が悲鳴じみた声を上げる。


「自分ですか!? 自分が戦うのですか!? 話によればこの方は新生竜を7体も討伐しておられるのですがっ!?」


「……頑張って……」


「お、お嬢様……」


 可哀想なお付きの騎士の人……。


「自分がレッドドラゴンを討伐したことを示せばいいのですね? ならば、こちらは素手で戦いましょう。そちらはその腰の剣を使われて結構」


「それでは圧倒的にあなたが不利ではないですか!」


「レッドドラゴンを討伐したということはこれぐらいの不利がなければ証明できないでしょう。自分の方はこれでも問題なく勝てると断言します」


「むう。いいでしょう。ならば、それで勝負といきましょう。安心されよ。命までは取らない手加減はできます」


 ヒビキさん言葉にお付きの騎士の人がちょっとむっとしてた。


 本当に大丈夫かな……。騎士の人の剣って本物だし、あれで切られたら大けがしちゃうよ。幸いボクが中級体力回復ポーションを持ってるけど。それでもヒビキさんには怪我して欲しくないな……。


「では、行こうか」


「いざ尋常に勝負!」


 ヒビキさんが拳を構え、騎士の人が剣を振り上げる。


 剣はヒビキさんの方の肩に向けて振り下ろされ──。


「ふん」


 ヒビキさんは振り下ろされた剣を腕で跳ねのけた! ガン、という金属音と共に騎士の人の剣がへし折れ、剣の切っ先が飛んでいく。


「はあ!」


「いたたたたっ!」


 そして、ヒビキさんはそのまま騎士の人の腕を掴むと、捻りあげて制圧。


 一瞬のことにボクたちはぽかんとする。


「勝負あり、でしょう」


「ああ。私の剣があ……。特注品だったのに……」


「も、申し訳ない」


 ヒビキさんが騎士の人を解放するのに、騎士の人は折れた剣をしょんぼりと見つめていた。ご愁傷さまです……。


「…………」


「お嬢様はあなたがレッドドラゴンを討伐したものと認めると仰っています」


 フィーネさんもヒビキさんの実力を認めたみたい!


「…………」


「それでお嬢様は冒険者などという不安定な職を続けるより騎士になってはどうかと仰っておられます──って、お嬢様!?」


 お付きの騎士の人がまたびっくりする。


「お嬢様! 子爵閣下の許可もなしにそのような軽率な発言をされては! ヒビキ殿! 本気になさらないでください! これは正式な申請ではありませんから!」


「…………」


「ダメです! 勝手に臣下を加えるなど! まして異国のものでは!」


 フィーネさんがお付きの騎士の人の服の裾を引っ張って何事かをぼそぼそと告げるが、それは伝達されなかった。


 というか、困るよ! ヒビキさんはうちの村のエース冒険者なんだから!


「いや。生憎ですがそのお誘いが本気であれ、誉め言葉であれ乗れません。自分はここにいなければならない理由がありますので」


 そうだよね。ヒビキさんは前にも村にいてくれるって言ってくれたもんね!


「…………」


「お嬢様はしょんぼりしたと仰っています」


 それぐらい自分で言おうよ。


「…………」


「お嬢様は迷い人ならば異世界の話を聞かせて欲しいと仰っています」


 ボクもそれは気になるな―。


「どのような話が聞きたいのでしょうか?」


 ヒビキさんはどんな話をしてくれるかな?


「おい。ヒビキ、お荷物錬金術師。早くいかないと肉がなくなるぞ」


「わーっ! そうだった! バーベキューパーティーですよ、ヒビキさん!」


 ユリアさんが横から告げるのに、ボクは重大なことを思い出した!


「しかし、話を……」


「話ならばいつでもできる。聖ペトロ祭の新生竜の肉は残り数時間で村人と冒険者の胃袋に消える。さあ、急ぐぞ、ヒビキ」


 ヒビキさんが躊躇うのをユリアさんが強引に手を掴んで引っ張っていく。


「……待って……」


「すまない。また今度ということで」


 フィーネさんがか細い声を上げるのに、ヒビキさんが申し訳なさそうに手を振った。


「あーっ! もうじゃんじゃん焼いてますよ! 急がないと!」


「香ばしい匂いがする。シオモドキ草か。悪くない」


 シオモドキ草は細かく刻んでお肉に振りかけて一緒に焼くのだ。シオモドキ草の焼ける匂いは本当に食欲をそそるよ!


