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「ふぁ~。さすがに疲れた。16時間20分労働はキツいよ。夜尿ばっかりで、事務仕事がほとんど出来なかった」
伸びをしながら越谷が言った。カラダは疲れているのだが、妙にアタマが冴えてしまっていて、半ばナチュラル・ハイになっているようだった。
「お持ち帰りか?」
「来月の処遇計画。もう1人分が手付かずだよ。夜勤で終わらせたかったんだけどさ」
言いながら、ザックの中を探る。ほっとした表情になった。
「良かった。ちゃんとあった」
見せたのは、USBメモリだった。
「いいのかよ?」
セキュリティのことを、江島は問うている。
「暗黙の了解。こうでもしないと、仕事が終わらないよ。一応パスワード、噛ませてあるし」
「でも、バレたら……」
江島は首筋に、水平にした手の平を当てた。
「その通り。でも主任がやってるんだぜ? ネットにつながない状態でやるさ。せっかくのネットブックだけどな」
タバコの灰をとんとんして、越谷はもう一度大きく伸びをした。