でも変態は人じゃないから良いよね!
とりあえずポーションとマナポーションは初期装備のセットに入ってるみたいだし、正拳突きとか喧嘩キックとかのチンピラの通常攻撃は、マナの消費もクールタイムもないみたいだし、経験値を稼ぎにドングリシティからつながってる『最初の森』ってとこに行ってみよう!
クレアがドングリシティから最初の森の境界線をまたぎ読み込みが入る。
徐々に最初の森の景色が鮮明になってきた。
虫の鳴き声や色とりどりの花、小鳥のさえずりが聞こえてくる。
「うわぁキレイ――ここが最初の森か、素敵なとこだなぁ。ドングリシティを始めて良かった!」
小鳥が感動していると、突如パンツとこん棒だけ装備した汚い中年男性がクレアに向かって走ってきた。
「ぐへへ、俺は女性の初心者プレイヤーをPKするのが三度の飯より好きなんだ!」
ど、どうしよう変態だ!
「ひっ!」
クレアがへっぴり腰で、ポンコツナックル強化値99を装備した状態で正拳突きを放つと、変態の体に重なるようにダメージが99999999999と表示され、変態が一瞬で消し飛び地面がえぐれ、一直線に森も削り取られていた。
「うわぁ――ナックルって危ないんだね。使うときは周囲に人が居ないか確認しなきゃ。でも変態は人じゃないから良いよね!」