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プロローグ
「ん……。」
暖かなそよ風が頬をかすめていくその感覚が、なんだかくすぐったくてつい声が出てしまった。
初夏の暖かさを含んだ日差しが柔らかに差し込む。ふと空を仰ぎ見てみる。曇り一つない。
視線を下げると、すこしガタついた道路。そして、その周りで風になびく草と林の木々。
美しくて静かな田舎の風景の中、草むらに一人ぼっちで座り込む。
「あぁ、綺麗だな」
呟きは誰にも届かない。
ここはどこなのか。そして自分は誰なのか。
なんにも、何一つとして、僕にはわからなかった
かみさま。どうか僕に平穏な未来を。




