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~変身系呪文完成なるか~

第24話 前田さんと着衣水泳 




 前田さんは、背が低い。148センチくらいだと思う。俺が165センチだから、ちょうど、キスする時は、俺が首を横にすると前田さんが少し背伸びする良い距離感だ。距離は大切だ。高低差があまり大きければ、俺がしっかりかがむ、もしくは前田さんがものすごく伸びることが必要になる。体勢がちょっとしんどい分、キスの時間は短くなるかもしれない。




逆はいかがか?前田さんが背が高く俺の方が低い場合。前田さんが仰向けに寝転び、俺は体育座りの体勢から、横に体をひねり、不意打ちでキスをする。前田さんは寝転んで本を読んでいる途中だったから、急に唇を奪われて、恥ずかしげに俺をぽこぽこ叩く。


うん、良い。それはそれで良い。




 前田さんは水面から肩が出ないくらい浸かって、こちらを見ない。


やはり照れ屋だ。女子の照れる様子は、なんとも趣深いな。平安の貴族もこんな気分だったんだろうか?貴族の女子は、御簾や扇で常に顔を隠していたらしい。女子の生態研究仲間の山田の受け売りだが、きっと顔を隠すぐらい照れ屋だったのだとしたら、平安男子はたまらなかったろうな。




「ピー、着衣水泳用意!まずは仰向けに浮くところから。」




「男子は女子の背中に片手を入れて、フォローするように。」




 前田さんは大きめの白いシャツを着衣水泳用に持ってきたようだ。これは、あざとい。白がほとんど透けて水をはらみ、空気で膨らみ身体のラインを隠しているところが、裸よりもエロい。透けているのに、見えない。見えないのに、見えている。




 前田さんが水の中で仰向けになる。




これは!先ほどのキスの体勢か?誘っているのか?




 雅之くん!先生の話聞いて!ねぇ、正気に戻って!




 キャサリンが尻の間から健気に教えてくれているが、雅之には聞こえない。




「ピー!やめ!」




「おい!!森永!お前!なにへらへらしてんだ!お前がフォローしてないから、前田が溺れてるの気が付いてなかったろう!」




ここで初めて、第24話にして雅之の名字が判明しました。


森永雅之、16歳、聖カルタス高等学校一年B組。


ここまで読んで頂いている皆様、色々話が飛ぶもので読み辛いかと思います。第30話頃に登場人物紹介などを挟みます。どうかもうしばらくご容赦下さい。




 なんだいまの声。わしを差し置いて読者の心にはなしかけるとは。まさか!地上のみならず、天界や魔法界、魔界までもを支配しているあの方か?




 神様、なに言ってんの?なんか聞こえた?




 キャサリンよ。なにやら大いなる存在がある。それだけは確かじゃ。




 そんなことより!雅之くんのことしっかり見ててよね。




 あいつは今日はいつになく気合が入っておる。わしなぞおらんでもだいじょうぶじゃろ。




 神様は避暑地で有名な軽井沢方面へ飛んで行った。




「先生、大丈夫です!一人でやれます!」




 半泣きで前田さんが懇願する。




「前田さん、申し訳ない!ちょっとぼーとしていました。はい。次はちゃんとやりますから!!」




 イメトレに忙しく、フォローを怠ったせいで、前田さんを泣かせてしまった。俺は馬鹿だ。前田さん、ごめん!




  猛省した雅之は、水面にばしゃばしゃと顔をつけながらお辞儀を繰り返す。




「森永くん、いいよ、ほんと、大丈夫だから!」




 前田さんは良い娘だ。なんて謙虚なんだ。決めた。ハーレムの礎として迎え入れよう。




 雅之は、キャサリンを水着からこっそり取り出した。




 昨日、腹筋を割ろうと試行錯誤していて、たまたま見つけた魔法がある。あれを試すのは今だ。




 キャサリン、出番だよ!




「次は溺れている人の首元をうしろから支えて運ぶ!非常時に備えるため、皆が確実にできるように訓練するから、しっかり見本を見るように。」




 おばさん先生が、おっさん先生に助けられようとしている。あんな絵面の汚い奴らはどうでもいい。皆があっちに注目してる今だ!




「マハリクマハリタ!」キャサリンを上下、上下、左右、上下、右左、の順番で小さく動かすと、ボーと目の前が霞がかり、そこへ自分の顔を突っ込んだ。




 キャサリンはすっかり変貌した自らの臭気に吐き気をもよおしつつ、しっかりと仕事を果たす。




 霧の中から雅之の顔が露出した。輪郭がぼやけている。


 着衣で溺れる演技をしている、というより殆ど溺れかけている前田さんの元へ、雅之が近寄る。




「前田さん!今助ける!」




 前田さんは金槌だ。完全に本気で溺れている。




 雅之は、前田さんの首根っこを掴んで引き寄せ、泳げない自分を恥じることなく、縦泳ぎでという先生の指示を丸無視し、足をついてプールサイドへ向かう。


「もう大丈夫だ。王子がきましたよ。」



雅之が囁くと、初めて前田さんは上を向き、雅之の顔を目視する。

  



そこには、「お墓の前で泣かないで欲しい。」と美声で訴えるあの歌手がいた。


「な!」


前田さんは自分の大好きなその濃いめの美男子の登場に、息を吸うのも忘れて魅入った。


日常編に入りました。今後ともよろしくお願いいたします

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