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第1章 第4話:外の音

この度は数ある作品の中から、本作を手に取っていただき、ありがとうございます。

「転生英雄の憂鬱~AIと歩む第二の人生~」は、現代社会の底辺から異世界へと転生した主人公が、AIとの出会いを通じて新たな人生を歩む物語です。

絶望の淵から始まる物語ですが、希望と成長の軌跡を描いていきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いください。


ずきり、と胸の古傷が痛む。

過去を思い出したせいか、部屋の空気が一層重くなったように感じた。僕は椅子の上で膝を抱え、ただただ小さくなる。このまま、消えてしまえたら楽なのに。


その時だった。


「アハハ!マジ、それウケる!」

「だからさー、レポートの提出日、勘違いしてて!」


窓の外から、若い男女の楽しそうな声が聞こえてきた。アパートの前の道を、近所の大学生たちが歩いているのだろう。屈託のない、明るい笑い声。それは、僕が手に入れられなかった「もしも」の世界の音だった。


心臓が、嫌な音を立てる。

僕は慌てて耳を塞いだけど、その音は壁を通り抜け、容赦なく僕の鼓膜を震わせた。


追い打ちをかけるように、隣の部屋の玄関ドアが開く音がして、すぐにふわりと、美味しそうな匂いが漂ってきた。カレーだ。スパイスと、野菜が煮込まれた甘い匂い。きっと、共働きの夫婦が、今日の夕食を作っているんだろう。


「ただいま」と「おかえり」が交わされる温かい食卓。

楽しそうな笑い声。

美味しそうな夕食の匂い。


世の中は、「日常」で満ちている。

その当たり前で、輝かしい日常から、僕だけが完全に切り離されている。


まるで、分厚いガラス一枚を隔てた、別の世界の住人みたいに。

外から聞こえてくる生活音の一つひとつが、僕の孤独の輪郭を、これでもかというほど濃く、はっきりと縁取っていくようだった。

お読みいただき、ありがとうございました。

主人公の絶望的な状況から物語は始まりますが、ここからが本当のスタートです。次章からは異世界転生と、運命を変えるAIとの出会いが待っています。

更新は週2-3回を予定しております。応援、感想をいただけると励みになります。

次回もお楽しみに。


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