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悪巧みをしていた

 ここでこの世界と異世界について話そうと思う。

 僕達が通常“地球”とよんでいるこの場所に今から十年程前、“幻想断絶”と呼ばれる出来事が起きた。

 それを期に、存在しない神話などにしかない生物が具現化される。


 なんでも異世界の、いわゆるファンタジーな世界と一部この世界が融合しているらしい。

 その結果、妖怪妖精幽霊といった魑魅魍魎の怪物の類が現れるようになった。

 それらと“霊力”という力で戦うものたちもこのに日本ではいる。


 それを陰陽師と呼んだりしているが、最近ではもっと別の名前でもいいのではといった話になり、別の名で呼ぶ形にもなっている。

 それは陰陽師などと呼ばれる人物たちの後続を育てるが学校で特に顕著だ。

 特に生徒を集めたい学校ではクラスの名前を変えている。


 即ち、光属性の力は“勇者科”、闇の力は“魔王科”である。

 特に才能が左右される分野なために少しでも興味を引きために名前を変えている。

 因みに僕は“魔王科1_A”に所属し、怜は“勇者科1_C”だったりする。


 クラスは能力の高さで分けていないので、たまたま僕は怜と隣のクラスだった。

 だから気楽に怜は僕のいるクラスに来れるというのもある。

 それに怜は、初め別のクラスと絶望した様な顔になってからすぐに、非常に喜んでいた。


 さてその辺りが今、この世界の話。

 だが僕にはもう一つの顔がある。

 この身体には“封じている”とはいえ通常では考えられないような“闇の霊力”がある。


 そう、僕の“真の力”は違うのだ。

 因みに怜にもまだ“扱えきれていないので封印されている”“光の霊力”がある。

 ただしあちらの世界では“霊力”ではなく“魔力”と呼ばれているが。


 もともと異世界と繋がった影響で世界の壁が薄く、僕はその巨大な力を持つがゆえに、この世界で眠っている間、異世界の魔王と同一存在になる。

 それは怜もそうであるらしく、同じ世界の勇者をやっている。

 あちらの世界の記憶は、僕がこの巨大な力故にこちらで目覚めている間も持ち続けてるのに対し、怜はまだすべての力に目覚めていないので、こちらで目を覚ましている間はあちらの記憶が無い。


 それが僕には許せない。

 あちらの世界で僕は善良な魔王をしているが、それでも勇者が魔王を倒してに来るという“茶番”がある。

 その時勝ったほうが負けた方に一つお願いを叶えて貰うという決まりがある。


 それはいいのだ。

 だが、初めて異世界で僕は怜と遭遇したとき、“告白”をされたのだ。

 昔から僕が好きだと。


 だがこの世界に戻ってくると、怜は全てを忘れていた。

 そう、全てをだ。

 はっきり言って僕は告白されて嬉しかった。


 僕も怜が好きだから。

 だが、こちらの怜は好意はあるけれど告白の記憶がない。

 それが僕は気に入らなかった。


 だから記憶が無いのをいいことに、怜の僕への恋心を知りながら“弄ぶ”事にした。

 この世界で色々として、あちらの世界でなんであんな意味有りげな行動を取るのだと怜が顔を真っ赤にして苦情を言って来るのを、僕は鼻で笑っていたりする。

 そしてさらにムキになって怜が僕に戦いを挑んできたときに倒し、お願いと称して“生殺し”にすべく抱きついたり誘惑をするような行動を怜にとって、遊んでいた。


 怜の忍耐力はなかなかのものだと楽しんでいたが、先日ついに負けて抱かれてしまったわけだが……その時、とてもしつこかった。

 もうやめろと言ってもあいつは聞かなかった。

 さんざん今まで誘惑したから自業自得だろうとか言いたい放題言いやがったのである。


「だから僕は決意したのだ、こっちでは散々“弄ぶ”と」

「黒兎、どうしたんだ?」

「悪巧みをしていた。魔王だからな」

「その魔王の企みを阻止するのも勇者の仕事だ」

「ではそんな勇者は懐柔しよう。出汁焼き卵一つで良いか?」

「食べさせてくれないとダメだな」

「仕方がない、後で食べさせてやる」


 そんな話をしているとそこで、


「相変わらず二人は仲がいいね」


 そう現れた見知った人物に言われてしまったのだった。



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