第十夜:ちょっと地元から離れると違うことが結構多かったりする
すいません。
艦これ改をしていて、こちらの執筆が遅れました。
ごめんね。
ではどうぞ!!
第十夜:ちょっと地元から離れると違うことが結構多かったりする
世の中というのは、案外狭いという話はある。
都会に出てきたら、知り合いが都会で働いていて、なんでこんなところに?と世間は狭いなー、とか話すのはよくあることである。
だが、逆に隣町に出ただけなのに、かなり地元と違うことがあったりて密かに驚いてる人も多いのではないだろうか?
例えば、地元では普通で食べていたものが、よそではメジャーな食べ物ではなかったり、あれ?これも方言だったのかという感じで伝わらない言葉があったり……。
わかりやすいところで言えば、地域によって若干ルールが変わるトランプゲームがわかりやすいだろうか?
「ほい。8切り」
そういって、進は積まれた山を崩す。
大富豪には8切りというローカルルールが存在する。
これは、大富豪、あるいは大貧民の苛烈なルールにおける救済措置である。
トランプで行われるゲームの一つ大富豪。
歴史は比較的浅いとされるが、ローカルルールが多岐にわたり、ルールの詳細は省くが、順位が決まった際、1位から最下位までの大富豪、富豪、平民、貧民、大貧民と階級がわけれられ、大貧民は次のゲームで強い手札を大富豪の相手に渡し、弱い手札をもらうというルールが存在する。
これにより、一度大貧民になってしまうと、上位、つまりゲームで勝つことが難しくなるのだ。
革命という同じカード4枚でカードの強弱が逆転するというのも、ローカルルールだったりする。
というわけで結構厳しいようにみえるが、革命のルールがない場合は、大富豪、つまり前回一位で上がったひとは、次のゲームも一位で上がらないと、貧民、大貧民になってしまうというルールも存在するので、一概に下位だけが厳しいというわけでない。
「え? なんですか、8切りって?」
と、話がそれたが、今回はそんなローカルルール、地方で違うような話である。
進たちは、あの後、鷹矢から提供されたカップラーメンを食べて落ち着いたあと、トランプゲームをしていて、次々とやるゲームを変えていたが、この大富豪において、ローカルルールを知らない事態が起こったのだ。
「あれ? 8切りしらない?」
「知りません」
「……8の札を出すと、強制的に山を崩して、8を出した人からまた始められるのね?」
「そうそう」
「ふぅん。これは救済措置みたいな感じね。8を持ってれば流れを変えられるチャンスがある。悪いルールじゃないし、このままいきましょう」
「なるほどー。なら、私も上位になれるかもしれませんね。でも、こんなルールがあるんですね新上さんのところって」
「うーん。結構メジャーなルールかと思ってたけどな。地元だけだったのか?」
『世の中。案外、知らないことが多いということだ。いい勉強になったな進』
「そうだなー」
「「……」」
2人は、お前が言うべきことではないと田中さんにいいたかったが、そこはこらえる。
「そ、そういえば、トランプに興じていたけど、飛翔君は大丈夫かしら? その、携帯電話で連絡が来てから結構経つと思うのだけれど」
「あ、そ、そうです!! 大丈夫なんですか!?」
先生さんは正直言って、今、トランプをのんびりしてていいものかと思っていて、ようやく口を挟めたのだ。
洋子の方は、状況を忘れて楽しんでいたようなので、それもあって今まで黙っていたが、さすがに戻るのが遅すぎるので、聞いてみたのだ。
最悪、自分たちが鷹矢を助けに行く覚悟で。
先生だけに、命の恩人を見捨てるような真似はできないのだった。
「あー、そういえばどれぐらい経った?」
『大体……。ああ、時間が動いていないな。まあ、恐らく時が動いているなら2時間といったところだろう』
「あ、時計こわれてますからね」
洋子がそういうが実は違う。
田中さんの中にはちゃんとした、機械仕掛け?の時計があるがそれが停止しているので、文字通り時間が動いていないのだ。
『まあ、先生さんの心配は特にしなくていいと思うが。そろそろ、治療する場所を確保したほうがいいな』
「どういうことかしら?」
