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エピローグ
夜。
蒼太は自室の引き出しから、あの本を取り出した。『勇者エルドの冒険』。ボロボロの表紙を、そっと撫でる。
ページを開いた。あとがきのページ。子供の頃は読み飛ばしていたが、そこにはこう書かれていた。
> **この物語を読んでくれたすべての子供たちへ。**
>
> **いつか現実が辛くなったとき、思い出してほしい。**
>
> **勇気は、特別な力じゃない。**
> **転んでも立ち上がること。**
> **泣いても前を向くこと。**
> **一人じゃないと気づくこと。**
>
> **それが、本当の魔法だ。**
蒼太は本を閉じて、胸に抱きしめた。
「……ありがとう、父さん。——ありがとう、エルド」
窓の外で、東京の夜景が瞬いている。無数の光。一つ一つが、誰かの日常。誰かの物語。
蒼太の指先が、金色に輝いた。
——おとぎ話は終わらない。
現実の中で、ずっと続いていく。
—『現実勇者』 完—




