実力の証明
第二日目 ― 開幕
翌朝。
観客席には敗退した生徒や上級生たちが集まり、昨日以上の熱気が渦巻いていた。
黒崎獅童が試合場に立ち、鋭く告げる。
「第一試合――光永透 対 佐久間剛志。前へ!」
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第一試合 ― 光永透 vs 佐久間剛志
現れたのは筋骨隆々の大柄な少年、佐久間剛志。
黄色のビーズが光り、周囲にバチバチと雷が迸る。
「無色? 昨日はたまたまだろ。今度は焼き尽くしてやる」
豪腕に電撃を纏わせ、拳を握りしめる佐久間。
観客からも声が飛んだ。
「透は無理だ!」「雷は防げない!」
だが透は深く息を吸い、透明のビーズを強く握った。
「――始めッ!」
雷を纏った拳が唸りを上げて迫る。
その瞬間、透の前に透明の壁が展開され、轟音とともに反射した。
逆に佐久間の体へ雷が弾き返され、電撃が全身を駆け抜ける。
「ぐあああああっ!」
膝をつく佐久間。再び立ち上がろうとするが、透はすでに透明の刃を構えていた。
「俺は……守るために戦う。もう、“偶然”なんかじゃない!」
刃が雷を断ち、佐久間の武装は砕け散った。
「――勝負あり! 勝者、光永透!」
観客はどよめきながらも、もはや「まぐれ」とは口にしなかった。
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第二・第三試合
若葉澪 は回復の矢を応用し、的確に相手の動きを封じて危なげなく勝利。
如月琴音 も風の支援を自分に重ね、敵の視界から消える一撃で圧倒した。
いずれも昨日の戦いを経て、自信と安定感を見せつけていた。
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第四試合 ― 天城悠真 vs 神田隼人
神田隼人 は双剣を操る俊敏な戦士だった。
赤のビーズを輝かせ、灼熱の斬撃を連続で繰り出す。
「盾なんかで俺の速さは止められない!」
観客席からも期待の声が上がる。
「隼人は速いぞ! 悠真には荷が重い!」
だが 天城悠真 は冷静だった。
青の光が盾を包み、灼熱の斬撃を受け止める。
一撃、二撃、三撃――隼人の猛攻をすべて耐え切る。
「くそ……なんで折れねぇんだ!」
隼人が焦りを見せた瞬間、悠真が低く呟いた。
「守るだけじゃない。俺は――勝つために盾を握る!」
盾から放たれた衝撃波が、隼人を弾き飛ばす。
双剣が地面に転がり、彼は立ち上がれなかった。
「――勝負あり! 勝者、天城悠真!」
観客は大歓声を上げた。
「悠真が……本当に変わった!」
「以前の驕りはもうない……!」
悠真は膝をつき、深く息を吐いたが、瞳は力強く前を見据えていた。
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第五試合
神谷蓮 は黒の刃を振るい、一瞬で相手を圧倒。
観客は戦慄し、黒崎獅童はただ一人、その異様な強さを静かに見つめていた。
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二日目の終わり
こうして二日目、64名の挑戦者はさらに半分の32名へと絞られた。
透、澪、琴音、悠真、蓮――全員が勝ち残り、次なる舞台へと進むのだった。
第三日目 ― 開幕
三日目の朝、学園は再び熱気に包まれていた。
昨日までで64名が32名にまで絞られ、いよいよ強者同士の激突が始まる。
観客席には敗退者や上級生たちが集い、歓声が渦を巻いた。
黒崎獅童が中央に立ち、試合開始を告げる。
「第一試合――光永透 対 水城涼介。前へ!」
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第一試合 ― 光永透 vs 水城涼介
水城涼介は二年の上級生。
青のビーズを操る水術の達人で、学園でも粘り強さで知られていた。
「無色の一年坊主が……昨日はたまたまだろ。だが水は全てを呑み込む」
開始の合図と同時に、水流が蛇のように透へ襲いかかる。
観客席からもざわめきが走った。
「水城先輩は持久戦が得意だ!」「透は飲み込まれるぞ!」
だが透は冷静に透明の盾を展開し、水流を受け流す。
さらに拳大の透明の結晶を飛ばし、水の流れを逆に弾き返した。
「なっ……水を押し返しただと!?」
透の攻撃は派手さこそないが、確実に相手の動きを封じていく。
水城が大技を繰り出そうとした瞬間、透の透明の刃が一直線に走り、杖ごと打ち砕いた。
「――勝負あり! 勝者、光永透!」
観客席は大きなどよめきに包まれる。
「また勝った……!」「相手は二年の実力者だぞ!」
「透はもう偶然じゃない。……あいつ、本物だ」
昨日まで「まぐれ」と言っていた声は消え、
代わりに称賛と畏怖が混じった視線が透へと注がれていた。
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第二試合 ― 若葉澪
若葉澪は緑の光矢を巧みに操り、相手を圧倒。
わずか数分で勝利を決め、観客席から称賛の声が上がった。
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第三試合 ― 天城悠真 vs 真壁敦
黒崎が再び告げる。
「第三試合――天城悠真 対 真壁敦。前へ!」
真壁敦は大柄な三年生。
鋼鉄のような体を誇る防御型で、赤のビーズを纏った大斧を構えていた。
「盾で守るだと? 俺の一撃は大地ごと両断するぞ!」
斧が振り下ろされ、地面が割れるほどの衝撃が走る。
観客から悲鳴が上がる。
「悠真が押し潰される!」
だが悠真は歯を食いしばり、盾で直撃を受け止めた。
火花が散り、盾がきしむ――それでも折れない。
「……これが、お前の“最強”か? 俺はもう、負けない!」
悠真が全力で押し返すと、真壁は巨体ごと吹き飛ばされ、大斧を取り落とした。
「――勝負あり! 勝者、天城悠真!」
観客席は総立ちになり、昨日に続き悠真の成長を目の当たりにして息を呑んだ。
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第四・第五試合
如月琴音は風の刃を操り、相手を翻弄して快勝。
神谷蓮は黒き一閃で相手を斬り伏せ、ほとんど反撃の隙を与えなかった。
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三日目の終わり
こうして三日目、32名の挑戦者はさらに半分の16名へと絞られた。
透、澪、琴音、悠真、蓮――全員が勝ち残り、準々決勝へと駒を進める。