怠惰な魔力
夕食はお祖父様に頼み込んで、食堂でマーニャと一緒に食べていいことになった。前ポルンブルグ伯爵は孫バカなのだ!
夕食だが、俺が釣ったメチルヴァが出てきた。俺が釣った事をお祖父様に伝えると、お祖父様は驚くのと同時にこちらの体調を心配してきた。大丈夫と伝えると安心したが。
マーニャはその間も目の前の魚に釘付けだったがな。
ああ、そうそう。メチルヴァだが、やはりカジキだった。美味しかったから問題ないが。
夕食を食べ終えるとマーニャと一緒に自室へと戻る。
そういえば、帰り際にフリッツがこちらを恨めしそうに見つめて『若旦那はマーニャに懐かれてて、いいですね』と言ってきた。
果たして本当に懐かれてるのだろうか?
そう思い、マーニャの顔を覗き込んで見るが、眠たそうにしてるだけだった。
う~ん。初日みたいにいきなり襲われるなんてことはないけど、初日があれだったしな。それに、こちらの言葉に反応はするけど、喋らないから何考えてるかわかんないしなあ。
懐かれてるといいんだけどね。
マーニャも眠そうにしてるし寝るか。
俺はマーニャの手を引きベットに入る。そして、昨日と同じように抱きしめて寝る。昨日は慌ただしくて考える余裕もなくてわからなかったのだが、マーニャは手頃にもふもふしてて抱枕として最適なのだ。
俺の腕の中にいるマーニャはさっそく夢の世界に旅立ったようだ。その寝顔は心なしか幸せそうに見える。この表情がずっと続けばいいんだけどな。
俺はそう思いながら、夢の世界に旅立った。
「ミハイルお坊ちゃま!起きてください!もう昼ですよ!」
ソフィーの声が頭に響く。
「あと、もう少ししたら起きるよ」
「そんな事言ってないでさっさと起きてください!」
ソフィーはそう言って俺の布団を剥ぎ取る。うっ!日差しが眩しい。
「全く、今日はどうしたんですか?朝になっても起きてないから、起こそうと思って何度も声をかけても一向に起きないで。ようやく起きたと思ったら、あともう少しって!」
どうやら、ソフィーに迷惑をかけたらしい。と言うか、朝からずっとこれを繰り返してたのか。
しかし、これはしょうがないのだ。昨日、少し力を使いすぎたし。
それよりもだ。ちゃんとソフィーに謝っとかないと。迷惑かけたのだし。
「ごめんね、ソフィー。昨日の釣りで疲れちゃって」
「はあ、ご病気の体で無茶をなさるからですよ。フリッツがお坊ちゃまように昼食を用意してますから、顔を洗って来てお食べくださいね?それから、マーニャは先に起きてますよ。今頃、フリッツに餌付けされてるところでしょうね」
先にマーニャは起きてたか。それよりも、疑問に思ってたことをソフィーにたずねる。
「ソフィーって、マーニャのことどう思ってるの?」
そうだ。これをずっと疑問に思ってたのだ。ソフィーは初日、マーニャの事をペットとしか見てなかったはずだしな。
「お坊ちゃまの大切な子猫ってところですかね?」
「マーニャは一人の人間だよ」
「そうですね。しかし、子猫は子猫ですよ」
うむ…では、ソフィーは別にマーニャの事を悪く思ってはないのだな?
何やら、事情が面倒くさい感じもするがそれさえわかれば、今のところべついいいや。
「あ、そうだ。明日マーニャの靴を買いに行くから、手配しといて」
退室しようとするソフィーにそう伝える。
「マーニャの靴ですか?彼女には必要ないと思いますが。獣人ですので、私達と違って頑丈ですし」
「それはそれ、これはこれ。僕がプレゼントしたいからするの!」
「はあ。そこまで言うのなら手配しときますね」
ソフィーはそう言うと退室していった。最後にマーニャは幸せものですねと聞こえた気がした。
さて、顔洗って昼食食べに行くか。
顔を洗って食堂につくと、マーニャが餌付けされている現場に出くわした。
「フリッツ、一体君は何をしてるかわかってるのか?」
「あ、若旦那ようやく起きたんですか」
先程まで餌付けされていたマーニャは、俺に気づくと近寄ってくる。
フリッツは何やら残念そうだが放っておこう。そんな事よりめしだ。
さて、昼食を食いながら俺の特殊体質の説明でもするか。