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情報共有と聖女

何事の問題もなく、三日が過ぎた。

このダンジョンは、という注釈がつくが。

事実、外の世界は変化している。特に聖国ではめまぐるしくことは変化していた。

悪化とも言いかえてもいいかもしれない。

ダンジョン側にとってだ。

そのために、会議を開くことにした。




それなりに広い部屋に不釣合なほど少ない人数が席についている。フェアリーの代表は笑顔だが、それ以外のコボルトの代表とスライムプリンセスの葵、そしてダンジョンマスターの上月かみつき遠谷とおやの表情はかたい。


「では第一回ダンジョン会議に入る。みんなに渡した資料のとおり、今回の議題は『ダンジョン脱出計画』についつてだ。備蓄体制に入っている穀物、野菜、果物について、なにか問題はあるか?」


「それについては、おふた方に話してもらいましょう」


「はい、穀物、野菜、果物に関しては、育成がたやすく多く実るものから、順次備蓄庫に入れております。妖精族の方々にも手伝ってもらってはおりますが、基本的に新種にはそれほど手をつけてはおりません」


「私の方からは問題点を申しておくわ。妖精族にも真面目なのとそうじゃないのがいるの。そうじゃないのに備蓄庫を何度か荒らされているわ。こちらでも対策はしておくけど、そちらでも対策案が出るのなら、出して欲しいの」


笑顔が曇る、どうやら彼女のデフォルトの表情は笑顔のようだ。小さくとも、その肩には多くの命が乗っている。それゆえの生き方だろう。


「わかった、そいつらに関しては、これから法というものの施工とともに処罰させてもらう。大丈夫だ、逃がすつもりはない。そして、君に監督責任を問うつもりもないが、今後は徹底してくれ。無論反発もあるかもしれない、がそれは処罰を見せてから聞いたほうがいい」


「そう。ありがとう」


それだけ言うと、そのまま椅子に座った。


「二人からは以上か?」


そう訊ねると二人は頷き、葵の方を向く、


「では私からで、いい報告と悪い報告があります、いい報告は悪い報告にも関係あるので先に報告させていただきます。ノアが完成しました、処女航海はまだですが、問題なく航行できるものかと」


「そいつは良かった、これで計画は大きく前進したな。で計画に絡む悪い報告とはなんだ?」


「はい、アクティブソナーによる海中探査を行なったところ。思わぬ反応があったので詳しく調べました」


そう言いながら、資料の5ページ目の写真を指さした。


「特殊班の甚大な努力により、撮影に成功しました。これは間違いなく海龍です、しかも聖国の支配下にある可能性のある海龍です」


「その支配している、モノはわかるか?」


「おそらく、顔の付近に刺さっている短剣かと思われます」


「脱出の際、必ずこの海龍を何とかしないといけないんだな」


「はい、そのための策はあります、ですがこれを行うとノアに少なくないダメージを負います、数分の航行速度激減は覚悟しなくてはなりません、それか一門の砲にどこかに寄港するまで修理不可能なダメージを負うか、です。私としては前者を押します理由はたった一つです。どちらにせよ浮上せざるをえないからです。その際に、確実に追撃が来ます。それが何隻なのかは不明ですが、一門でも砲が使用不可能になるよりも、速度低下の方が被害は少ないです。それに、策の実行しやすさは、前者に圧倒的な有利があります。ほかにも、急ぎこちらの脱出計画を急がねばならない理由があります」


「まった、こっちからも報告がある。その脱出計画の際、聖国の対応を遅らせるための作戦『天狗の新聞』と『トンボ』を発動したいと思う。がこれのも一つ問題がある新聞の方はもう出来ているし、あとは聖国の腐った部分を国民に流してやれば、それの対応にてんてこ舞いとなり援軍が出せなくなる。精鋭となまくら混合の烏合の衆の方が楽かもしれないが、数というのは思いの外戦局を左右しやすい。その不安要素を取り除くために『天狗の新聞』、『トンボ』を行う。それに際して、この作戦『トンボ』に必要なアーティファクトが向こうからやってきてくれる」


「そのアーティファクトを持ってくるのは、聖女ですね」


「正確には聖国の聖女の一人ということだ。無論聖女側にはそのアーティファクトのことは知らされていない。つまりその聖女は、聖国側にとって邪魔な存在だということになる。無論裏付けそのものも済んでいる。どうやらその聖女はあの国とは、そりが合わないらしい。魂胆としては、調査目的として送り込んで出来たばかりのダンジョンと一緒に葬ろうということだろう」


「ならば尚の事、急いだほうがいいのでは?」


「量産にもほかのことにも時間がかかる。こちらの情報が漏れているうちは、それを最大限に利用させてもらうまでだ」


「わかりました、これ以外に報告漏れはありませんね。では、各々方に伝えてください」


こうして会議は終わる。

その翌日、運命の歯車は一気に加速する。


「連絡です、聖女が来ました」

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