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魔界の物語集

天空日和の、

《神と護者について》



・神や護者は“天空”という雲の上の世界でだいたい暮らしている。


・神は元々人間。選ばれた者が神になれる。


・護者は死んだ者の中から、神が選んだ者がなる。人数制限はない。


・神や護者は皆、美しい顔をしている。


・神は姿、形を変えられる。


・神はそれぞれ特有の力、使命が与えられる。


・人間だった頃の記憶を持つ者は少ない。(護者は一般常識以外、記憶は全て消される。)


・天空と地上を行き来するには、天門を通らねばならない。


・天門を通る時に、正しい答え方をしないと、神であったとしても通らせてもらえない。

無理矢理通ろうとすれば、天門の護神に抹殺される。


・皆、首を守る為に必ずマフラーやスカーフ、襟等で首を見えないようにする。


・護者の名前は神が与える。


・神にも位があり、上級の神ほど使命も大きく、力も強い。




        ~etc.



   『天空』

雲の上にある、神と神に選ばれた者しか訪れる事が許されない場所。出入りには“天門”という赤色の巨大な門を通らねばならない。

天門を管理し守っているのは“風神”と“雷神”の2名。この2名がいるからこそ、天空の平和は保たれている。重要な存在だ。



――さて、天空のなかにある“天神”がすむ城を覗いてみましょうか。

外見は、日本の屋敷+洋風の城÷2した感じの建物。シンプルなデザインで、神それぞれ特有の雰囲気を纏っている。

2階建てで、1階は広く大きい。2階は1階より少し幅がせまいが、マンションの6室くらいの広さはあるだろう。

その一室に、黒い髪の整った顔立ちの少年が窓の外をつまらなそうに眺めている。身長は165cmで、高校生くらいだろう。


この方が天神。名は“ミネ”という。

これでも最年長の神で、玄恍が仕えている“神”でもある。


部屋の入口付近に立ち、ミネの背中を見守る金髪の女性は玄恍の同僚で、ミネの“護者”でもある[信(フェン) (ツゥ)]。

長髪で、髪の上半分を右の高い個所で結んでいる。瞳は紅く、美しい顔をしている。胸も大きく、へそが見える服を着ている。背はミネより高く、178cmほど。スタイルも良い。


ふいに信途の澄んだ声が響く。



信途「そんな早くおまんじゅうは来ませんよー。」

ミネ『…そうか。』



ミネは表情は変わらないが、残念そうに外から目を離す。のそのそと椅子に向かって歩き、ストンと腰掛ける。

ハァとため息を零すミネに、信途は苦笑い。



信途「神、緑茶をお飲みになられますか?」


ミネ『うむ。ついでに茶菓子も用意してくれ。』


信途「はいはい。…あ、昨日の大福で、もうお菓子ないんだった。」


ミネ『……。』(ガーン)


信途「そんな目をされましても…私は神から離れるわけにはいきませんし。玄恍がいたら、買いに行かせられるのですが…」(苦笑)



無表情だが、凄くドヨーンとした残念オーラがミネの周りに現れる。


…そう、ミネは甘党なのだ。たった一日、甘い物を食べないと暗いオーラをずーっと放出しているくらい甘い物大好き。甘い物がエネルギーと言っても過言ではない。


ミネは俯いていた顔を信途に向ける。そして、見た目より少し低い声で言った。



ミネ『“天街”に行くぞ、(フェン)。』


信途「畏まりました。」



甘い物を求めて天街へ向かうミネと、その3歩後ろを歩く信途。

玄関に出ると、信途は金色の美しい毛並みの狐に姿を変える。首には白い布を巻いており、[信]と刺繍してある。右耳に玄恍と同じピアスを付けている。

ミネは信途の背中に乗ると、信途は空を駆け、天街へと足を進めた。






   『天街』

多種多様の店が並び、神が1番集まる場所。位によって扱いの差が激しい。



天街に着くと、信途は人の姿に戻り辺りを見回す。物陰から感じる殺気に微かに眉を寄せるが、二つの姿を見つけ笑顔に変わる。



信途「お久しぶりです!風神様。雷神様。」(ペコッ)


