~美少女とお泊り展開~
第11話 二人の絆
「それで私が山田に言ったんですよ。篠原さんのパンティは白だって!」
爆笑。二人で、あーでもないこーでもないって、つまんない話ばっか。なんか、魔法の杖なんてなくても、幸せな気がする。
キャサリンを思い出して、ごめん!とつぶやく。キャサリンがジーパンのポケットで丸くなって拗ねた。気がする。
雅之くん、すごい。魔力も使わないで、奇跡をおこすなんて。
キャサリンは拗ねるどころか、感動して泣いていた。雅之のポケットが少し湿った。
ふと窓に目をやると、外がずいぶん暗くなっていた。夏は日が長い分、急に暗くなる。喫茶店の中が暗いのもあり、気が付かなかった。
「仙人、おばあちゃんが心配する。もう帰らねばいかん。」
名残惜しいが、おばあちゃんの顔がちらついて胸がざわざわしてきた。
「そやな。うちも塾さぼってきたから、八時までには帰らなやばいわ。」
二人の首の動きがぴったりシンクロして、顔を見合わせて、また笑った。
「うちら、相棒や。親友やし、相棒やし、仲間やし、味方や。」
「最強の絆かと!」
「ほな、行こか。」
ジュース代は割り勘で支払って店を出る。
「女子と飲食を共にすると男が払うらしい、と山田が言っていたが、仙人は仙人だ。女子じゃない。」
心の声がしっかり漏れていた。まぁ、仙人なら俺をダサいとか、気が利かないとか、思うことはない。俺たちは親友だ。
「く、く、く、」
仙人の様子がおかしい。なにかツボに入って笑いを堪えているのか。
「おいー、もういくぜー?」
かがんでいる
仙人に目をやる。と、
泣いている。
大きな瞳から涙が溢れて、整った顔が赤らんでいる。
もう帰ろう、と急かしたのが嫌だったのか?なんだ、急に泣き出すなんて。
どうすればいいのか全く浮かばず、思ったままを言葉に出した。
「なんか分かんないけど、仙人がなんで泣くのか、知りたい。もう帰る時間だけど。どうしても今、知りたい。」
「話したら長くなる。」
泣き止んだ仙人は、ケロリとした顔でとんでもない提案をしてきた。
「ふじこのおばあちゃん家に泊めてや。」
「は、へ、え、ほ?」
「そうそう。おばあちゃんとこ。」
神様、聞こえましたか?今想像を超える何かが起こっています。
応答願います。イエスかノーか?何が正解か?指し示したまえ!
はいはいはい~、仕事、仕事。「イエス」でGO!イットケー!!
熱海から帰り、大阪観光まで楽しんでいた神は、上機嫌でテレパシーを送る。
「お、おばあちゃんに聞いてみる。」
LINEで友達泊めていい?と送ると、美女なら可!と返事がきた。
きっと美女と僕が関係有る訳ないと鷹をくくっているのだろう。
「ええって?ほなうちも親に電話するわ!友達と泊まりで勉強言うたら大丈夫やわ。うち厳しい方やから、女の子のふりしてや。」
えええ~無理~。とは言えない。
まだテクマクマヤコンで女の子に変身する呪文は未完成だし、今出来るのは、風を起こすことと、バイキンマン小を呼び出すくらいだ。
あ!!そうだ。その手があった。
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駆け出しですが、長くやっていきたいと思っています。よろしくお願い致します。