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この世界の説明はこれで終わりだ

 クソ!頭が激しく痛む。

 だが、痛みを感じると言うのも久しぶりだ。それとこの程度どうということないし、起きるか。


「お、奥様!お坊ちゃまが、ミハイルお坊ちゃまが目を覚ましました!」


 起きたばかりなんだから、あまり大声を出さないでくれ。頭の痛みがますから。

 異世界で初めて聞く声の人物は、入れ替わり先が裕福って言ってたしメイドだろう。


「き、奇跡じゃ。これは神の奇跡じゃ……!」


 メイドの近くに凄く神々しい人がいた。ジジイの奇跡なんて存在しないから崇めるのはやめとけ。

 本当のミハイルが目覚めたわけじゃなくて、ジジイにぶち込まれた俺が起きただけだしな。

 そのことに関しては、特に罪悪感は抱いてないんですけどね。

 あと、凄くだるいから、もう一眠りするね。


 そう言えばこの症状、心当たりがある。さてはインフルだな?インフルだからって侮ってはいけない。インフルは体力の無い者から連れさって行く、恐ろしい死神なんだ。

 なんせ、かつてスペイン風邪というパンデミックを起こし、第一次世界大戦の犠牲者を超える死者を出す程度にはインフルはやばいのだ……


 目が覚めたら、家族に囲まれていた。

 さて、どうしたものか……こういう時って、何て言えばいいんだろうな?


「ミハイル、ほ、本当に生きてるのよね?」


 中身はちがうけどね。でも、ミハイルとも言えなくもない。さて……


「はい、母上」


 俺はそう言い両手を伸ばした。そんな俺を母上はそっと抱きしめてくれる。

 この瞬間から俺はミハイルだよなー。家族愛ってのも、たまには悪くない。


「マリー。嬉しいのはわかるが、ミハイルはまだ体調が悪い。それにわしの神聖魔法が効果を発揮しなかったのじゃ。じゃから、今はそっとしといてやれ」


「わかりましたわ。お父様」


 この神々しい爺さんは、母上の父上だから俺のお祖父様だったのか。

 ってそこじゃない!魔法だって?この世界あれか、腹黒が作って放置してたののどれかか……

 そうすると……クソ!病み上がりで考えがまとまらない。なら寝よ。


 意識を手放してから数日経った。体調はかなり回復したが、この世界の医療である魔法が効かなかったっていう事は、結構ヤバイ状態だったのかも知れない。

 でも、回復したからそれはとりあえずいいや。


「また、考え事ですか?ミハイルお坊ちゃま。体調が回復してからずっとそれですね」


「仕方ないだろ。お祖父様がベットから出るなって言うから、やることないし」


 この数日でわかった事は、俺の家はチェイミア王国の貴族で辺境伯って事と、俺の父上はシャルルでお祖父様はヨーゼフで母上はマリって事と、この世界は封建的君主制って事くらいだ。

 それから、俺の家はメーレン家と言うらしい。フォン・メーレンだとよ。あと、俺には二人の兄が居て俺はメーレン辺境伯家の三男坊である。三男坊か……なんとも微妙である。


 あと、腹黒の奴はどこの国をベースにしてこの世界を創ったんだ。父上はシャルルなのに俺はミハイルだし、お祖父様はヨーゼフだ。フランスなのかドイツなのかロシアなのかはっきりしろ!


「ほらまた!すぐそうやって、自分の世界に引きこもるんだから。そんなお坊ちゃまには、今日は本を読まなくてもいいですね~」


「すまなかったよ。ソフィー」


 こういう時は素直に謝っておくに限る。ソフィーはただでさえ、俺が頼んだ本の量にうんざりして機嫌が少し悪いのだ。

 ここで完全に機嫌を損ねられたら、一体誰がこの量の本を読んでくれるのだ?


「しょうがないですから、読んであげますよ。あ!それから、旦那様が帰ってきますよ」


「本当?父上が帰ってくるのか」


 俺が居る場所はメーレンの領都であるのだが、辺境伯と言う重要な地位についてる父上は、他の貴族との会合や国の式典などなど重要な仕事が多くあり、中々領都に居ないのである。


「本当ですよ。だから早くよくなりましょうね」


 ソフィーのこんな感じの顔はよく知っている。親しい者が絶対に助からない時に相手を安心させる為の顔だ。そんなに俺の状態は悪いのだろうか?だが、死ぬ気はないから安心しろ。


「ソフィー、それより本を早く頼むよ」


「はいはい。わかりました。最初は魔法の本からですね」


 と言うわけでソフィーに本を読んでもらった。だが、読んで貰った本が多い上に内容も長かったので、わかりやすく俺がまとめよう。


 魔法についてだが、思った事は某RPGじゃんって話だ。

 で、魔法を覚えるには魔力が既定以上あることが前提条件だが、覚える為には各国にある学園に通うかバカ高いスクロールを買って読むか、魔法使いに師事するしかない。


 なので、魔法を使えるのは一部の特権階級者だけである。もし、ただの平民で使える人間がいたら、そいつは凄い才能の持ち主か、没落貴族のどちらかであろう。

 あと、この世界に蘇生系の魔法はない。あるかも知らないが、絶対に禁術扱いだろう。


 次の本はこの国の経済や周辺地理情報とかの本だ。


 この国の貨幣は、銅貨、銀貨、金貨と物語でおなじみの3つである。

 それぞれ、10枚で大銅貨、大銀貨、大金貨となる。大銅貨10枚で銀貨一枚、大銀貨10枚で金貨一枚と言った感じがこの国だ。

 物価はよくわからない。ただ、金貨一枚もあれば平民の家族が一年は余裕で暮らせるらしい。


 あとこの本には地図があってので見せてもらった。それでわかったのは、この国のある場所はヨーロッパだと言う事だ。流石に国まで一致はしてないが。

 この国の位置は、中央ヨーロッパ付近だ。地図の精度が低いから詳しくはわからない。


 次に読んでもらった本は宗教に関するものだった。

 この世界と言うより、この大陸の宗教はミトラス教と言う二柱の神を崇める宗教だ。

 だけど、俺の居る国であるチェイミア王国はミトラス教ではあるが、多神教徒らしい。謎だ。異端者の国って言われて俺の国滅びたりしないよね?


「お坊ちゃま、これで最後ですからね?」


 かなりの本を読んで随分と疲れた様子のソフィーにそう言われた。


 最後に読んでもらったのは、この世界の生物についての本だ。

 基本的には地球と変わらない。ただ、魔法があるからなのか魔物と呼ばれる存在がいる。

 あと、ファンタジーでは定番のエルフやドワーフなどの種族も居るようだ。


 この世界には獣人も存在するが、彼等は自分達の国を持っておらず、人の国で生活をしている。が、彼らは人の国では二等人として差別されている。

 でも、人であれば種族関係なく子供をつくれる。不可思議な事ではあるが、この世界が腹黒が適当に創った世界なら、この不可思議な現象も納得である。


 最後に本には書いて無かったが補足として、この世界に人権の概念は存在しないので奴隷は沢山居るのである。特に獣人の奴隷が多い。


 今日はソフィーがもう疲れきっているので、ここまでだ。俺も疲れたしもう寝よ。

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