「ああ、そういえば、鷹矢のやつサンプル集めるって言ってたから、きっと数人じゃすまないよな」
「さんぷる……ですか?」
『そうだ。鷹矢なら問題なく、サンプルを集めて、化け物と化した人をもとに戻せるだろう』
「ほ、本当ですか!?」
「本当なの?」
洋子は希望の言葉に思わず叫び、先生はあまりそいう期待をしていなのか疑わしげだ。
『まあ信じろとはいわない。が、先生さんの足を治したとい事実はあるからな。私たちが何かをするよりよほど確率があるのは確かだ』
「……そうね。わかったわ。で場所っていうと、それなりに人が入ることがいいわよね?」
『ああ。それが好ましい』
「なら、体育館とかどう? まあ、周りに化け物がいたらどうしようもないけど」
先生は覚悟を決めて、鷹矢が戻ってくると信じて、準備をする決意をしたようだ。
「残ってれば、それも捕まえればいいさ。なあ?」
『うむ。そうすれば鷹矢のサンプル集めを手伝えるから一石二鳥だろう』
そういって、田中さんはアームをドリルへ変化させてぎゅいんぎゅいん回す。
それを見た、洋子は頼もしそうにみていたが、先生はそのドリルでどうやって集めるのかを想像して引くついている。
「うし。ならさっさと行くか」
『そうだな』
そして、進と田中さんはトランプをササッと片づけて、立ち上がり、封鎖していたドアをあけ放つ。
「ちょっ」
「きゃっ!?」
女性二人はそこから化け物が来ないかと、固まってしまったが、特に何かが廊下にいる様子はない。
進と田中さんは特に躊躇いもなく外にでて窓から外を見る。
「あのでかいのが体育館か?」
『おそらくは。先生さん、あの建物か?』
「え、ええ」
「見た感じ外から回ったほうが楽だな」
『そうだな。いったん外に出よう』
そういって、2人は普通に暗い廊下をある行く。
それに慌てて女性2人はついていく。
「そういえば、外に出るって言っていたけど、昇降口は誰かが作ったバリケードがあって通れないわよ」
「はい。私もここに来たときは開いてる窓から入りました。下手に音を立てると……集まってきますから」
2人はそう言って、別のところから出ようと提案をするのだが、すでにそんなものは取り払われている。
そして一階の昇降口を見て驚く。
「うそ……」
「さっきの音はこれだったのね。でも、あんなバリケードをこんな簡単に……、どんな化け物が」
「いや。俺たちが吹っ飛ばしたけど」
「「え?」」
『進たちなら容易だな。どうやら、外にもそれらしい反応はない。このまま体育館に向かおう』
「おう」
進と田中さんは二人の驚きを無視してスタスタと歩いていく。
「……これは、もしかすると、もしかするかもしれないわ」
「……はい。助かりそうな気がしてきました」
無茶苦茶ではあったが、今の2人にとっては希望の光に見えた。
そう、恐怖の中で恐怖することは当然である。
だが、その中で泰然自若とはいいがたいが、どう見ても彼らにとっての日常のワンシーンだと思える言動をみれば、それは眩しいほどの光となるのではないだろうか?
いや、結構誤解があるが。
文字通り、進たちは日常の延長線上であって、希望などでは決してない。
それを、彼女たちは体育館に入ることで実感することになる。
ゴンゴン……。
大きい体育館の扉が、進と田中さんによって開かれ、そこには……。
「おおぉぉぉぉおぉぉぉ……」
人であったと辛うじてわかる程度に、体の一部があるだけで、異様に肉が膨れ上がった、文字通り化け物が立っていた。
それを、正面から見た女性2人は……。
「「きゃぁぁぁぁぁぁ……!!」」
当然のごとく叫んでしまい、化け物に私たちがいますよとアピールしてしまうのは、こういう時のお約束である。
「ん? どしたんだ?」
『何か、奥を見て驚いているようだが……』
扉を踏ん張って開けた進と田中さんは、体育館に中にいる化け物を見ていないので、首をかしげながら、体育館をのぞき込むと、彼女たちが叫んだ原因を目撃し……。
「おー。なんか大きいのがいるな。あれ、捕まえれば、鷹矢の手助けになるか?」
『なるだろう。進たちの言う通常のを知らないが、例外というデータも有益なのは間違いない』
そういうなり、進と田中さんは飛び出して。
「うぉらー!!」
『田中の名前をその身に刻むといい!!』
バギィ!!
