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第9話 凛の危機
決定的な場面に遭遇したのは、侵食体を初めて見てから1週間後のことだった。
放課後、凛と教室で勉強していたときだ。突然、凛が頭を抱えてうずくまった。
「白石さん!?」
「……頭が……痛い……」
蒼太が【叡智の瞳】を発動すると、凛の背後に黒い影が取り付いているのが見えた。さっきよりも大きい。人の上半身ほどの大きさの影が、凛の負の感情を——ストレスや不安や疲労を——吸い取っている。
「——離れろ!」
蒼太は反射的に叫び、右手を突き出した。手のひらから金色の光が放たれ、【聖盾】が展開する。光の壁が影を弾き飛ばした。
影は甲高い叫び声を上げて、窓から外に飛び出していった。
凛が顔を上げた。目に涙が浮かんでいる。
「桐谷くん……今の、何……?」
蒼太は凍りついた。
——見られた。
凛の目は、蒼太の手のひらに残る金色の光を、確かに捉えていた。




