表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/27

第13話 新宿の上位個体

 翌日の放課後、蒼太と凛は新宿に向かった。


 歌舞伎町の裏路地。人通りの少ないエリアに、今までで最大の侵食体が潜んでいた。ビルの3階建てほどの巨大な黒い影。無数の目と口を持つ、悪夢のような姿。


「……でかい」


 蒼太の口から、思わず声が漏れた。


「桐谷くん、これ……」


 凛の声も震えている。


 蒼太は【叡智の瞳】を発動した。


```

侵食体・上位個体

危険度:B

周囲半径500mの負の感情を吸収中

浄化には【浄光の矢】を10発以上要する

推定必要MP:80以上

```


 ——80? 俺の最大MPは30だ。全力で撃っても、足りない。


「白石さん、援護頼む。俺が正面から攻撃する」


「わかった。気をつけて」


 蒼太は覚悟を決めて飛び出した。【浄光の矢】を連射する。金色の光が闇を切り裂く。しかし、侵食体はすぐに傷を修復してしまう。凛の【風の詠唱】が影の動きを鈍らせるが、決定打にはならない。


 ——ダメだ。MPが足りない。


 3発、4発。蒼太のMPがみるみる減っていく。5発目を撃った時点で、残りMPは2。視界が霞み始めた。


 その時——。


「——情けないな、桐谷蒼太」


 声が降ってきた。見上げると、ビルの屋上に黒崎零が立っていた。


 零は片手を軽く振った。漆黒の炎が放たれ、侵食体の半身を一瞬で焼き尽くした。


 侵食体が悲鳴を上げて後退する。零はビルから飛び降り——いや、闇を足場にして滑るように降りてきた——蒼太の前に立った。


「光の力だけじゃ無理だって言っただろう。闇には闇をぶつけるのが効率的だ」


「お前……助けてくれたのか?」


「助けた? ——そうだな、結果的にはそうなった。でも僕の目的は別にある」


 零は蒼太に振り返った。銀色の髪の下から覗く瞳は、深い闇色をしている。


「桐谷蒼太。僕と手を組まないか」


「……手を組む?」


「侵食体はこれからもっと増える。君の光の力と、僕の闘の力。両方がなければ、東京は守れない」


 蒼太は迷った。零の力は圧倒的だ。あの侵食体を一撃で半壊させるほどの。けれど、その力には何か不穏なものを感じる。


「……考えさせてくれ」


「いいよ。でも、あまり長くは待てない。時間がないんだ——文字通りね」


 零は意味深な笑みを浮かべて、再び闇に消えた。


 戦いの後、蒼太と凛はボロボロの状態で帰路についた。身体中が鈍く痛む。MPの枯渇は、肉体にもダメージを与えるようだった。


「桐谷くん……あの人、信用できるの?」


 凛が不安そうに言った。


「正直、わからない。でも……あいつの言う通りだ。俺たちだけじゃ限界がある」


 蒼太は自分の手を見つめた。あれほど輝いていた金色の光が、今は弱々しくちらついている。


 ——力が足りない。もっと強くならなきゃ。でも、どうやって?


 答えは見つからないまま、蒼太はただ歩き続けた。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