ミネ『ふむ。久しいな。』



軽く頭を下げる信途。

信途の声に、2名もミネ達の存在に気づく。


水色の長髪、白銀の瞳の男は“風神”。名は[ヤナシカ]。

その隣を歩くのは、オレンジ色の短髪、赤金の瞳の男は“雷神”。名は[クルスア]。

2名共美しい顔をしており、同じく195cmほどの背丈である。ヤナシカは、サファイアが埋め込まれた長い杖を片手に持ち、クルスアは、ルビィが埋め込まれた大きなフック状の刃の槍を持っている。刃の先端は黒い。


ヤナシカとクルスアはペコリと頭を下げ、ミネ達に歩み寄る。



ヤナシカ「ご機嫌よう。ミネ様、信途さん。」


クルスア「お久しぶりです。ミネ様、信途さん。

玄恍さんはどうされましたか?」



穏やかな声のヤナシカと、厳しい口調のクルスア。この2名が、天門を守る番神である。



ミネ『(クゥ)にはしばし休暇を与えたのだ。だが、問題はない。饅頭を定期的に送るように言い付けたからな。(フッ)

そういえば、ヤナシカとクルスア。門の番はどうした?』



ミネは空を見上げるのに近い角度で2名の顔を見る。2名も下斜め45゜に顔を向け、ミネを見る。3名共少しキツイ体勢だが、その体勢について何も言わない。



(もう少し離れれば良いのに…。)



信途は笑いを堪える為に、手で口を覆い隠す。



クルスア「あいつらに任せてきました。直ぐ戻る予定故、大丈夫かと。」


信途「…え。」(ピタッ)


ミネ『ふむ、あの2人は仲が悪かったと思っていたが。』


ヤナシカ「そうでもありませんよ。」(ニコッ)



苦笑に近い微笑をするヤナシカの言葉に、軽く頷くクルスアと信途。

ミネは?顔で2名を見る。



クルスア「二人共素直になれば、お互いを認め合えるはずです。」


信途「ふふっ、そうですね♪

ですが…」(汗)


ヤナシカ「信途さん?どうされました?」



信途の微妙な顔に、3者は視線を全て信途に向ける。3神から注目を浴びて、冷や汗を流す信途。それから怖ず怖ずと口を開く。



信途「あの…私達“護者”が神のお傍から離れるのは、その…いかがなものかと思いまして…」(ダラダラ)


「「『……。』」」



賑やかな街には不似合いの沈黙が暫く流れた。









――…一方、噂の天門。


上が赤、下が黄色の短髪の美しい顔の女子と、白髪で上がウエーブ、下がストレートの長髪の美しい顔の青年が口論をしていた。

女子は右目を隠すように前髪が長く、青年は左目を隠すよいに前髪があり、前髪の先を水色の髪結びで結んでいた。女子の瞳は黒く、青年の瞳は青色。女子は身長167cm、青年は169cm。ミネと同じ高校生くらいの背丈だ。

女子の手には両端にそれぞれ変わった形の刀がついた剣、青年の手には大剣が握られている。


女子の名は[雷誇(ライゴ)]。青年の名は[波風(ナミカゼ)]。


2人は(ツイ)のような存在だった。



雷誇「波風ぇーーー!!今日こそその面2神様に見せてやるっ!!」(ゴゴゴ…)


波風「ハッ。雷誇なら出来ると思うよ。ま、頑張って。」



波風は大剣の鞘の中に入っている長い鎖に繋がれてた時計を見る。

馬鹿にされた事に怒ったのか、雷誇の髪が長くなり紅色に変わる。その様子にため息をつく波風を見て…ついにキレた。



雷誇「死ねオラァーーーッッ!!」(ダッ)


