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不意にチャイムが鳴った。
「ご到着かな?」
よっこらせと、江島が立ち上がる。玄関から入って来たのは、少々小柄の青年だった。ジーンズとTシャツの上に、洗いざらしのシャツをはおっていて斜めにカバンを下げている。須田だった。穏やかだった表情が曇る。
「何なんだよ、この煙。お前たち吸い過ぎ」
「仕方が無いだろー。タバコ吸ってんだから」
「越谷。お前バカだろ」
「オマエモナー」
「ゼンゼンイクナイ!」
そんな越谷と須田に、江島は、
「『2ちゃん』で会話するな。お前たち、ホントにバカだな」
「『たち』じゃないだろ。越谷だけだ」
「オレに言わせてもらえば、オレたち全員バカだぜ?」
沢が言った。笑い声が満ちる。越谷は、
「『類友』なのか『朱に交わった』のか」
カバンを下ろしながら、
「どっちもだろ。少なくとも、オレはお前たちほどじゃ無い」
須田が言った。続けて、
「オレ、メシ食うよ? 今ファミマって、おにぎり100円なのな。助かるよ」
手巻きおにぎりを黙々と食べ始める。