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作者: Vivi


「結婚ってただのペーパー。紙切れ一枚の契約書。愛なんて保証されてないの!あさな!わかる?あー、ビールうまっ!!ねぇ、聞いてんの?だからぁ、結婚で大事なのはぁ、お、か、ねっ!はぁっ!でさ、わたしコーイチくんなら結婚してあげてもいいのになぁっ!」


私あさなは、3人目の赤ん坊を妊娠していて、誰にも言ってないけど、本気で今度こそシングルマザーになるつもりでいる。だってもう、心底結婚生活に飽きてしまった。1人になれば、強い。わたしは。早く仕事独立したら、ひとみとまさみと3人の小さな会社をする話は水面下で順調に進んでいる。ベンチャー企業新入正社員として入社。子供のために派遣社員にすぐに切り変わっても、なんとか辞めずに家事と両立して、経理を10年担当してきた経験は、強みでしかない。男社会で女が家で全部つまらない役目、、、お金にならない役目を一挙に引き受けて、赤ん坊のうんちも食事も、夫の帰宅時間まで把握して、、、。米の値段や醤油、野菜、ガソリンの値上がりに目くじら立てて、「女の自由」なんて桃源郷の夢物語でしかない。


なのに。大変なのは亭主の俺だ、とか、昭和の帽子を被ったスターは、テレビで「男はつらいよ」とか令和になっても全国放送で言うんだからふざけてる。


そんで、このたぁちゃんは好き勝手な話ばっかり。さっきから何人目の男の名前が出てきたんだろう。アンタの方がずっと幸せよ。それがアンタにもわかりきってるから、本当に胸糞が悪い。男達はまじで、バカなのかな。こんなに男を舐め切ってるやつに、どんだけお金貢いでるんだろ。はぁ、わたしって惨めな女。たぁちゃんは可愛い。あんなたぁちゃんの纏う真っ赤な服にブランド物達なんて縁遠く、わたしのファッションは、地味で参観日に来て息子に嫌がられている、文字通りのおばちゃんでしかない。


しかも、妊婦のわたしの前でさっきから一切気を使わず、まもなく三本目のサントリービール缶をカシャ!って高らかな音を立てて開けてはジャーキーをむさぼり食う姿は、むしろ潔がよく、今やムカつく気すらしなくなってきた。


なるほどねー、こう言う女性になればいいわけよね。「本能」って字がこうもピッタリくる女性、、、。男の人って案外真理をついてるかも。見てるんだわ。裏がなく、本音を言い、飾らずに、気を使わせない。


久しぶりに会っても、学生時代の遊びっ気健在なたぁちゃんは、清々しくもある。


「あの、、、わたしさぁ、、、離婚しようかな、って」


「あーさなっ!よく言った!独身、おめでとう!」


「結局、女の味方は女って、あさなが中学の時言ったんだよ。」


やっと夜が深まる。窓の外は紺色だ。

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