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洋上に見えた太陽前編 sideA

マスターとともに訪れた彼らのその最後を見ていた私には、このようになってはならないという思いがよぎっていた。

どれほどの犠牲を払うことになっても、マスターには生きてもらいたい。

このわがままを伝えるわけにはいかない、それにマスターは必ず全員生きる道を模索するはずだ。

私にはそれができない、それが眩しすぎるのだ。

私たちはモンスターで、ダンジョンモンスターはダンジョンの外へ出ることも、ましてや意志を持つこと自体希だ。

そんな中で意思を持つ個体を、私より劣るとは言え作れるようになったのだ、利用しない手はない。

そんなわけで、作り上げたメイドスライムおおよそ百体。

私に似せておくことで、色々な意味でごまかしが効く、身長だけはどうしようもなかったが。




さて、任されたからにはやれることをやりましょう。


「みなさん聞きましたね」


「「「はい」」」


床から現れた、メイドスライム隊に命令を下しすぐさま配置に付かせる。

これは私の独断ではあるが、私一人では処理能力が足りない。

艦を動かすことはできても、戦闘までには手が回らなかった。

訓練していたメイドスライム達を使うことにより、なんとか戦闘行動にまでこぎつけた。

問題が出ても、おいおい修正していけばいいだろうと考えていた。


「それではこれより、戦闘を開始します」


水上戦闘モードの時は、指揮所が二つに分かれる今私たちがいる前部指揮所と電算機などの機器を積んだ後部指揮所その間に5連装魚雷管と偽装煙突を備え、主砲三門四基、副砲三門二基それぞれ前後に2対1で付いている。機銃は左右に十基ずつ高射砲は同じく四門ずつ、他多連装噴射砲を二十基備えている。

今回使うのは、主砲だけだ。運用試験としては物足りないが、今は確実性が欲しい。


「敵艦見ユ!!」


「濃霧弾装填、敵艦に向けて―――てぇ!!」


合図とともに、爆音が響く。

放たれた弾は寸分たがわずに、敵艦の上空で破裂し魔法の霧となって降り注いだ。

この霧によって、火薬を湿気らせることで大砲を使わせないという意味を持つ。

副産物として、視認式の魔法の発動を阻害できる。

この副産物は、私たちにとって大いに役に立つ。

海上で使う主流な魔法が、射撃型の視認式魔法だからだ。

これは誤射を防ぐと同時に、海戦では魔法は大砲のような運用法が主流だからだ。

このために、移動速度を上げるなどの補助を除いて、直接攻撃方法はなくなったと言えます。

このまま回路修復を急ぎましょう。そう考え厳戒態勢のまま私は修復作業に入りました。

しかし、思えばこれが油断だったのかもしれません。




それは海戦が始まって、おおよそ十分のことでした。


「……葵様!!八時の方向、濃霧の中に敵艦です!!」


「艦種は?!」


「こちらの霧を利用して、こっそりと近づかれたようです。あちらも霧を出して、こちらの索敵をごまかしたようです」


「敵はもうすぐ空騎隊を出撃させる模様!!」


しまった、けれどいま作業をやめるわけにはいかない。


「マスターに通達をメイドスライム隊、よろしくお願いします」


「はい」


ほどなくしてマスターが出た、私は現状を伝え指示を仰いだ。





音と光が彼らを埋め尽くした。海上に彼らの姿は残っていなかった。

無論のことながら、船上には何騎か残っているの確認できたが、その誰もが、閃光と爆音の中にさらされ、船はさながら海上の棺桶となっていました。

航行不能と断定していいでしょう。


「さらに前方、11時から1時のあいだまで、多数の艦艇を視認!!」


「先程とは違い隠蔽魔法を使用していたようです、索敵をかいくぐられました!!」


『距離と艦艇の正確な情報を頼む。俺は葵と第一救命艇の方へ向かう。来れるか?』


「問題ありません、すぐに向かいます。彼女を連れて」


即座に彼女のもとへ走ります。

最後の一手を打っておく必要がありますからね。

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