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俺たちは自由にやる!!  作者: 雪だるま
夏は海と花火とお祭りと怪談
8/13

第八夜:人生は冒険と発見の連続である

第八夜:人生は冒険と発見の連続である




前にも言ったかもしれないが、人は知らないことのほうが多い。

知っているなどというのはうぬぼれである。

世界の広さを知れば知るほど、自分が知りうる範囲がどれだけ狭いかを思い知る。


現代では、ほとんどの人が、子供から大人へなる間に、その広い世界を思い知るだろう。

今や、グローバル化、国際社会。

数多の人材がいて、多少頭がよかろうが、運動神経がよかろうが、上はごまんといる。

でも、これを壁と感じてあきらめるのは間違いである。

それを喜べという人がいる。

越えるべき壁は高ければ高いほどいいものだと、世界には天井など存在しないと。


夢とは叶えて終わりではない、さらなる夢を生み出すための一歩である。


つまり、夢というのは、挑戦であり、冒険であり、さらなる発見への道、人生そのものである。

夢に果てなどない、冒険する先は尽きない。

道は無限に目の前に広がっている。

それを実感できる人は少ないが……。




「いやー、ほんと楽しいなー」


その無限の道の一つを確認してウキウキしている少年が一人いる。

名を、飛翔鷹矢という。

彼は天才である、両親の才能を惜しみなく受け継ぎ、その人生を新たなる世界へと切り開くことへつぎ込んでいた。

だが、それはある意味孤独であった。

周りの同じ年の子供たちは、彼の天才についていけるものはいなかった。

彼の話についていける大人も、子供と笑って話を聞けなかった。

ついていくのがやっとであり、下手をすれば、自分たちのほうが知識が足らないと、自覚し、周りに露見するからだ。

聡くもあった彼は、徐々に世間の隔たりをめんどくさがり、人と付き合うことをやめるようになる。

彼にとっての世界は、広くもあり、狭くもあった。

しかし、それはある少年との出会いで一転することになる。

その少年は、ひたすらに純粋だった。

どこにでもいる少年だ。

天才である彼の話についてはいけない。

しかし、それをつまらなくは思わなかったようで「お前はすごいんだなー」と、彼の凄さを適当に理解して、一緒に遊ぶようになる。

最初は鬱陶しくもあったが、彼は徐々に自分が知らなかった世界に気が付いていく。

本や研究所だけで、物事は完結していないと。

いや、すべてを経験することが、すべてに繋がっていると実感した。


真面目な奴の世界。

バカな奴の世界。

兵士な奴の世界。

天才な奴の世界。


全て違っていた。

同じな人生は存在しえないと理解はしつつも、パターン化して、ある程度予測がつくと高をくくっていた。

でも、違った、その世界から見える光景は想像を超えていた。

人の気持ちなんて、その人の知る世界なんて、絶対理解しえないと分かった。

だって、自分が彼らと遊ぶだけで、ものすごい世界の広がりを感じたのだ。


こうして、天才は、現在に至る。



「ボロボロの家屋に、生い茂った草木。こんな廃村が存在するかねー。行政の怠慢かね」


そんな的外れなことをいって、夜の闇の中をのんびり歩いてく。

たしかに、昨今、時代の流れか、地方の村落はこうやって人がいなくなって廃村となることが多い。

しかし、こういう場所を放っておくと、遊び半分で誰かが入ってけがをする。

そんなことがあれば、この廃村を放っておいた行政の責任になる。

ま、片づけるだけの予算などの問題もあるのだが、そんなことは知りつつも言う。

不満はない。

だって……。


「お、そこだな」

「うぉぉおぉぉぉぉ」


物陰から、鉈を振りかぶって、聞くに堪えない叫び声を発する死体がいる。

こうやって、自分の知らないことが出てくるから。


バシュ。


そんな音がして、死体は身動きが取れなくなる。

