表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

[第1話:8月18日 ことの始まり]

その夏、ニュースでは過去最高の猛暑を報じていた。

僕のアパートは西向きで、どういうわけか冬は寒く夏はくそ暑い。

そんな夏のある日に僕は地獄を経験することになる。

しかし、当初の僕は待ち受ける地獄など知る由もなく、先輩にただで譲ってもらったバイクにウキウキしていた。


「それにしてもラッキーだったなあ。先輩もタダで譲ってくれるなんて太っ腹だよな♪」

僕はついさっき先輩からバイクを譲り受けたところで、先輩の家からバイクに乗って帰路についている所だった。

バイクはかなりボロボロで、カラーリングは剥げ、ランプは割れ、いたる所が錆付いていた。

それでも貧乏な僕は乗れればなんでもよかった。


しばらく走ると右手にガソリンスタンドが見えた。

そういえば先輩がガソリンがそろそろなくなる、ということを言ってたっけ。

ここから僕のアパートまではまだ時間がかかる。

僕はそのまま右折してガソリンスタンドに入った。


「満タンで。」

「あいよ。」

ガソリンスタンドのおっちゃんは人のよさそうなニコニコ顔で、鼻歌まじりにガソリンを注入し始めた。

僕はこれから始まるであろうルンルンドライビングライフに思いを馳せ、心弾ませた。

彼女なんかもできちゃったりして〜うへうへ(笑)


しかしゴプゴプッという音で我に返った。

見ると、(思わず二度見してしまった)おっちゃんはオイルを入れる方にガソリンを入れていた。しかも溢れるほど…

「おっちゃん、そこ違う!」

「あちゃっ!」

おっちゃんはペロリと舌を出し、いけね!っという表情をしたがすぐに笑って

「大丈夫、大丈夫☆ガソリンもオイルも同じようなものだから。」

と言って何事もなかったかのようにガソリンタンクにガソリンを入れ始めた。

そうなんだ、問題ないんだ…と思った僕はそのままガソリンスタンドを後にした。


しかし思えば僕の戦いはここから始まっていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