波風「もっと怒れ。」(ニッ)



雷誇の剣を波風は己より一回り大きい大剣でガードする。雷誇は反対側にある三枚の刃の一つ“毒牙”を手に取るが、波風は腰に備えていた白い鞭で雷誇の手を捕らえる。


波風の方が一枚上手だった。


だが、雷誇も諦めてはいない。力なら雷誇の方が上だと分かっている。

足で大剣を蹴ろうとした瞬間、


パリパリ…ヒュルル…


1km以上離れた場所でも分かる電気と風の音。それを聞いた瞬間、雷誇と波風は顔を青ざめ、勢いよく離れる。


2人の視線の先には、ヤナシカとクルスア、ミネ+信途。自分らが慕う神は、顔に影が出来ている。ヤナシカとクルスアのちょっと後ろに、モグモグと団子を頬張っているミネと、明らかに場違いなミネに苦笑いしている信途が。

よく見ると信途とヤナシカ、クルスアは腕に紙袋を沢山抱えており、その中には大量のお茶菓子が入っている。全てミネの茶菓子なのは、言わなくてもわかるだろう。

2神が荷物を持つのを信途は断ったのだが、2神が押し切ったので持ってもらったのだ。けど、信途より多く持っている為、信途はたじたじ。因みにミネは団子が入った箱と団子しか持っていない。


雷誇と波風はダラダラと冷や汗を流しながら俯いている。



クルスア「雷誇。」(低い声)


ヤナシカ「波風。」(低い声)


雷誇・波風「はイっ!!」(ビクッ)



荷物を信途に渡し、2人に歩み寄る2神。黒いオーラが2神の背中から醸し出されている。










それから1時間以上、2人は正座をさせられ、護るべき神にそれぞれお説教をくらっていた。二人共最初から泣きそうな顔であるが、お構い無しに神は恐い顔で話を続ける。


その間、ミネと信途はその光景を見守りつつお茶をしていた。



信途「今日も良い天気ですね、神。」(ほぅ)


ミネ『うむ。茶が進むというものだ。』(モグモグ)


信途「ふふ…神は“花より団子”、かと。」(クス)


ミネ『ん、否定はしないな。』(ズズッ)


信途「それにしても…波風の“天の邪鬼”は、何時も頭を使いますねぇ。」


ミネ『だな。初対面の奴は必ず勘違いするであろう。』(ズズッ)


信途「はい。でも…天の邪鬼って分かれば、可愛いものですよね♪」


ミネ『他から見れば、ただの捻くれ者なだけだと思うけどな。

ま、それも波風の個性だ。』(ふぅ)


信途「はい♪」(ニコ)



とても平和な時間がそこには流れていた。クルスア達のピリピリした空気とは反対に。







雷誇「信さーんっ!!」(ガバッ)


波風「兄さん…」(キュッ)



勢いよく抱き着く雷誇と、信途の服をちょっと握る波風。やっと地獄(お説教)から解放されたらしい。2人共スッゴク恐かったらしく、終わったと同時に信途に駆け付けた。

姐御肌の信途は、そんな2人を優しく撫でてやる。



信途「こんにちは。雷誇、波風。

…2人共、喧嘩はいけないわよ?武器を使うなんて論外。」


雷誇「う…だって波風が…」(ぼそぼそ)


波風「雷誇が悪くないんです。」(フイッ)


信途「コラッ!人のせいにしないの!喧嘩は売った方も、買った方も両方悪いの!喧嘩両成敗!!」(ペチッ)


雷誇「あたっ。」


波風「っ。」



おデコをペチンと叩かれ、2人共不満顔。信途は腰に手をあて、2人の顔を見る。



信途「はい、これで喧嘩はお終い!また喧嘩したら、もう一緒に遊ばないわよ?」


雷誇「!!もうしない!

だから遊ばないなんて言わないでっ!!」(ギュッ)

波風「!!もうする!

