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ヒロイン登場!?気にあるあの子は幽霊少女!

よろしくお願いします!

 



 今、俺はそこそこのスピードで飛んでいる。というか逃げている。何からって?アイツだよ!鬼火(ウィルオウィスプ)だよ!



 とりあえず進化するのを一旦やめて、SPを集めに行くかなぁと思った時だった。

 あ、ちなみにウィンドウは閉じられました。ステータスを閉じる時と同じ感じで出来た。再度開けるのは分からないけど。


 まぁ、それは置いておいて。

 その時俺の【危機感知】スキルが反応した。…様な気がした。しょ、しょうがないじゃん!スキルを手に入れたのはついさっきだし!まだ慣れてないんだよ!


 で、何かを感じた方をよく見てみると、青白い球体が飛んでくるのを見たわけだ。俺は反転して脱兎の如く逃げ出した。

 はっきり見えた訳じゃないからアレが鬼火(ウィルオウィスプ)かどうかは判らない。でも俺は間違いないと思う。

 俺の魂に刻まれた【遺恨】の状態異常が囁くのさ、ヤツが来たってね!


 で、何とか振り切れた。でも全く来たことのない場所まで来てしまった。まぁ、この森の中どころかこの世界は知らない場所のほうが多いんだけど。

 お、人魂発見。夜明けが近いから今夜は見つからないかと思ったけど、ラッキーだったね!


 さっと近づき美味しくSPを頂きました。


『………………。』


 ん?


『………………。』


 んん?何か聞こえた?


『………………。』


 こっちか?……何となくだが呼ばれてるような気がする。…行ってみるか。


 この時の事を振り返って、後に俺はこう語る。

『危機感知仕事しろっ!!』…と。






 何かに導かれるように進んだ俺の前に、大きな何かが現れた。

 ……洋館だ。かなりの年月が経っていそうな古びた洋館。

 洋館…?館…?あれ?なんか最近、森の中の館の話を何処かで聞いたような…?


『お前達も聞いたことがあるんじゃないか?この森の何処かにある古い館のことを。』

『昔その館に住んでた騎士の装備品だったらしいんだがよ、それが今でも残されてるって話だ。』

『その館を目指した連中は1人を除いて誰も還って来てないらしい。』


 俺の頭には親分が語っていた言葉が蘇っていた。


 …ヤバイじゃん!?此処ですか!?お話に出て来てた館ってコレの事ですか!?


 心の中で滝のような汗を流しながら俺は考える。今の俺には食虫植物に誘われてふらふらと寄って来た虫の気持ちが痛いほど解る。


 どうする…!?今なら逃げられそうか…?周囲には何もいない…か…?


 周りを見渡し、誰も居ない事を確認した俺は反転し逃げ出そうとする。がーー。


『あら?貴方は迷子?』


 背後から声をかけられ硬直する。そう、反転した俺の背後、つまり洋館があるほうから声をかけられた。

 ゆっくりと振り向いた俺の前には、俺に向けて微笑む美少女がいた。


 そう、美少女だ。年の頃は高校生ぐらいだろうか?10代半ばから後半ぐらいに見える。長い髪をそのまま腰の辺りまでのばしていて、服装は地味目だが野暮ったい感じはなく、落ち着いた上品な印象のドレスっぽいもの。街を歩けば10人中10人が振り返り2人ほど何処からともなく現れそうな超絶美少女がそこにいた。


 髪の色は何色だろ?プラチナ?透けてるからイマイチ分かりにくいなぁ。……透けてる!?


『あら、驚かせてしまったかしら?ごめんなさい、迷子だと思ったからつい、声をかけてしまったわ。』


 目を見開いて驚いた俺に勘違いをしたのか、彼女は謝罪の言葉を口にした。


 いえ!自分、迷子です!お付き合いを前提に結婚して下さい!


 おっと、思わず溢れる想いが飛び出てしまったぜ。

 …高校生は犯罪?何を言う!異世界にそんな法など無い!多分!


