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 ビールの酔いも手伝い、気持ち良さそうに越谷は一服する。須田は煙が流れて来ようとも、全く関係ない表情で、おにぎりをぱくついていた。あっと言う間に食べ尽くす。

「須田さー。もうちょっと噛んでから食えよ。飲み込んでるだけだろ、それじゃ」

「『痩せの大食い』なお前には言われたくない」

「でも、ホントだよな。何で越谷ってあれだけ食って、全然太らないんだ?」

 江島が少々恨めしそうに言う。須田も、

「お前の方がおかしいよ。回虫でもいるんじゃねーの?」

「失礼甚だしいな。今年の検診、引っかかったのは低血圧だけだ」

 灰皿にもみ消しながら答える。越谷は先ほどのことば通り、本当によく食べる。それでいて、全く太らないのだ。統合失調症の抗精神病薬クスリで、副作用に、『太りやすい』と言うのがあるが、越谷について言えば、全くそれは的外れだった。

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