だから…遊ばないなんて言って下さい!!」(ギュッ)



必死にお願いする雷誇と波風。護者といっても、まだまだ子供。遊びたい盛りなのです。

そんな2人にニッと笑顔を向ける信途。



信途「よし、わかった!

私も2人大好きだから一緒に遊びたいしね♪」(よしよし)


雷誇「本当…?」(キラキラ)

波風「嘘…?」(キラキラ)


信途「あっれー?私、2人に嘘ついた事あったっけ?」


雷誇「ないよ!!」(ブンブン)

波風「あります。」(ブンブン)


信途「じゃ、仲良くね。」(ニコッ)


雷誇「うんっ!」

波風「いいえ。」



和やかなムード全開の3人の護者達。だが、雷誇と波風の心境は…コレだ。



雷誇(絶対ヤダね、こんな奴と仲良くなんか。)


波風(姉さんには悪いですけど、死んでも嫌です。)



上っ面だけだった。それを知るのは、本人と神だけ。


一方、神達はというと少し離れた所でお茶をしていた。



ヤナシカ「流石は信さんですね。(一応)仲直りをしたようです。」(フッ)


クルスア「2人共、信さんと玄さんに懐いてますからね。私達からもキツく言っておきましたし、(暫くは)大丈夫かと。」(ゴクッ)


ミネ『ま、あの2人が仲良くする日は想像できないな。』(ムグムグ)


ヤナシカ・クルスア(…あぁ、何て愛らしいのでしょうか。信さんと玄さんが羨ましい。)



団子を頬張るミネに、ヤナシカとクルスアは癒されていた。










―――トントン…


そんなのほほんムードの天門前に、天門を叩く音が聞こえる。


スクッ、と同時に立ち上がるヤナシカとクルスア。その真剣な表情に、雷誇と波風は小走りで護るべき神の傍らに立つ。

2神は天門の両端にそれぞれ身構え、お互いの武器を天門の前で交わせる。

クルスアは辺りに響くよう声を張り上げる。



クルスア「我は雷神!天門を守る護神の1者!」


ヤナシカ「我は風神!天門を守る護神の1者!

そなたは何者だ!?」



この時、正しい答え方をしないと、本当に神だったとしても通らせてもらえないのだ。それが天空の平和の秘密の一つ。厳しく天門を取り締まるクルスアとヤナシカだからこそ、前より周りに見直されてきている。



ヤナシカの言葉の後に、落ち着いた声と静かな声が天門の反対側から聞こえた。



ルテント「我が名は地神“ルテント”。大地を管理し、新たな生命を生む者。」


遣躬「私は、地神ルテントの護者“遣躬(ヤルミ)”。

地上の見回りの為、外出しておりました。

開門を望みます。」


クルスア・ヤナシカ「許認!!」(ザッ)



武器をドンッ!!と雲の地に叩きつけると、天門が少しずつ開いていく。


そこには、茶髪のふわふわした長い髪を高い部分で結び、毛先を少しだけ巻いている美しい女性。信途より若干高い180cw。前髪は右目を覆うようにある。オレンジ色の大きな瞳に、スラッとした体形。胸も信途より大きい。

この方が地神。名はルテント。上級の神である。


その傍らに立つのは、淡紫色の肩につくくらいの長さの髪の青年。真ん中分けで、桃色の瞳。下半分だけ黒いフレームがある、耳かけの代わりに右耳のピアスに丈夫で艶のある細長い黒革の紐に繋いでいる、眼鏡に近い物をかけている。背丈は信途より低い175cm。片手に本を持っている。

青年の名は遣躬。ルテントの護者である。




――ガコンッ!