車に搭載してた、トリモチ弾である。

鷹矢は今までの経験上、相手を捕縛するのに一番効率がよいということで、開発したものである。

戦場を生きてきた真の字はともかく、進や也の字の前で無益な血を見せるつもりは全くない。

普通であれば、そんなただの戯言とって切り捨てるのだ。

物事の発展には犠牲がつきもの。

その恩恵を受けつつも、最近の世界は容認していない。

いや、ただ単に、知らないふりをしてるのだ。

いつだって、どこだって、最前線で命や技術と向き合っている人々がいて、その人たちの人生をかけた、幾百の命結実が今の技術なのである。

だから、鷹矢はそれを容認しない、愚かな普通の人が嫌いだった。

無論、最初の頃は進や也の字にこの言葉を吐いた。

普通は、これで理由もない、ただの理想論しか吐くか、ただわめいて認めないだけだ。

しかし、あの二人は違った。


『うーん。よくわからないけど。やっぱお前もただの人ってことだな』

『進の言う通りだな。天才ってのは普通の人にはできないする人を天才っていうんだぜ』

『あ? バカだろお前ら。俺は今までもいろいろな発見は発明をしてる。ちゃんとした天才だ』

『そうか? それってさ、今までの天才と変わらないってことだろ? それって天才っていうのか?』

『いいわけしてるのはお前だばーか』

『なんだと!?』

『だってそうじゃん。難しいからやめたんだろ? 犠牲を減らすって難しいことから逃げて、楽な方向に行ったんだろう?』

『そーだ!!』

『そ、それは……』


鷹矢は返す言葉がなかった。

当然と思ってい事は、2人の少年にすればただのいいわけだった。

必要な犠牲。それは必要なものだ。

そうだと思っていた。

だけど、見方を変えれば難しいことを放棄して、安易な答えを求めているのと変わらない。


「まったく。難しい注文を付けやがって……」


鷹矢はそんな文句を言いつつも、解体することなく、捕縛した死体の調査を開始する。

これで約150体目。

学校からは結構離れ、約束通り、周りにいた死体を捕縛して調査しながら進んでいる。


「だが、それをこなしてこその天才ってね」


そう。

鷹矢はただ友人たちに認められる天才になろうとしている、普通の人である。

まあ、今までの経験や元々のハイスペックのおかげで、このホラーな状態でものんびり歩いていられる人間が出来上がったのだが。


「ふーむ。なんというか、傷口を通して、術式を送り込んで、単一行動させるようなシステムみたいだな。なんか、バカじゃねーか? 獣のほうがまだましじゃん」


鷹矢は多数の調査の結果、そろそろ答えに近づきつつあった。

だが、その答えを察するあまり、なんか残念になってきた。


ガサガサ……。


「ぎぃぇぁいぁぁぁ」

「お、新しいタイプか?」


その奇妙な声の主を見ると、ケガをした人という様相ではなく、身長は3m超え、腕は盛り上がっており、人をゴリラのような感じにした怪物であった。


ゴッ。


その怪物は鷹矢を視認するなり、腕を振り下ろしてきた。


「よっと」


ドゴン!!


巨体に違わぬ威力で、地面に拳が叩きこまれめりこむ。

鷹矢は特に焦ることもなく、簡単に躱して、観察をする。


「ふむふむ。わかりやすいぐらいの攻撃型だな。しかもお約束でスピードが大幅ダウンと。トロールとかが一番近いか?」


鷹矢は今までの集めた知識から、特性が近い化け物を思いだす。

数多の世界を遊んできた、4人にとってはこの程度は驚くべきことではない。


「ぎゃぃあぁぁいあぁ!!」


何度も腕を振るい、鷹矢に攻撃をするが、当たることはない。


「はぁ。知能がないな。トロールとかの魔物のほうがまだ自意識があるだけましだな。半端に制御してるから、追いかけて、攻撃しかできてないな。こっちも同じような感じか。つまらん」


動作の確認を終わらせた鷹矢はそのままロボットアームでパンチを入れる。


ドズン!!


