~闇に潜む魔物たち~
第15話 洞窟の入口
雑多なビルが立ちんでいる。何もかもが豪華なイメージだったが、そうでもなさそうだ。敵は、ぽつぽつ、といったところか。思ったほど、恐ろしげな雰囲気ではない。
ほっとしていると、仙人が険しい顔でこちらを見る。
「油断するな!一見敵が少ないように見えるが、奴らは太陽に弱いんだ、物陰や建物の中におそらく潜んでいる。属性はアンデッドだ。」
「な!」
俺はおそらくまだLV3程度。召喚呪文一つに、風の呪文一つ。アンデッド相手にどこまでやれるというのか。
「聖水が必要だ。どこかに道具屋は無いかな。」
「さすがにそこまでは知らんな。武器屋はありそうだが、手持ちのYENじゃ買えるものは無いだろうな。」
ここは何の店だろう?少し覗いてみるか。
「危ない!伏せろ!」
空いてそうな店を覗き込むと、黒のおぞましいモンスターが数匹うごめいていた。
「なんて無鉄砲なことすんねん!キラーゾンビだ。道具屋じゃない!おそらく何かの巣だ。そう深くないところに中ボスがいるかもしれへん。」
仙人の声に腰を抜かしそうになったが、味方の大声にひるんでどうするんだ。ここは一旦隠れて作戦を練ろう。
「いったん洞窟を出て、薬草と聖水を買おう。」
「いやあかん。あまり時間がないねん。タイムリミットは九時頃だろう。いつもおばちゃんが帰るのがそれくらいやった。」
「まじか。奴ら、夜しか動かないのかと思っていた。」
「色々なモンスターがおる。短時間で消えるのもおれば、夜中二時くらいに現れて、朝方まで動き回るのもおるんや。特に朝方に活発な奴らはタチが悪い。おばちゃんがやられたのも、そのタイプのモンスターやわ。」
「じゃ、どうする?丸腰で、行くか?回復もままならないぞ。」
「キャサリンがおるやん。」
30センチにスタンバイしたキャサリンが、朝日を浴びてキラキラ光るのを見て、頷いた。
うーん、雅之くん、亜矢。そんな期待されても、ご主人次第なのよ。私に出来ることは精一杯、雅之くんの手の中で踊るだけ。
ちょっと、神様、いるんでしょ?出てきなさいよ。
いやー驚いた驚いた。有馬からもどったら、まさかこんなとこに来てるとは。馬すら手に入れてないのに、よく無事でおるもんじゃ。
頼りないんだから!テレパシーで帰るように言ってよ!
キャサリンよ。わしは、それが正しい選択じゃとは思わん。もう少し見てみたいと思わんか?あいつらの冒険を。
キャサリンはひるんだ自分を少し恥ずかしく思った。
いいわ。もし、折れてもかまわない。雅之と亜矢を信じる。
神と魔法の杖は、これから始まるシリアスな予感に気を引き締めた。
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