二
昼休み、弁当を食べ終わった僕は、グラウンドに走って日光浴をしに行った。
人間は日光を浴びると、幸福感をもたらすホルモンが分泌されるらしい。
嘘だ。僕が感じたのは、全身が熱くなり、訳もなくイライラするだけだった。
あの場面を思い出すたびに、僕は拳を握りしめた。
誤解であってほしい、普通の親戚関係のはずだと信じてた……
嘘だ。親戚がキスするか?舌まで絡めるか?
考えるだけで吐き気がした。
「君、ここで何してるの?」
「え、日向ぼっこしてるだけ。」
「じゃあ、私も一緒に。」
誰だよ、頭おかしいのか?
振り返ると、Aカップが二つ並んだ平坦な胸が目の前に立ちはだかっていた。
「何、失礼なこと考えてるの?」
「ご、ごめん。」
僕の微妙な表情まで見抜くなんて、さすがはクラス委員長だ。
「何か悩みごと?期末テスト、ヤバいの?」
「それは絶対にない。」
自信ありげに口を尖らせたが、すぐに沈んだ表情になった。
「委員長、彼氏いたことある?」
「あるけど、どうして?」
「浮気されたことある?」
「あるよ。」
委員長はあっさりと言った。「私が塾にいる間、友達と浮気してた。しかも、友達とスマホを交換して遊んでた時に気付いたんだ。」…「どうやって立ち直ったの?」
「ちょっとしたことをして、彼に相応の報いを受けさせたよ。」
僕は慌てて身を起こし、委員長の手を掴んだ。
「教えてください!先輩!」
「どうしたの、洛萱に何かあったの?」
僕は大きくため息をつき、そのまま地面に倒れ込んだ。
「そう、彼女が浮気したんだ。」
彼女まで浮気するなんて、この世の中はどんどん悪くなってるよ。
委員長はそう言った。
「そんな場面を見た君は、心の中で何を思った?」
「もういいや、特に言いたいこともない。」
「それじゃダメだよ。君がどこまで復讐したいのか、まず知っておかないと。」委員長は考え込むように言った。「軽いのは、彼女を学校で顔を上げられなくすること。重いのは、友達に見捨てられるくらいにすること……でも、後者はもっと証拠が必要だね。」
「う……」
「とにかく、まずは証拠集めが大事。洛萱の友達で私の知り合いもいるから、私が担当する。君は何もなかったふりをしてて。もちろん、彼女と話して気持ちを整理してもいいし、完全に憎むのもいい。」
「それと、恋人(『恋人』という本)を読み返してみるといいかも。何か役に立つかもしれないよ。」
ありがとう、ボス!
「もちろん、これはタダじゃないよ。まずは二千円払って。」
「わかった。」
コトン、お金が消える音。
「じゃ、連絡待っててね。」
話が終わると、ちょうどチャイムが鳴った。