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二月某日。金朗は道っぱたで倒れているおばあさんを助けた。近所に住む吉田さんだった。腕から血を流しているところを見た金朗は、仰天して、急いで119にかけた。しばらくその中学校の校門前で二人は待った。十分ほどして、無事救急隊員はやって来た。おばあさんを退院に引き渡すと、それから彼は横浜のヨドバシカメラにコントローラーを買いに向かった。
プレステを始めようと思ってなのだが、ソフトだけは持っていた。先日、久里浜の中古品店で買ったのだ。
金朗の祖父の実家は久里浜の駅から歩いて数分の場所にある。コンクリ造りの建物で上部に「ユニオン」と文字がある。かつてはCDやレコードを売っていたらしいが、今は時代の波に翻弄されて、閉店した。
その祖父の家にグラミー賞のCDを取りに行く際、中古品店の「タケダ」に寄り、買ったのが、そのよくわからないゲームソフトだった。
280円で、金朗はそもそもゲームをしない。やろうとも思わない。ゲーム機も持っていないし、どちらかと言えばネタとして買ったのだ。だが職場のBOOKOFFにはゲーム機の類はあふれんばかりに置いてあった。失敗だったかも、と金朗は後悔する。それでも買ったからにはやる必要があるように思えた。その日BOOKOFFにバイトに出た際、金朗は店で売られていた、プレステの3を買った。初期型は1と2のソフトが使用できるという。タケダで手に入れた謎のソフトは明らかの初期のプレイステーションのものだった。