優しい人たち
かなり間が空き申し訳ありません!!
……プ〇コネに4年ぶりにReDIVEしたら見事にハマってしまいました。
拝啓 こちらの世界を覗いている読者の皆様、如何お過ごしでしょうか。今ボクは見知らぬ世界の森沿いの街道のど真ん中で、昨日出会ったばかりの方々の前で正座をしています。
「───つまり……ユズちゃんはこことは違う世界から来たばかりで、記憶喪失って言うのもそれを隠すための嘘だったんだ」
「はい……その通りです」
「あー………面倒だな……。 まーたうちのパーティは本っ当に面倒な事に手ぇ突っ込んじまったよ!!」
「ちょっとキング! そんな事言わないで! ユズちゃんはなにも悪いことしてないよ」
「そんなこと言ってもリーダーさんよぉ……。依頼より優先して遭遇した女の子を保護するまでは分かる。しっかし実は保護した子は異世界人で、既に失われた空間魔法を使えて、挙句の果てに討伐依頼された対象を既に死体の状態でしまい込んでいた……なーんてギルドに報告したら大騒ぎだぞ?」
最寄りの町に移動するために出発したばかりだったけど、ボクが不注意に【インベントリ】からオークの死体を出してしまったおかげで事情聴取もといこの世界に来てからのことを洗いざらい話すことになった。
2人の話によるとこの世界には、空間魔法っていうまだ勇者と魔王が居た時代に創られた魔法が存在したみたい。
その使い手は勇者と共に魔王を倒す度に同行して『行きたいところに即座に移動する魔法』や『創り出した空間にいくらでも物をしまうことが出来る魔法』などで、勇者とその仲間を大いに助けた……と記録に遺されているらしい。
使い手が晩年どうしていたかはどの書記にも遺っていないらしいけど、その能力で異世界に渡ってまた別の世界を救った……なんて童話とかになり、今では誰も空間魔法を使えないから失われた魔法として伝わっているんだとか。
「ここまで説明してもらって申し訳ないのですが、ボクの収納のチカラは空間魔法じゃないと思います」
「……もしかしてさっき言ってたヴェスタ神から与えられたチカラって…」
「はい、そうです。 このチカラ【インベントリ】って言って 本当に色んなものを収納するだけのチカラだと書いて……聞いています」
「収納するだけって………。 お前いくら空間魔法じゃないと言えどもそんなチカラ持ってるってほかのヤツらが知ったら 商業ギルドからも冒険者ギルドからも引っ張りだこになるぞ」
「そうね…。とりあえずユズちゃんに安心して欲しいのは、私たちはヴェスタ神に誓って 信頼出来る相手にしかユズちゃんのチカラについて話すことはしないわ」
たしかに無限に収納出来るチカラなんて、パーティに居れば移動に不要な荷物を持ち歩く必要が無くなるしそもそも食料や水だって溜め込んでおける。中に入れたものが腐ったりするかはまだ分からないけど昨日死亡したオークが1日経って腐り始めてないから 中に入れたものは時間経過しないのかも。
そう考えると癒しのチカラだけじゃなくて収納のチカラを持ったボクは戦争なんかに利用されたらたまったもんじゃない!
それならこの優しい人たちに迷惑をかける前に別れないと……。
「……ありがとうございます………! チキさんたちには昨夜のご飯だけじゃなくて色々なことで助けて貰って……。このご恩は一生忘れません!!」
「なにいい感じで終わらせようとしてるのよ…。 とりあえずユズちゃんの存在をギルドマスターに伝えることは変わらないわよ!」
「え……? でも、さっき大騒ぎになるって……」
「お前話聞いてたか? さっきリーダーは『信頼出来る相手にしか話さない』って言ったんだ。 ……ギルドマスターは、職業上口が堅い。 というか機密事項をカンタンにバラしちゃあなれないんだ。」
「安心して、ユズちゃん。 私たちはあなたに危害を加えるようなことはしないわ。約束する。 だから今は、私たちに着いてきてくれる?」
本当に………いい人たちだ。
「っ……はい!」
◇
「このオークは森の耳長族が一撃で仕留めたってことなんだよね……すごい………」
「ふむ……この特徴的な矢尻の形は確かにこのニェアヴァの森の奥に住む耳長族の紋様が入っている。文献でしか読んだことがなかったがまさか実物を拝むことになるとは……興味深い。このパーティに入ってからというもの、不思議なことばかりで飽きがこない! 特に…」
「そ、ソルくん……」
チキさんとキングさんがボクと話しているしている間に、ソルさんとリップさんがオークの死体の検分に入っていたみたいだ。わぁ……刺さっている矢を見たソルさんがテンション上がって語りモードになっててリップさんが少し引いてる…。
あっちはあっちで混沌としてるけどこういう友人同士みたいな会話を見てると あっちにいた時の学校を思い出すな……。
ボクに気付いたリップさんが手振って近づいてきた。
「あっ! ユズちゃーんっ! 話は終わったの!? 」
「なんとか……。 とりあえずこのオーク討伐の依頼は元々チキンクソリプたちで受けた依頼だったらしいし、ボクは一緒にギルドまで着いていくことになりました」
「ほんと!? よかった……。 もしかしてユズちゃんが責任感じてたら……とか考えてたんだ。」
ソルさんとリップさん、話しているうちにどっちもはじめに感じたイメージと全然違うから少し想像した返事と違うことがあって面白い気がする。
「あー………この物をしまうチカラについては信頼出来る人に話してからボクの処遇は決まるみたいなのであんまり気にしてないから大丈夫です」
「そうなんだ。……っていう事はギルドマスターさんかな?」
「そうみたいです。 あっ、そういえば聞きたいことが……。……ギルドマスターってどんな方なんですか?」
「あの人はね…」
「ユズくん! さっきの収納のチカラ、【インベントリ】と言ったね?」
「わぁ!? は、はい!」
リップさんと話していると横から突然ソルさんが話しかけてきた。 心臓が飛び出るかと思った…。
「ソルくん……」
「わ、すまない 会話の途中だったのだな……。構わず続けてくれ」
「うーん……ギルドマスターの話だったら歩きながらでもできるし、ソルくん先にいいよ」
「む、そうか……。それでは遠慮して」
ギルドマスターさんの話が聞けなかったのはちょっと残念だけどリップさんの言う通り後からでも問題は無いと思う。
それよりソルさんの話ってなんだろ。
「……少々頼みたいことがあるのだが」
「頼みたいこと……? なんですか?」
「───私たちの荷物、町まででいいので【インベントリ】に収納させてもらえないだろうか。 ……その方が足取りも軽くなり、早く帰還できるはずだ。 ……ただでさえごたごたして出発が遅れているからこのままだと本当に日が暮れてしまう」
……圧倒的にボクのせいで遅れていることを告げられ、ボクは申し訳なさとお詫びの気持ちでそのままパーティの荷物を全て収納して急いで出発する事になった。
ちなみに町に着いたのはギリギリ夕方の頃でした。
柚流 (ユズ)
「みんないい人たちで本当に良かった…」
チキ
「なんかユズちゃんを利用して荷物持ちにしたみたいになったけどこれくらいはいいわよね……?」
これからも柚流の祈りが読者様に届きますように!
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