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熊よ!お前の勇姿は忘れない!

3話目です。誤字・脱字などありましたら報告お願いします!よろしくお願いします!

 


 人魂なのに目があるんですけどぉぉぉぉぉ!!?



 よし、落ち着け、俺。今日だけで何回パニックになるつもりだ?Coolに行こうぜ、兄弟。


 もう一度川の水に映った自分の姿を見る。うん、人魂だ。人魂だけど漫画みたいな目が2つある。目つき悪いなコイツ。片目を瞑ってみる。うん、映った人魂も片目を瞑ったな。

 ……あれ?これってシャーマンのアレみたいじゃね?シャーマン達の相棒で人型にも人魂型にもなれる幽霊さんに似てね?髪も口もないけど。揺らめいてる部分が髪に見えなくもないか?

 俺ももしかして人型に成れたり?どうやってなるの?…お客様!お客様の中にシャーマン様はいらっしゃいませんか!?シャーマンどころか人っ子一人いねーよ!


 と、冗談は置いておいて。俺、結構壊れてんのかも。記憶は曖昧だけどこんな性格じゃなかった気がするんだよな。テンションの上下も激しいし。というか、名前を忘れてんのになんでどうでもいいことは覚えてんだよ…。


 まぁ、過ぎたことはしょうがない。今のところ目標がある訳でもないし。どうせもう死んでる訳だし。消滅しないようにだけ気をつけて生きていけばいいだろう。あ、もう死んでるんだった。



 さて、色々確かめなければいけないことが増えてきたな。

 まず最優先で確認すべきなのはSPの増やし方か。俺の人生(魂生(こんせい)?)において最重要。これさえどうにかなるなら他は些事と言っていい。


 次はスキル【物質憑依】についてだ。

 大きさや内包魔力によって消費SPが変動するってことだからな。神様のおかげで軽減されてるらしいけどSPの消失=俺の消滅なわけだから気軽に試す訳にはいかん。SPを増やした後でまずはその辺の石ころから試してみるつもりだ。


 他の生物と意思の疎通が可能なのかも確認したいな。

 口が無くて声を出せないから望み薄だけどな。


 そして俺の同種についてだ。

 ぶっちゃけ他のスピリット系モンスターにも目が付いているのか確認したい。多分いるであろうウィルオウィスプ辺りには付いてる気がする。ただなぁ。人魂(スピリット)は自我が無いか希薄って話しだからなぁ。自我がないのに目が付いてるとか怖いだろ。絶対逝っちゃってる目をしてるよ。まぁ、俺もすでに逝っちゃってる訳だけど。



 とりあえず確認しておくことはこんなところか。じゃあ、早速動くかね。最初は小動物あたりでSPを確認したいなぁ。あ、今SPが1減った。この世界に来てからどんぐらいの時間が経ったかな?自然減少する時間・量も調べたいけど時計無いから判りにくいんだよなぁ。まだ半日は経ってない気がするけど…。


 最初にいた場所にリスが居たし、ちょっと探せばウサギとかも居るだろ。やっぱ異世界に来て最初に相手にすべきはウサギだよな!あのリスは俺が知ってるものの倍近い大きさだった気がするけどあれもモンスターだったのか?



 俺が元の場所に戻ろうとした時、川の向こう岸の木々が揺れる。木々と茂みをかき分け現れたのは巨大な熊だった。熊はこちらをちらりと見たが俺の存在を気にすることなく川に近づき水を飲み始める。


 おおぉ!デカイ!ゴツい!たくましい!熊って初めて見たぜ!リスの次のエンカウントが熊って!っていうかあの熊こっちに気づいてるよな?さっきこっち見たもんな?気づいた上で無視してんのか?無害だから?確かに現状攻撃手段がないけどね!


 そういや俺って一応人魂なわけだけど、他のやつから姿って見えてるのか?あの熊がこっちに気づいてない可能性もある?いやでも動物って霊感的なものが強いって聞いたことがあるような…?


