表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

みずうみ

女の子がまだ全然出てこないですがそのうち出るので許してください汗



それにしても、このバス、思ったより人が乗っている。家も見当たらないようなところなのに、座席は7割くらい埋まっているように見える。そのほとんどはおじいさん、おばあさんだが、ちらほらと中年や若者の姿も目に入る。


(田舎だから公共交通機関を使う高齢者が多いんだろうな)


しばらくそんなたわいのないことを考えていたが、ふと、自分のした大失敗に気がついた。


(まてよ、僕は、バス停でもなんでもないところからバスに無理やり乗せてもらったんじゃないのか!?)


なんにも記憶はないけれども、それが常識的におかしいことくらいはわかる。なぜこのバスにあんなにも乗らないといけないような気がしていたのだろう。


次のバス停が来たらすぐ降りよう。そして、ちゃんとお金を払って……。


焦ってポケットを探ると、薄手のピンク色のハンカチが一枚入ったいただけだった。なんてことだ。僕はお金を持っていない。


どうしよう、お金もないのにバスに無理やり乗せてもらって、どうやって償えばいいんだろう。家族がいれば呼んだりも出来るかもしれない。けど、そもそも自分が誰なのかもわからない。ケータイも無い。

あぁ、終わった。ひたすらに謝り倒そう。


頭の中が急な焦りでぐるぐると回り、冷や汗が出てきた。さっきまでの落ち着きは何処へやら、だんだんと苦しくなっていく。


そんなとき。


「えー、ただいまから五分ほどトンネルに入ります。トンネルを抜けるとまもなく目的地です。」


運転手のおばちゃんのハキハキした声が車内に響いた。もうすぐ目的地?

ということは、このバスは路線バスではないのだろうか。路線バスなら終点というのではなかろうか。


そんな思考は、明かりひとつない真っ暗なトンネルへとバスが突入したことで一気にかき消された。



「うっ」


トンネルを抜けると急に明るい世界が目の前に広がる。白い光が眩しくて目がチカチカした。

ぶわっと広がっていく視界。それは、今まで全く見たことのないような美しすぎる光景だった。


真っ青。ひたすらに青い、湖。その真上に渡された道路をバスは走行していた。


瑠璃色の澄み切った水面を、魚がからだをキラキラと虹色に輝かせながら泳ぐ。柔らかそうな水草の生えた水底の砂は白く、空を映すこの湖の青さをさらに際立たせていた。

どこからか、鳥たちが歌う声が聞こえる。遠くの空を飛んでいるのだろうか。


「すごい……。」


この世のものとは思えない光景に、僕は感動で唖然とするしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