『っ!?…ふふっ。いきなり求婚されたのは初めてだわ。貴方は面白い人…?ね。』


 今度は彼女が目を見開いて驚き、そして柔らかく微笑む。俺を人と呼ぶ時に小首を傾げたがその仕草も可愛い。

 …じゃなくて!あれ!?俺の想いがバレてる!?いつの間にか声が出るように?マジで!?


『いいえ、私が勝手に読み取ってしまったの。私のスキルに相手の思念を読み取れるものがあるのよ。全てを読み取れる訳ではなくて、相手に伝わっても構わないと思っているものしか解らないのだけれど。』


 マジっすか?便利そうですね!羨ましいです!


『……怒らないの?』


 彼女が再び目を見開き、少し不安そうに問う。


 あー、確かに勝手に心を読まれたら怒る奴もいるかもしれないけど、俺は気にしないよ!オープンな男なんで!


『ふふっ。貴方は優しいのね?…ありがとう。』


 おおぁ!?美少女の儚げな微笑み!ヤバイ!これはいい感じなんじゃね!?始まっちゃうんじゃね!?美少女幽霊と人魂のラブストーリー!初っ端から悲恋の匂いがプンプンだぜ!両方死んでるからね!


『貴方のような面白い方は初めてだわ。私の知らない言葉も沢山知っているようだし。…もうすぐ日が昇るわ。よかったら家にいらっしゃって。もう少しお話しましょう?』


 おお!これは…誘われている!モチのロンです!

 ……あー、家ってそこの洋館ですよね…?


『洋館?ああ、この館のことかしら?ええ、そうよ。私は此処に住んでいるの。独りぼっちだったから貴方が来てくれて嬉しいわ。』


 独りぼっちの美少女の御宅にお邪魔するとか!なんてうらやまけしからん!

 いざ、行かん!…が、その前に…。



 あー、お嬢さん?実は妙な噂がありましてね?この館に何かヤバイのが居るんじゃないかっていう…?


『ヤバイの?危険なものってことかしら?うーん…あ、もしかしてあの鎧のことかしら?』


 鎧あんの!?やっぱり此処のことか!?っていうか鎧が危険なの!?

 おお…彼女が目を瞬いてる。ちょっと慌て過ぎたか。落ち着け。落ち着きあるダンディな雰囲気を醸し出すんだ…!!


 うぉっほん!お嬢さん、その鎧は危険なものなのかね?…こんな感じか?


『え、ええ。何か強い呪いがかけられてるみたいなの。前に来た冒険者の人達がそう言ってたわ。…あと、貴方にはダンディな雰囲気は似合わないわよ?』



 そっかー、似合わないかー…じゃなくて!冒険者!やっぱ居るのか!

 そ、その人達はどうなったか知ってる?

 

『ごめんなさい…。たまたま話し声が聞こえただけだから…。人が来た時は館の近くで隠れてるの。ほら、私こんなじゃない?人の前には出られないから…。』


 あー、そうだよね…。うーん、原因不明か。やっぱその鎧が危険なのかねぇ。


『そうね。だから貴方も近づかないようにね。さあ、行きましょう?日が昇ってしまうわ!』


 そう言って彼女は館の中に入っていく。


 俺は陽の光は問題ないんだけど、せっかくのお誘いは無碍に出来ないよな!美少女からのお誘いだし!

 俺、いっきまーす!



 そうして彼女の後について行き俺も館の中に入っていった。






 ここは広間というんだろうか?大きな縦長のテーブルが置いてあり、テーブルを挟んで俺と彼女は席について居る。まあ、椅子の上に浮いてるだけだけどね!


 ここに来る途中に重厚そうな扉があった。彼女曰くあの部屋に件の鎧があるらしい。


 今、俺は彼女からの質問に答える形で今までの事を話していた。もちろん俺が別の世界から来たとか神様のこととかは省いている。


『そう。気がついたらこの森に居たのね。私も気がついたらこの館に居たから似たようなものよ。此処に来るのは人間か自我の薄い子たちばかりだったから、貴方が来てくれて本当に嬉しいわ。』


 あー、彼女みたいな人にはツライだろうな。俺は特に問題ないが。


『そう。貴方は優しいだけじゃくて強い人なのね。』


 いやぁ、それほどでも。

 …ちょっと、ちょっと!何かすげー好感度高くね!?これはマジで俺のメインヒロイン決まっちゃうんじゃね!?