「ぎぃがぁ……」


ドドン。


一撃で沈黙する巨人。

鷹矢はさっさとトリモチ弾を放ち、起きても動けないようにしておく。


「しかしなー。新しいのもでてきたか。これは、自然災害って感じじゃないな。意図的やっぱり誰か作ってるか?」


鷹矢の推測が正しいとするならば、元凶を絶たないかぎり、ゾンビーさんたちが量産されることになる。

それでは、治療方法が確立してもいくらやっても終わらない。

いや、治療できるならいいが、最悪、元凶が人死にを出しかねない。

そうなると、事態解決しようにも、夏休みは事情聴取に終わってしまう。


「それはまずいな。海賊の財宝捜索ができない……」


高校の夏は有限である。

それは何事にも代えがたい、一時の宝石である。


「よし。方針を変えよう」


鷹矢はそういうと、二つしか出ていなかったロボットアームが全部で8つ空中に出てきて、全部が全部、物騒な武装を持つ。

バチバチ鳴っている棒だったり、大口径の銃だったりと、どう考えても、相手を制圧するための装備である。


『只今、進様を呼び出しています』


そんな声と共に、ジリリリンっと、昔懐かしい黒電話の音がする。


『はい、もしもし?』

「お、進か? そっちはどうだ?」

『んー? カップ麺食べて暇だから、皆でトランプしてる。お前こそどうしたんだよ。 あ、それダウト』

『な、なんでわかるんですか!?』

『洋子ちゃんわかりやすすぎよ……』

『だな。もっと表情を隠す練習をして方がいい。私を見習ってな』

『田中さんの顔なんて区別つきませんよぉー!!』


どうやら進たちの方はのんびりとトランプをしている様だ。


『と、思ったよりも帰りが遅いな? なんか問題でもあったか?』

「いやー。周りに結構いたから全部捕まえてたら遅くなってる」

『ああ、それはごくろうさん。なんか治療のヒントみつかったか?』

「それそれ、それで連絡したんだよ。なんか病気をまいてる奴がいるみたいでさ。そこに殴りこんでくるわ。そこで資料とか集め方が手っ取り早い」

『そういうことか。手助けいるか?』

「いや、もう場所は把握できてるし、一人でいいわ。そっちはのんびりそこで先生さんたちと一緒にいてやれ」

『あいよー』


進が返事をした後に、洋子の声がやたらと近くで聞こえてくる。


『って、新上さん。さっきから何を独り言を?』

『え? ほら携帯』

『……ねえ、新上君。それってもしかして電話?』

『あれ? 携帯電話しらない?』


そんな妙な会話が聞こえる。

何やら、携帯電話が珍しいみたいだ。


『私が知ってる携帯電話ってもっとこう大きくて……って、そうじゃなくて、相手は飛翔君?』

『そうですよ。今から元凶にところに行ってみるって』

『そ、それはまっ……』


ブツッ。

田舎って大変だなーと思いつつ、とりあえず、鷹矢には関係なさそうな話なので、電話を切る。

無駄話は嫌いなタイプなのだ。


「さてと、ランダムに湧いてきているように見えて、実は出現ポイントがあるんだよなー」


鷹矢はそういって、空中に投影したホログラムモニターを見つめ、自分がいるマップ周辺をみる。

そこには、ぽつぽつと、青い点がある。これがゾンビーさんたちである。

で、数が一定以下になると、ある複数地点から、一気に出現しているのを確認していたのだ。


「さっきのデカブツ以降、送り込みは無くなってるし……。タイミング的に、そろそろ……お、来た」


目の前の霧の中から、同じようなデカブツが今度は数匹出てくる。


「うし、いっちょ。行ってみるか。何事も経験だ」


そして、鷹矢はデカブツたちを一撃で鎮圧して、その霧の中に踏み込む。

霧の中は視界が無いに等しく、目の前にデカブツなんかいれば危険だろうと思うが、八岐大蛇を退けたバリアーを持つ鷹矢の心配をするのはナンセンスであり、何事もなくその霧の中を抜ける。


そこは、一言でいうなら地獄。

数多の死体が積み重なって、それを引きずるデカブツがいて、奥の儀式台みたいな場所に、シスター服の女が立っている。


「ああ、我が神よ!! もうすぐ、もうすぐ生贄がそろいます!! さあ、また一人お召くださいませ!!」


そのシスターがそういうと、死体がビクッっと跳ね上がり、起き上がる。

とても正気とは思えない。

そのシスターはその状況の中で微笑んでいるのだから。

だが、そんなことで物怖じするような鷹矢ではない。


「もしもーし!! ちょっとお尋ねしたいことがあるんですがー!!」


本人的には、マッドサイテンティストだなーぐらいのもので、こりゃ普通に声かけても聞こえねーよなという配慮からである。

まあ、基本的に訪ねてきたのだから、ここにいる人に声をかけるのは当然なのだが……。


「あら? いっしゃいませ。生贄になりにきたのですか?」


シスターは血を浴びた顔でにっこりと笑う。

普通ならこれだけで卒倒ものである。


「いえ。ちょっと、この病気のことを調べていまして……」


何のためらいもなく、シスターに近寄っていく鷹矢。


「ああっ、我が神よ!! 今から新鮮な生餌を送りますどうかお喜びください!!」


そういって、両手を天に掲げ、デカブツが鷹矢へと歩み寄る。


「あ、いえ。そっちの予定はないので遠慮します」


ボゴンッ!?


そんな音と共に、デカブツは沈黙する。

その瞬間を目の当たりにしたシスターからは笑みが消え、ぞっとするような視線が鷹矢に向けられる。


「なるほど。あなたが不法侵入をしている陰陽師ですか」

「いえ、違います。道に迷っていまして、ついでにこの人みたいにけが人がいたので治療方法を探しているだけです」

「戯言を……」

「いや、いたって真面目なんですが」


この場において、2人の間には決定的な空気の違いが存在してた。

だが、それを指摘するものはおらず……。


「我が神の力にひれ伏しなさい!!」

「あのー、お話をー」


こうして、元凶と思われる血まみれシスター戦いと、鷹矢の質問は始まるのである。





はい、さすがに息切れです。

これから、ペースもさらに落ちると思うのでご了承ください。


で、現在の状況。


・進と田中さん、おまけ2人チーム

・鷹矢VSシスター

・真の字と捕縛された陰陽師

・魔法少女を追いかける也の字

・迷子の魔法少女


さあ、どういう結果がまっているのか!!

君に想像はつくか!!

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