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「とある教育ユートピア」の目的は西洋文明を超克すること

誰が呼んだか、狸が運営する「でっかい私塾」は「とある教育ユートピア」であると。狸がこの「でっかい私塾」を運営する究極の目的は「西洋文明の超克」する事です。


西洋文明は今曲がり角に来てます。西洋文明は、ここ500年ほどに渡って国際的な覇権を確立して来ましたが、それが今揺らいでます。誰が見てもその失速は余りあるほどで、特に2022年のウクライナ侵攻以降、国際間のパワーバランスの変化により、非西洋の国々の国際的な影響力が増して、もしかしたら西洋は「敗北」したのではないかと言う知識人もいる程です。


そうでなくとも、西洋文明の限界は100年前から言われていた事です。それが巡り巡って第一次大戦後と似たような状況が現代に出現してます。


大川周明などが言った「大アジア主義」は西洋文明の超克を目指す流れでした。「大アジア主義」は、第二次大戦の敗北から、侵略思想と見做されました。また、1922年に建国されたソビエト連邦(旧ソ連)も西洋文明の毒を超克するというイデオロギーを持ってました。


現代ロシアの国家イデオロギーとなっている、イヴァン・イリイン他の思想は、ロシア革命の西側に亡命した白衛軍(白系ロシア人)の人達のものです。それはロシア正教の思想が、西洋文明の毒を克服するという物語でして、今のプーチン政権に多大な影響力を持ってます。


2022年のウクライナ侵攻以降に国際社会のメインプレイヤーになりつつありそうな、ヒンドゥー・ナショナリズムのインドや、シーア派による宗教国家のイラン、タリバン政権下のアフガニスタンもその流れを感じないわけにはいきません。


「世界一貧しい大統領」と言われた、ウルグアイのホセ・ムヒカなどの中南米の反資本主義的な左派政権にもその系譜を色濃く感じる事ができるでしょう。


即ち、西洋文明は次のフェーズに来てます。それまで西洋文明は他の文明と決して混ざる事はありませんでした。それは一神教文明でありながら、非常に東洋的に見える東方正教会(ロシアやギリシャのキリスト教)やイスラームとの違いです。


なぜそうならなかったかと言えば、西洋文明が他の文明と混じるのならば、東洋文明に飲み込まれて西洋の圧倒的な覇権・影響力は持てないからです。


16世紀の時点から、西洋キリスト教はインドやイスラーム世界で論争によって勝つ事はほぼ難しかったのです。


西洋文明の強みは科学技術とそこから生じる贅沢な暮らしです。今でも西洋文明の強みはここにあると言って間違いはありません。


しかし、それも限界を迎えようとしてます。それまで西洋文明の科学力によって押されていたアジアの思想、宗教の影響力が復活してます。


狸にはハッキリと「西洋文明の普遍性」が剥がれ落ちてると感じるからです。


西洋文明の力は、18世紀のヨーロッパの貴族社会で完成したライフスタイルの一般化でした。産業革命の生産力の拡大によって、一般層にもそのような夢の暮らしが可能になるというのが、西洋文明ならびに資本主義の推進力だったのです。


一般的に「育ちが良い文化」とされるクラシックバレエや西洋音楽などの「文化資本」などと呼ばれるものも、18世紀の貴族文化の一角なのです。


日本は、欧米の植民地になっていた他の国より100年遅れて、18-19世紀の中上層の価値観を身体化しましたが、完全に世界の流れからは逆行してます。


欧米によって押されていたユーラシア地域が復活したならば、「育ちの良い」とされる文化はこれからも普遍的な価値として通じるのであろうか?と。


狸はそう思ってないからこそ、活路はかつて大川周明などが言った「大アジア主義」にあると思ってます。別に軍事行動をする必要はありません。現行の国際秩序を変更せずとも、文化的な影響力によってそれを成し遂げる事が可能だからです。


欧米諸国は巷を騒がせるトランプ関税よろしく、弱体化すると関税による保護貿易に転換するのがお家芸です。となるならば、大アジア主義的な方向性に活路を見出すのはあながち間違ってないと思うからです。


しかしながら、旧ソ連の構成国などのユーラシア地域の国々は、戦後日本のように国民全てが西洋文明についていく事が幸せだという国民的経験を持っておらず、未だに現代日本からすると知識層含め「田舎のヤンキー的思考」で動いてる国々が殆どだからです。


狸が「西洋の普遍性が剥がれ落ちてる」事を問題視してるのは、ユーラシア地域の多くを占める東方正教圏やイスラーム圏、インド圏などは日本よりも「昔の日本」を感じさせる思考の人が多い。


となるならば、「育ちの良さ」が万能という常識が通用しない所も多いならば、かつての「大陸浪人」よろしく度胸千両の「ヤンキー型知識人」に芽があるのではないかと思うのです。


現行の教育制度では度胸千両の頭山満タイプの「ヤンキー知識人」を作る事は不可能だからです。


現代の「高学歴」及び「育ちの良い」文化は、地方のヤンキー層からの優位性ですが、これからは相対的に日本の高学歴文化は衰退しそうなので、「ヤンキー知識人」と二刀流をすると良いと思われてます。


狸が考える「西洋文明の超克」とは如何なるものでしょうか?それは、決してアジアの文明と混ざる事なかった西洋文明が、西洋文明の覇権の終了と共に、非西洋の国々の宗教や思想で再解釈されて次のフェーズに突入する事です。


今まで西洋は自らの覇権のためにそれらの地域毎の再解釈をさせなかったのです。西洋の覇権が弱まると各地でそのような動きが活発化するでしょうが。


「出藍の誉れ」という言葉がありますが、本家よりも違う流れが本家を越えることもあるのです。


狸はそこを狙う事こそが、世界にとっての命運を左右する事になるであろうと思うからです。


未来を感じるものを作るのがこの「でっかい私塾」こと「とある教育ユートピア」の目的だからです。

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