表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

価値と世界と私とお金

作者: 名無し

 ――この世は金で動いている。

 私が初めてこの言葉を理解したのは、ひどく暑い夏――十年前にこの世界を襲った大飢饉の時でした。

「いいかいエスティナ、この世界で最も大事にされているのはお金なんだ」

「……お金? じゃあお義父さんもお金が一番大事だと思っているの?」

「ああ、そうだ。」

「じゃあ……」

 ――お義父さんは、私よりもお金の方が大切なの?

 その時聞き返せなかった――いえ、思わず口をつぐんでしまったその行為に、私は今でも後悔したままでいます。

 そして、

「……じゃ、じゃあ、お金は大切にしないといけないね」

 と、義父の顔色を伺い、吐き気がするくらいに気持ち悪い笑顔を湛えていた自分自身にも、同じく――いえ、それ以上の後悔を抱えています。

 紅蓮の大飢饉。

 記録によれば百と十三日もの間降雨に見放され、干ばつにより農作物の収穫量は例年の三割にも届かなかったとされているあの年――私は私を拾ってくれた義父に見放され、わずか一抱えの食料と引き換えに売り渡されました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