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不適合者のビーズ使い  作者: パシパシ


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25/25

暗影が忍び寄る準々決勝

トーナメントはついにベスト8へと突入した。観客席の熱気は頂点に達し、黒崎獅童の開会の声が石造りの競技場に響き渡る。


「――準々決勝、第一試合! 光永透 対 紫藤しどう亮真(りょうま)!」


現れたのは三年生の紫のビーズ使い。毒霧や幻惑を操ることで知られる実力者だ。


「無色でもここまで勝ち上がるとは思わなかった。だが、ここで終わりだ」


開始の合図と同時に紫煙が広がり、透の視界が奪われた。透明の壁で霧を押し返すものの、視覚に頼れない状況に体力を削られていく。次第に毒の痺れが手足に回り――しかし透は幼い頃から身に付いた「守りたい」という強い意志で意識を集中させた。


「……俺はもう負けない。守る力は……攻めにもなる!」


瞬間、透の周囲に幾重にも透明の結界が展開し、霧ごと紫藤を閉じ込めた。そのまま結界を一点に収束させ、内部の毒を反転させる。紫藤は自らの毒により戦意を失い、膝をついた。


「――勝者、光永透!」


透は膝をつきながらも拳を握り締めた。これまでより明確に攻撃へ転じた結界操作は、特訓の成果と覚悟の現れだった。


友と戦う試合


第二試合は若葉澪と如月琴音。互いを支え合ってきた仲間同士の対決に、会場が静まり返る。


「澪ちゃん、遠慮しないからね」と琴音が風の刃を纏う。澪は緑の矢を構え、柔らかな微笑みで応えた。


二人の戦いは華麗でありながら、相手の長所を知り尽くしているからこその読み合いが続いた。琴音の高速移動に澪の矢はなかなか当たらないが、澪が放つ癒しと痛みを反転させる矢が琴音の集中力を削っていく。


最後は、澪が矢を放つふりをして敢えて空振りし、琴音の後ろに回り込んで体勢を崩した。琴音は笑いながら降参した。


「澪の勝ちだよ。さすがだね」


二人は互いの手を握り、観客席からは温かな拍手が送られた。


暗躍する影


その頃、観客席の片隅でフードを被った男が静かに試合を見つめていた。以前、藤堂颯馬に声をかけた人物だ。その隣には見覚えのある男が座っている。藤堂――義手を握りしめたまま、試合ではなく男の横顔を睨んでいた。


「やはり来たか、”祈り子”たちの力を試すには良い舞台だ」


フードの男は呟き、紫色のビーズを指で弄ぶ。頬の奥で笑みが滲んだ。


試合が進む中、観客席の上空に薄暗い渦が広がり始める。それに気付いたのは黒崎と神谷蓮だけだった。


「……また奴らか」


蓮が黒の剣に手をかける。次の瞬間、闇の中から前回のダンジョンで姿を現した”悪魔”が降り立った。観客席が悲鳴に包まれる。


「諸君、祭りの途中で悪いね。再び世界を測るために来た」


黒崎が生徒を避難させ、蓮と透、澪、琴音が闘技場へ集まる。悪魔は口元を歪める。


「君たちの力、この目で確かめよう。七つ目の色を宿す者も……いるようだしね」


その言葉に蓮が一瞬眉を動かした。透は無意識に自分の透明なビーズを握りしめる。


新たな戦いへ


観客を守るため、四人は再び共闘することを決意する。大会は中断され、学院は混乱に包まれるが、彼らは怯まなかった。


「今度こそ、逃げない」と悠真が立ち上がり、負傷した腕で盾を構える。藤堂颯馬も義手を握りしめながら一歩踏み出した。フードの男はそれを見てニヤリと笑う。


――こうして、学院を揺るがす新たな戦いの幕が開く。蓮の正体と第七の色の真実、フードの男の目的はまだ語られていない。次回、若きビーズ使いたちは、自らの力と信念を懸けて暗き影に挑むことになる。

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