「ぐあぁぁぁぁぁぁああぁ……」
ドズンッ。
その化け物を一撃でノックアウトする。
「へ?」
「す、すごいですね、2人とも!!」
先生さんは唖然として、洋子は2人の強さに笑顔になる。
が、そんなことは進と田中さんにとってはどうでもいい話。
ここに来た目的は、これから沢山来るであろう、患者、もとい、サンプルを置く場所を確保するためである。
なので、さっさと化け物は田中さんが取り出したローブで簀巻きにされて、体育館の中に転がされる。
その衝撃で、体育館の埃が舞い、転がされた化け物は、埃で真っ黒になっている。
「うへぇー。こりゃー人を収容する以前の問題だなー」
『そうだな。見た感じ古いから、まあ予想通りではあるが、いったん掃除をしないとどうしようもない』
2人が掃除をしようという空気をよんで、洋子は体育館を見渡し、倉庫らしき場所を見つけて、そちらにあるいて、扉を開けようとする。
「あ、こっちにきっと掃除道具もありますよ」
「待ちなさい洋子ちゃん!! まだほかにいるかもしれないわ!!」
「え?」
ガラッ。
「おぉぉぉぉおぉぉぉ……」
「ひっ!?」
お約束であるが、こうして犠牲者が増えて……しまうことはない。
ドゴンッ!!
「うし。さっさと掃除するか」
『襲ってくるのだから、多少の粗雑な扱いは仕方ないにしても、さすがにこれでは非人道的だろう』
手早く、中にいた化け物も簀巻きにされて放り出される。
彼らにとって、優先するべきは、居心地のよい、清潔な体育館を作ることであり、それを邪魔するのであれば、即時排除される。
「なあ、洋子ちゃん。水道ってどこ?」
「あ、はい。えーと、あそこがトイレみたいですから、あると思います」
『進。私が水源は確保する。まずはそのモップで大まかに大きい埃を集めてくれ』
「りょーかい。うぉぉぉ……!!」
そう言って進は、モップをもって体育館を駆け回る。
誰でも一度はあるのではなかろうか?
掃除のときに雑巾やモップを床につけて一気にやろうとして、結局、雑でもう一度やり直しというやつ。
「新上さーん!! それだと埃が逆に……ごほっ、ごほっ!!」
『これは我慢してくれ。丁寧な掃除とは違うが、あの勢いでいったん集めるのは間違いではない。先生さんと洋子さんは、私が水を汲んでくるから、この雑巾で綺麗に拭いてくれ。あの進にこういうのは向かないのは分かるだろう?』
「ええ、そうみたいね……」
「でも、先生。都会の人ってすごいんですねー。こんな状況なんてへっちゃらなんですもん!!」
その洋子の言葉に、先生さんは絶対違うと言いたげであったが、この状況下で不安をあおるのはどうかと思い、ぐっとこらえた。
ドサドサドサドサ……。
その直後、トイレに向かった田中さんの方角からそんな音がして振り向けば、普通の人サイズの見慣れた化け物が、同じように簀巻きにされて放り出されていた。
恐らくは、トイレにいて田中さんを襲ったのだろうが、あのロボット相手にまともにやりあえる化け物は、今のところ存在していなかった。
「なにこれ……」
先生さんは、なぜか先ほどの状況よりも、何か自分がとんでもないことに巻き込まれているような気がしてならなかった。
恐らく、それは間違いではない。
だって、そいつらこそ、理不尽をさらなる理不尽で覆いつくす者たちなのだから……。
結構、ルールが違ったりして驚くよね。
トランプは当然として、麻雀の点数とか、花札もそうだったりして。
じゃんけんのやり方も特殊なのがあったりするよね。
さて、すでにホラーの話を逸脱していますが、今回で、主だった恐怖の内容が壊滅したのがわかると思います。
進と田中さん組み = 体育館掃除
鷹矢 = 敵の大元に事情を聞く
真の字 = 陰陽師を捕縛後待機
也の字 = ゲームデータを消去され大元へ突撃
さあ、これからが本番だ!!
お約束という理不尽よ、さらなる理不尽に覆いつくされるがよい!!