 まぁ、いいや。まずは鑑定だな。



 名前


 種族 硬皮熊

 Lv,14


 HP125

 MP 0


 物理攻撃 120

 物理防御 75

 魔法攻撃 0

 魔法防御 20

 最高速度 38


 〈固有スキル〉

 咆哮 突進


 〈スキル〉


 〈称号〉



 《硬皮熊》

 主に深い森の中に生息する大熊。魔力は持たないが、その巨体と高い攻撃力を持つためにモンスターとされることもある。毛皮は硬く、水を弾く性質がある為、防具や雨具に重宝される。

 固有スキルに【咆哮】、【突進】を持つ。



 《咆哮》

 大きな声で叫び、その声を聞いた者に恐怖の感情を植え付ける。相手を怯ませる効果がある。


 《突進》

 攻撃意思を持って直進する際、物理攻撃、最高速度にプラス補正が掛かる。直進する場合のみ効果を発揮する。



 ほうほう、魔力を持たない…ね。完全に物理特化だな。これはもう戦うしかないでしょう!何しろ俺には【物理無効】のスキルがある!余裕ですな!攻撃手段は俺も無いけどね!


 というわけで熊の目の前に移動してふわふわ漂ってみる。あ、熊と目が合った。近くで見ると迫力がすげぇ。めっちゃ怖い!大丈夫だと思ってても心臓がバクバクする!あ、心臓止まってるどころか無いんだった。


 目の前で漂っている俺を煩わしく思ったのか熊が腕で振り払うように攻撃してきた。いやぁ、攻撃される瞬間は目を瞑っちゃったね。本気じゃなかったのか俺でも目で追える速度だったし。


 なんか不思議な感覚だ。身体を何かが通り抜けていく感覚。気持ち悪くも良くもない妙な感覚だ。

 攻撃を受けた際に身体が揺らめく感じがしたから、多分攻撃が当たらないんじゃなくて、当たったけど効果がないって感じなんだと思う。煙とかに攻撃したみたいな?もしくは暖簾に腕押し?ちょっと意味違う?


 しかし、我が事ながら俺やべぇな。スピリット系がHP全損したらどうなるのかは知らないが碌な事にならないのは確かだろう。なのに検証もしてないスキルに全てを託して行動するとか。下手したら消滅してたもんな。冷静な俺と考え無しな俺が同居してる感じだ。これはちょっと考えることを意識しないと簡単に消えるかもしれん。要注意だ。



 だがこれで【物理無効】はちゃんと働くことを確認できた。そしてこの熊は物理攻撃しか出来ない。

 …ふっ。ここで会ったが百年目!熊よ!お前で色々試させてもらうぜ!

 ちなみに俺があれこれ考えている間も2回程熊から攻撃を受けている。お前、完全に俺のこと見えてるだろ。

 

 まずは俺の攻撃手段の確認だ。俺には腕も脚も口もない。出来ることといえば体当たりぐらいだ。しかし俺の物理攻撃は0。いくら繰り返そうとダメージを与えられる未来は見えない。

 だが!俺は人魂(スピリット)だ!多分魔法生物的な存在だ!俺の体当たりは魔法攻撃に属する可能性がある!俺の体当たりは魔法攻撃だ!それを信じるんだ!行くぜ!!


 熊に向かって直進する。熊の体をすり抜けた。熊のHPを確認する。変動無し。うん、知ってた。

 熊は唸り声を上げている。なんとなく不快そうな感情が伝わってきた。うん、なんか怒ってますね。

 熊が咆哮する。うわ!?なんかビリビリ来た!今のは【咆哮】スキルか!?

 …けど特に何ともないな。スキルの説明では恐怖の感情を植え付けるってなってたけど?これは俺が恐怖など抱く男ではないという証明ではないだろうか?

 …うん、多分称号のおかげだな。神様の加護の効果に精神攻撃耐性(大)ってのがあったし。おそらくこれの影響だろう。まぁ、俺が恐怖を乗り越えし男だという可能性もまだ「グァァァ!!」うわっ!?


 俺が再びあれこれ考えていると熊が突進してきた。当然俺に効果は無く俺の身体をすり抜けていく。

 まったく、人が考え事をしている時に体当たりをしてくるとはなんて奴だ。俺は人じゃないけどね!


 背後に回った熊の方を向き、抗議の意思を込めて睨みつける。ふっふっふ。怖かろう。俺の目つきは悪いからな。なんでこんな目つきなんだろう?


 おや?さっきまであった威圧感が薄くなってる気が?熊は相変わらず唸っているが、なんとなく及び腰になってるような?あれだ、ほんとはビビってるけど虚勢を張ってるヤンキーみたいな?