 …は!?俺としたことがまだヒロインちゃんの名前を聞いていなかったぜ!俺には名前がないけどね!

 え?鑑定すればいいって?馬鹿野郎!女の子の秘密を勝手に覗くなんてイケナイ事だぞ!俺は紳士なジェントル魂だからな!


 というわけで、名前お聞きしても?


『あら、私ったら質問するばかりで名乗ってなかたわね。私の名前はルナリアっていうのよ。貴方には名前がないということだけど…?』


 ルナリアちゃんか。いい名前だね!あー、俺のことは好きに呼んでくれていいよ!


『ありがとう。そうね…タマちゃん、とかどうかしら?』


 その呼び方は色々と問題がありそうなので…。


『そうなの?…まぁ、名前なんてどうでもいいわ。どうせ此処には私と貴方しかいないんだもの。』


 そ、そうっすか?…あ、あれ?何か今雰囲気が…?


『それよりも!もっと貴方の事を聞かせて?』


 あ、ハイ。えーと、実はちょっと悩んでることがありまして…。



 そうして俺は自分が進化できる状態にあること。ただ懸念があって進化に踏み出せないことを話した。魂を喰らうことに関しては濁そうかと思ったんだが、そうすると俺の懸念が正しく伝わらなかったので正直に伝えた。彼女の反応が不安だったが、彼女は笑って受け入れてくれた。マジ天使!


 結局、魂を喰らうことはスピリット系のモンスターなら出来るらしい。これで最大の懸念は晴れた。後は死霊(レイス)にするか人形霊(ドールゴースト)にするかだが、俺は死霊(レイス)を選ぶことに決めようと思う。


 だって彼女の横に並んだ時に人型ならピッタリじゃないか!人型幽霊と人魂だとやっぱり釣り合いがね?


 …そういえば彼女の種族については聞いてなかったな。聞いてもいいかな?別にえっちぃことじゃないから大丈夫だよね?


『……………。』


 んん?何か聞こえた?あれ?デジャブ?


『どうしたの?』


 いや、何か聞こえなかった?


『そう?私には何も聞こえないわ。それよりも…』


『………………。』


 あー、ごめん、何か外から声が聞こえるからちょっと見て来るよ。すぐに戻って来るから!


『………そう。気をつけてね?鎧のある部屋には入ってはダメよ?』


 オッケー!すぐに戻るさ!



 広間を出た俺は聞こえてくる声のようなものが外ではなく館の中からである事に気がついた。


 うーん、トラブルの予感。この館には彼女しかいないはずだからなぁ。侵入者?


 声のする方向へと慎重に進むと最近見かけた重厚な扉が目に入った。


 わーお、何となく予想してたけどやっぱここですか?…呪われた鎧がある部屋から声がするとか危険な匂いがぷんぷんするぜ!


『………………ろ。』


 扉の前まで来たがはっきり聞こえない。話し声ではなくて誰かに呼びかけている感じだ。どうする?


 扉に近づき身体を押し付けてみる。

 お、通り抜けできそうだ。どうやら魔力的なものは纏ってないみたいだな。…ちょっとだけ覗いてみるか?


 もしかしたら鎧を目的に来た冒険者とかが中に居るのかもしれないし。それなら無視するとルナリアに危険か及ぶかもしれないしな。


 俺はほんのすこしだけ扉をすり抜け、中の様子を伺うことにする。ちょっとだけ!先っちょだけだから!


 ………、デカイ!!そして禍々しい!

