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「お。来たかな」
江島がジーンズのポケットから、ケータイを取り出した。
「おうよ。うん、うん。分かった。酒飲んでる。オレ? 飲めねっつの。メシ? 下のコンビニででも買って来いよ。じゃな」
再びケータイをポケットに捻じ込む。
「須田?」
1缶目を空けた越谷が言った。夏の暑さが飲むスピードに拍車をかける。
「そー。タクシー拾ったって。近いからすぐ来るだろ」
沢が飲みながら、
「職場、近距離でタクシーとは。贅沢なことだ」
「疲れたから歩きたくないんだと」
江島はまたタバコを吸う。吐き出しながら答えた。
「お前たちは稼ぎ頭だからな」
沢のことばに、
「ウチは安いぜー? 夜勤の『特殊勤務手当』が無かったら、とっくにこんな仕事辞めてるよ」