天門が完全に開いた時、ルテントと遣躬は天門を通る。



ルテント「何時もご苦労。」


遣躬「お疲れ様です。」(ペコッ)


クルスア「見回りお疲れ様です。地神様、遣躬さん。」


ヤナシカ「お疲れでしょうから、暫くゆったりと休まれて下さい。」



ルテント達が通り過ぎると、ゴゴゴ…と天門は閉じられていく。

ミネはルテント達に気づくと、体をそちらに向ける。



ミネ『ふむ、苦労だったな。ルテント、遣躬。』


ルテント「団子か。一つ貰おう。」(ストッ)


信途「お疲れ様でした。地神様。遣躬君。」


遣躬「ありがとうございます。天神様、信途さん。

私も腹が空いたので、いただきます。」(ヒョイ)



ミネ達の近くに腰掛け、勝手にひょいひょいと団子を食す自由人2名。ミネは何も言わず、ういろうもちを食べる。心の広い神、それがミネ。



遣躬「そういえば信途さん。」(ジッ)


信途「ん?何?」


遣躬「同僚の玄恍さん、“儚世”で見かけましたよ。しかも若い獣使いの女性と一緒に。」


信途「…うん、知ってるわよ。」(引き攣った笑み)


遣躬「ふ~ん…そうですか。」(ニヤ)


信途「…それがどうしたの?」(ヒクヒク)


遣躬「い~や~べつに。ただ、信途さんの気持ちに気付いていないのは玄恍さんだけだから、信途さん大丈夫かなぁ~と思いまして。」(ニヤニヤ)


信途「……。」(ピクッ)


ミネ『皆、知っておるぞ。』(モグモグ)


ルテント「天神、この大福何処の店で買ったんだ?」(モグモグ)


遣躬「お互い楽しそうに旅をしてましたよぉ…クククッ。」(意地悪な笑顔)


4者「「「「……………………。」」」」(汗)



固まる信途に、追い撃ちをかけるミネ(無自覚)と遣躬。ヤナシカ達の無言も、信途の心を傷つけるには充分だった。



信途「…。」(サラサラ)



何処からか紙と筆を取り出し、紙に何か文字を書いていく。ポウッと弓矢をつくりだし、紙を縛りつける。


スッと立ち上がり、スタスタと皆から少し離れた場所まで歩く。そして、雲の地の下に矢先を向け、構える。



信途「馬鹿玄(クロ)ォォオアァァ!!!!」(ビュンッ!!)



何か叫びながら矢を放った。

それを遠目で、ルテントと遣躬以外は信途が落ち着くまで見守る。



ルテント「信は反抗期か。」(ムグムグ)


遣躬「大方そのような事かと。」


雷誇「オイ。」(ビシッ)


波風「遣躬のせいじゃねぇ。」


遣躬「はぁ?」



2人の言葉に、遣躬は黙読していた本を閉じ、馬鹿にしたような目を向ける。



遣躬「お前ら俺より頭も悪ぃし背も小さいくせに、俺に口答えするんか?はっ!口だけ達者とはおめでたい奴らだな!」(鼻で笑い)


雷誇・波風「ッ!」(カッチーン。)


ミネ『くだらない事で争うなよ。先程信に叱られたばかりだろうに。』(ズズッ)


クルスア「お前らの方が遣躬より先輩だろう。」


ヤナシカ「たまには堪える事を覚えなさい。」


雷誇「……はい…。」(プルプル)


波風「……いいえ…。」(プルプル)



拳を握り堪える先輩護者2人。だが、後輩はその口を止めようとはしない。



遣躬「先輩は、本っ当神様に従順ですよねぇ。俺、尊敬しちゃいますよぉ。

こんな後輩の言う事なんか、全然気にしないんですよねぇ?セ・ン・パ・イ・♪」(ニッコォリ)


雷誇「あぁ…気にしねぇよ……なぁ、波風?」(ヒクヒク)


波風「雷誇と気が合わないのは癪じゃねぇけど、全然平気じゃないよなぁ雷誇?」(苛々)


ルテント「渋茶はないのか。」

ミネ『残念ながら無い。』



信途「帰って来ぉおおい!!…………バカ玄恍。」(グスッ)


