光永透 vs 天城悠真
トーナメント4回戦開幕 ― 因縁の対決
試合場はこれまで以上の熱気に包まれていた。
黒崎獅童が中央に立ち、観客を見渡しながら告げる。
「これより、トーナメント4回戦――ベスト16を決める戦いを始める!」
観客席がどよめきに包まれる。残ったのはわずか16名。誰が負けてもおかしくない実力者ばかりだ。
「第一試合――光永透 対 天城悠真。前へ」
その瞬間、会場はさらに熱を帯びた。
「ついに来たか……!」
「無色と青の盾。宿命の対決だ!」
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因縁の二人
悠真がゆっくりと歩み出る。
手にした青の盾は光を帯び、重厚な気配を放っていた。
「透……。俺は、この戦いで証明する。もう昔の俺じゃないってことを」
その声は真剣そのもので、かつての嘲笑を浮かべていた少年のものではなかった。
対する透は、透明のビーズを強く握りしめる。
「なら――俺も全力で応える。ここで決着をつけよう」
黒崎が腕を振り下ろす。
「――始めッ!」
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守りと反射の激突
悠真が突進する。
巨大な盾を正面に構え、地を砕く勢いで迫る。
透は即座に透明の壁を展開。だが、盾の一撃は壁ごと押し潰すように叩き割った。
「っ……!」
衝撃で透の体が後方に弾き飛ばされる。
しかし、透は空中で透明の足場を作り、すぐに体勢を立て直す。
反撃の透明の矢を十数本射出するが、悠真は盾を巧みに動かし、すべてを弾き返した。
「さすがだな……でも!」
透は槍を生成し、連撃を仕掛ける。だが悠真は盾を軸に回転し、攻撃をすべて防ぎ切る。
――盾と反射。正反対の守りが正面からぶつかり合い、轟音が会場を揺らす。
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決着の瞬間
「透! 俺は、この戦いで示すんだ……! 俺がもう、逃げないってことを!」
悠真の叫びとともに、青の盾が眩い光を放つ。魔力を全解放し、衝撃波を叩きつけた。
透は即座に壁を三重に重ね、反射で押し返す。
衝撃波が砕け、透明の刃が悠真の盾を真正面から貫いた。
バリィン――!
光が弾け、悠真の盾が粉々に砕け散る。
悠真は膝をつき、力尽きたように地面に手をついた。
「……勝負あり。勝者、光永透!」
黒崎の声が響き、観客席が爆発するような歓声に包まれる。
「無色がまた勝った……!」
「天城の鉄壁を破るなんて……!」
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戦いのあと
悠真は荒い息を吐きながらも、透を見上げて言った。
「……透。強くなったな。本当に……」
その声には、かつての傲慢さは微塵もなかった。
透は黙って頷き、悠真の言葉を受け止める。
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他の試合
その後も試合は続いた。
若葉澪は緑の矢で相手を翻弄し、的確にダメージを与えて完勝。
如月琴音は風の隠密で姿を消し、相手を追い詰める戦術で勝利。
神谷蓮は黒の剣を振るい、一撃で相手の武器ごと叩き折って勝利を収めた。
いずれも危なげない試合だった。
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ベスト8発表
夕刻、黒崎が壇上に立つ。
「――これにて4回戦は終了。ベスト8を発表する!」
場内が静まり返る。
「光永透」
「若葉澪」
「如月琴音」
「神谷蓮」
さらに4名の生徒の名が読み上げられた。
観客席から大歓声が上がる。
「ついにベスト8が決まったぞ!」
「ここからはもう、一瞬の油断も許されない!」
透は拳を握りしめる。
(次は――誰が相手になる……?)
トーナメントはついに佳境、準々決勝へと進む。