魔人襲来後
三人組のその後
異常事態から一夜明け、学園は混乱に包まれていた。
颯馬は左腕を失い、絶望に沈んでいる。
悠真は致命傷を負ったが、必死の治療で命は繋ぎ止められた。長期療養は避けられない。
沙耶は仲間を救えなかった自責と、恐怖に打ちのめされていた。
――彼らが再び以前のように振る舞える日は、当分来ないだろう。
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学園の謝罪
幸い死者は出なかった。だが、負傷者は多数にのぼる。
保護者や民衆から非難の声が殺到し、学園は謝罪を余儀なくされた。
「生徒の安全を守れなかった」と声明を出したものの、評判は大きく揺らいだ。
学園長・加賀谷 玄道 は険しい顔を崩さず、報告を受ける。
「……民の目を誤魔化すことはできまいな」
黒崎獅童は淡々と答える。
「恐らくだが――あれは魔人の仕業だ。ミノタウロスや人型スライムを呼び込んだのも奴だろう」
学長は深く頷いた。
「重く受け止めよう。だが、今は騒ぎを収めるしかない」
やがて学園は一時休講を発表した。
ただし「希望者は登校可能」とされ、訓練の場は残された。
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特別な呼び出し
その日の午後。
俺と蓮、澪、琴音の四人は黒崎に呼び出された。
「透と蓮には稽古をつける。……お前ら(澪と琴音)も来るか?」
黒崎の問いかけに、澪は迷わず頷いた。
「透の力を支えたいから。私も行きます」
琴音もきっぱりと答える。
「仲間が戦うのに、私だけ休むなんてできません」
黒崎はわずかに口角を上げた。
「いいだろう。なら四人まとめて鍛える」
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力の自己分析
俺は透明なビーズを握りしめ、言葉を絞り出した。
「……恐らくだけど、俺の力は“守りたい”って強い意志を持った時に発動します。
代償は魔力で、使い切ると体が動かなくなる」
黒崎は腕を組み、じっと俺を見据えた。
「なるほど。では光永――お前はその力の本質が何だと思う?」
「……本質……?」
思わず聞き返す俺。
黒崎はそれ以上答えを与えず、ただ鋭い視線を投げかけてきた。
――問いの意味を、自分で探し出せと告げるように。
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四人への言葉
黒崎は視線を四人に巡らせ、低く言い放った。
「透は力の発動条件を理解しろ。無意識では命を賭けることになる」
「蓮は模範を示せ。お前が基準だ。仲間を導け」
「澪は回復の限界を知れ。無理な癒やしは仲間を殺す」
「琴音は風の精度を上げろ。ただの援護ではなく、守りの一撃に磨きをかけろ」
重い言葉が胸に突き刺さる。
俺たち四人は顔を見合わせ、それぞれにうなずいた。
――特別な訓練が、ここから始まる。