「さあ、食べましょう、ヒビキさん! ヒビキさんが狩ってきたんですから!」


「そうだな。たまには肉をたらふく食べるのもいいだろう」


 周囲に香ばしい匂いが漂う中で、ボクたちはお肉に食らいつく。


「うむ。このシオモドキ草というのは本当に胡椒の味がするな。胡椒より上品だ」


「でしょう? これでお肉が10倍は美味しくなるんです!」


 ヒビキさんがシオモドキ草が振りかけられた新生竜の肉の感想を漏らすのに、ボクも新生竜のお肉に食らいつく。いい焼き具合で、お肉の味とシオモドキ草の味が広がっていって口の中が幸せ空間です。


「ヒビキー。何やってたんだ? もうこっちは始めてるぞー」


「うわっ! エステル師匠、お酒臭いー……」


「そりゃ酒飲んでるからな―」


 エステル師匠ってばすぐお酒飲むんだから。


「エステル。あまり酒を飲みすぎない方がいいぞ。酒は体に悪い」


「はあ。何をあたしと同い年くらいのくせして悟ったようなこと言ってるんだい。人間、人生50年。太く短く生きるものさ。ほら、ヒビキも飲みな」


「う、うむ。ならば、付き合うとしよう」


 酔っ払いに説教しても意味ないですよ、ヒビキさん。


「酒のつまみはやっぱりカラネギ草で焼いた肉にマスタードだ。美味いぞ」


「ふむ。これは美味い。辛みがたまらないな」


「そうだろう、そうだろう。あんたは本当に分かってるな!」


 うへえ。あんなにマスタード付けたら辛いってレベルじゃないと思うけどな。その上、あの鼻がツーンってするカラネギ草で焼いてるんだから……。


「何を言う。アカヒカリ草の実で焼いたものをシンプルに食するのがいい。そんなにマスタードを塗りたくってはせっかくの肉が台無しになる」


「まーた。冒険者の小娘は腹が膨れれば何でもいいんだろう。こちとら大人の味覚だ」


「私だって大人だ。そちらの味覚はただの味覚音痴なだけだ。これを食ってみろ、ヒビキ。こっちの方が美味いぞ」


「何を言ってるんだい、こっちの方が美味いよな、ヒビキ?」


 ヒビキさんがすっごく困った顔してる。


「まあ、そうだな。どちらも美味い。甲乙つけがたいというものだ。それに俺は肉が食えればそれでいい。この肉は美味いぞ」


「そりゃそうだろう。新生竜の肉だ。美味いに決まってるさ」


 ヒビキさんが苦し紛れ気味に告げたのに、エステル師匠がケラケラと笑う。


「村、守ってくれてありがとな、ヒビキ」


「気にしないでくれ。俺のためでもあった」


 エステル師匠がふっと微笑み、ヒビキさんも小さく笑った。


「さあ、飲んだ、飲んだ! 冒険者の小娘にも奢ってやるから飲みな!」


「うん。ありがたくいただくとしよう」


 エステル師匠もユリアさんも飲むわ、飲むわだ。


 でも、いいよね。こうやって騒げると!


「リーゼ君。嬉しそうだな」


「それはそうですよ。お祭りですからね!」


 ボクがそう告げたとき、エルンストの山の方から爆発音がした。


 何事だろうと思ってみんながエルンストの山の方で空に向けて光が上がり、空で赤い色彩を放って輝いた! 綺麗だ! あんなの見たことない!


「花火か」


「綺麗ですね……」


 多分、エステル師匠が作ってたのはこれなんだろう。爆裂のポーションに色を着けて、空で輝かせるなんてエステル師匠ぐらいにしかできないもん!


「日本を思い出すな」


「日本にはこういうのがあるんです?」


「ああ。割と有名だったはずだ。夏祭りの時に打ち上げるものでな」


 そうか。ヒビキさんの故郷にも同じようなものがあるのか。


「綺麗なもんだろ。あれには苦労したんだぞ」


「うん。流石は錬金術師だな。感心した」


 エステル師匠も、ユリアさんも夜空を見つめている。


 さあ、気分も爽やかになったことだし、もっとお肉食べようっと!


…………………

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