僕のおじいさん
「大きな大きな腕時計、おじいさんの時計。百年いつも動いていた、自慢の時計さ。おじいさんの生まれた朝に、やってきた時計さ。今もばっちり動いてる、おじいさんの時計―――」
僕は、この歌をおじいさんを見つめながら無意識のうちに口ずさんでいた。
もう僕のおじいさんは、生まれてから2か月経とうとしていた。
おじいさんは髪の毛が無く、歯も無い。言葉もろくに喋れない。小さい。自分で立てない。泣き虫。
そんなおじいさんが嫌いだ。だが憎めないほど可愛い。そこが、特に大嫌いだ。
おじいさんの右手首にはいつも、成金趣味の金とダイヤモンドで固められた腕時計があった。
おじいさんに全然サイズが合っていない。
僕は、おじいさんの腕時計を見ていつも「売ったらどれくらいの価値があるのだろう」と考えていた。
おじいさんは、ご飯を食べ終わりいつもどうり昼寝なう。
無防備な状態だ。僕は「いつやるか、今でしょ!」と、おちょぼ口のおっさんの言葉を思い出す。
誰かいないか確認してから、おじいさんを見た。
涎を垂らしながら気持ちよさそうに寝ている。
そっとそっとおじいさんの腕時計へ手を伸ばす。
腕時計に手が触れた瞬間・・・
僕は、目を覚ました。
目の前には、遊んでいるおじいさんがいる。
さっきまで何をしていたんだろう。
おじいさんの腕時計を盗ろうとしたところまでは覚えている。
そこからの記憶がない。思い出そうとすれば頭が痛くなる。
僕は、おじいさんの方を見た。
おじいさんも、僕の方を見た。
おじいさんは、口が裂けそうなぐらい笑っていた。