 その時俺の中に何かが流れ込んできた感覚があった。俺はピンと来るものがあり、自身のステータスを確認する。


 お!やっぱりだ!さっき1減ったSPが200に戻ってる!なんで?熊を怖がらせたから?確かSPを増やす方法は負の感情を吸収するんだっけか?負の感情ってことは恐怖もそうだろう。

 つまり熊が俺にビビったから俺のSPが増えたってことか?ということは熊をビビらせまくればどんどんSPを増やせる?

 ふっふっふ!SP寄越せや熊!


 もう一度、今度はより強く熊を睨む。熊は唸り声を上げている。SPは増えない。あれぇ?

 睨んだから熊がビビった訳じゃないのか?別の要因?

 熊は唸るだけで攻撃してこない。奴も手立てがないからだろう。


 ん…?手立てがない?…そういうことか。

 奴のレベルは14。最初からこのレベルだったということはないだろう。14がこの辺りで高いのか低いのかは判らないが、それなりの戦闘回数があるはずだ。こいつの武器は高い攻撃力。強い敵には【咆哮】で怯ませ、逃げるという手もある。

 だが、俺にはその高い攻撃力も無意味だ。【咆哮】で怯むこともない。多分こいつにとって自身の全てが通用しない敵というのは初めてだったんだろう。それが俺に対しての恐怖に繋がったんだ。


 けど奴は気づいた。俺から未だに攻撃を受けていない事に。そのせいで俺に対しての恐怖が薄まったんだろう。さっきまで及び腰だったくせに今は絶対に退かないという意思を感じさせる目をしていた。



 さて、SPを得る方法は解った。とにかく相手をビビらせればいい。多分より強く恐怖を与えれば獲得できる量も増えるんだと思う。もしくは他にも方法があるとか。じゃないと効率が悪すぎる。まぁ、どちらにしろ攻撃手段の無い今の俺ではどうしようもない。


 熊は相変わらず油断なくこちらを睨みながら唸っている。どうしよう?このままじゃ千日手だぞ…?まぁ、熊は退きそうにないから俺が離脱すればいいんだが。



 すると熊が背後の森へと向きを変えた。なんだ?結局逃げるのか…?



 違う!木々が揺れてる!何かが来る!


「ガァァァッ!」


 森から飛び出してきた存在を確認した瞬間、俺は川の向こう岸に逃走する。


「グルゥゥァ…」

 熊は完全に戦意を失っている。それも当然だろう。俺だってアレを前に虚勢を張る気力は無い。



 名前 狂鬼のグリムンド(ネームド)


 種族 大戦鬼(ギガオーガ)

 Lv,127


 HP 5200

 MP 900


 物理攻撃 7280

 物理防御 4150

 魔法攻撃 890

 魔法防御 2720

 最高速度 3580


 〈固有スキル〉

 咆哮 物理強化 王者の威圧 覚醒

 不倶戴天 狂鬼


 〈スキル〉

 身体能力強化(大) 体力消費軽減(大) 状態異常耐性(大) 精神攻撃耐性(中)魔力変換(炎)

 HP自動回復 硬化 気配察知 早食い 大食い 共喰い 追跡 決闘者 一騎当千 鉄の胃袋 鋼の拳 武具破壊


 〈称号〉

【狂乱の神の加護】 【同族殺し】【動物の天敵】

  【魔獣の天敵】 【人類の天敵】【妖精の天敵】【王者】 【殺戮者】 【破壊者】 【戦闘狂】 【復讐者】




 ボスモンスターじゃねぇか!?

 何だアレ!?何でこんなのがいんの!?意味ワカンねぇよ!?ふざけんな!マジふざけんな!

 なんだあのスキル群!?見ただけじゃ効果がわからんのも沢山あるし!つーか、称号が不吉なもんばっかなんだけど!?何!?この森あんなんが普通に歩いてんの!?

 あ、熊が逃げた!俺からは逃げなかったくせに!まぁ、しょうがないよね!天敵だもんね!王者だもんね!


 しかし回り込まれてしまった!知らなかったか?大戦鬼(ギガオーガ)からは逃げられない!

 逃げられない!じゃねーよ!俺もやべーよ!あいつ魔力変換とか持ってるし!字面からして俺にも効くだろ!?

 さらばだ熊!お前の犠牲は忘れない!



 俺は熊の末路を見届けることなく逃げ出した。結果は見えてるしね!

 とにかく逃げろ!背後から誰かの断末魔が聞こえた気がするけど気のせいだ!!





お読みいただきありがとうございました!

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