 扉から身体を少しだけ出すようにして中を覗くと、部屋の奥に大きく禍々しい雰囲気を纏った鎧が目に入った。


 鎧は台座の上に腰掛けるようにして置いてあり、その前にはこれまた禍々しい雰囲気の大剣が地面に突き刺さるように直立している。鎧の片腕が大剣の柄を握っている。

 鎧の兜はフルフェイスで、色は全体が黒、所々に赤いラインが走っている。


 すげー威圧感を感じるんですけど。アレは絶対、黒騎士とか魔将軍とかの二つ名がある感じですよ!今にも動き出しそうで怖いんですが…。


 そしてこの部屋にあるのは鎧と大剣だけだった。それはつまり、先ほどから聞こえていた声のようなものの原因は、アレである可能性が非常に高いということだ。事実、今まさに鎧から声が聞こえて来た。


『………逃げろ。』


 すごく不吉な言葉を発しているんですがこの鎧。

 逃げろって…何からよ?





『あら?』


 背後から声をかけられ驚いた俺は、そのまま部屋の中へと完全に入ってしまう。

 俺が入った後、扉をすり抜け現れたのはルナリアだった。………ルナリアだよな?


 ルナリアは俺の横を通り、鎧の前に立ち見上げている。俺の位置からは彼女の顔は見えない。が、俺は今自分がかなり危険な状況にいる事を理解していた。

 何せ悪寒が止まらない。彼女の纏う雰囲気に鎧以上の禍々しいものを感じているからだ。


『イケナイ子ね…。此処には入ってはダメよって言ったのに…。』


 す、すみません!この部屋から声が聞こえたものでして!入るつもりはなかったんです!おい!鎧!黙ってないで何か言え!ルナリアちゃんが怒ってるぞ!


『声…?この館には私と貴方しか居ないのに?………ふふふふふふっ。…アハハハハハッ!』


 ルナリアが突然哄笑をあげ、こちらを振り向く。彼女は満面の笑みだった。ただし、口角は耳まで届いてるんじゃないかというほどにつり上り、白目は黒く染まり瞳は赤く輝いていた。

 ぶっちゃけ化け物です。ありがとうございました。


『あら?化け物だなんてヒドイわ。さっきまであんなに浮かれていたじゃない。私も貴方が大好きよ?だってとっても美味しそうなんだもの!そこまで強い自我を持っている子は初めてだわ!貴方を食べれば私はもっと強くなれる!そうすれば愛しいあの人ともう一度逢えるの!…ふふふふふ。』


 ルナリアは化け物の様な表情を引っ込め、うっとりと此処ではない何処かを見つめている。


 あー、最初っから俺を食べるつもりで呼んだんで?


『ええ!ホントはもっと色々お話しした後に食べようと思っていたのだけれど!貴方が約束を破ってしまうんだもの!だから…いいわよね?もう我慢が難しいわ!アハッ!アハハハハハハッ!!』


 おおう、完全にロックオンされてる!

 くそっ!俺の純情を弄びやがって!美少女だからって何をしても許されると思うなよ!


 まずは彼我の戦力差を確認しなければ!

 え?ジェントル魂はどうしたって?そんなことはいいんだよ!アレを女の子と言えるような精神力は俺には無い!



 名前 ルナリア


 種族 死悪霊(デスガイスト)

 Lv,89


 〈状態異常〉

 狂化


 HP 1078

 MP 3050

 SP 9800


 物理攻撃 762

 物理防御 762

 魔法攻撃 2042

 魔法防御 1969

 最高速度 1250


 〈固有スキル〉

 透過 念動力 呪詛 怨嗟の呼び声


 〈スキル〉

 SP消費軽減(特大) SP自然減少無効

 SP吸収強化(大) 精神攻撃耐性(小)

 MP消費軽減(大) 闇魔法Lv,5 氷魔法Lv,4

 喰魂強化 浮遊 魂撃 魅了 狂化 怨念


 〈称号〉

【狂乱の神の加護】 【同族殺し】 【人類殺し】

【魂を喰らうモノ】




 ………ヒロインとの出会いかと思ったら、ボスとのエンカウントだったでござる。





ありがとうございました!

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