ヤナシカ「信さん…。

玄恍さんなら、時機に帰ってきますよ。」


クルスア「その…泣かないで下さい。玄恍さんが消えたわけではないのですから。」


信途「……はい。」(ズウゥゥン)


クルスア・ヤナシカ(え?落ち込ませてしまった?)(汗)



クルスア達に気を使わせてしまった事にさらに落ち込む信途。










やいやいと騒がしい天空。それは地上と何ら変わりない、日常の風景。


笑い、泣き、話し、食べ、生きる。それの繰り返し。




『天空日和の、』




続く言葉はアナタが決めて下さい。



では、また会える日まで…ごきげんよう。






        ~Fin~

~オマケ~


勿忘草『男と女で、友人関係は専門学的にありえないそうだ。』


玄恍「そうなのか。初めて知った…クシュン!」


勿忘草『風邪か…』(シュン!)


グサッ!ビイイン…


玄恍の目の前に、空から降ってきた矢が地面に刺さる。もう一歩先を歩いていたら、頭~顎まで矢が貫いただろう。そして玄恍の旅はジ、エンド。

そう考えると玄恍は冷や汗ダラダラもの。


勿忘草の頬を矢が掠ったのか、タラー…と血が流れる。けど、勿忘草は無表情。


勿忘草『手紙が括りつけてあるぞ。』(ダラダラ)


玄恍「ああ…それより、先ずは頬の手当をしろ。」(汗)


勿忘草『そのうち止まるだろう。』


玄恍「…いや、その血の量だと止まる前に死ぬぞ?」(汗)


勿忘草『そうか。』


玄恍「『そうか。』じゃない!早く処置をしろ!」


勿忘草『わかった。』



~治療中~



勿忘草『手紙の内容は何だ。』


玄恍「見てみるか。(嫌な予感がするが…)」(フッ)


人の姿になる玄恍。灰色の腰まである長い髪が風に揺れる。手紙を手に取り、読み上げる。


玄恍「…[鈍感バカ狼!!もう帰って来るな!]……は!?何故だ!??」


勿忘草『追放か。』


玄恍「ぐっ…(グサッ)

………嗚呼、神よ!我はまだ街に着いておりません!!お饅頭はもう少しお待ち下さい!!」


立て膝を地に着け、天空にいるミネに向かって祈る玄恍。


そんな玄恍を勿忘草はボーっと見ていた。


勿忘草『玄恍は何時も空に向かって祈るが…神は空にいるのか。

矢が空から降るのには疑問に思っていたが、これで納得した。』


玄恍「いや、この矢は神の物では…」


勿忘草『しかし玄恍にギリギリ当たらないように矢を放つとは。上からコチラが見えるのか?』


玄恍「だから違う…」


勿忘草『しかし、雲の上にモノが乗れるとは聞いた事がないな。神だから浮けるのか?』


玄恍「……(どうしたものか…そもそも、天空の事を地上の者に話して良いのだろうか…?)。」(汗)



それぞれ違う事で悩む勿忘草と玄恍でした。


2者の旅はまだ始まったばかり。

勿忘草の命の恩人に会える日は来るのか…それはまた違うお話。



主よ、汝らの行く先々に幸多からん事を…―――






   To be continued.

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― 新着の感想 ―
[一言] 私、小説とかの登場人物って基本的に覚えてられないんですけど この話の登場人物は全員誰がどんな人なのかを分かった上で読むことができました それぞれの性格が個性的で かといって描写がしつこくなく…
[一言] 独特の世界観が素敵だと思いました(゜∀゜) キャラクタもそれぞれがとても生き生きとしていて、身近に感じられました★ 病み付きになりそうな感じですね!!
[良い点]  人間臭い神様や護者が凄く魅力的でした!  登場人物一人ひとりに個性があって、彼らの物語をまた読んでみたくなりました。 [一言]  信途が報われないなぁ・・・
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